6話
玄関に行くと車寄せに一台のリムジンが停車していた。
「これで行くのですか?」
「これで行くのよ」
「この車嫌いなのですが」
ルルにはこの車に苦い思い出がある。ルルが6歳ごろにこの車の乗る際に出入り口のちょっとした段差につまずき顎を2針ほど縫った思い出があるのだ。
「良いじゃない過去のことなんだから」
そう言われ渋々車に乗り込んだ。
ルルが乗り込むとすぐに車が動きだした。空港までは、直線距離で1キロほどだが屋敷が山頂にあるため道なりに進むと3キロほどになってしまうが、ルルたちの乗る車が優先されるため5分ほどで到着するのであるがそれでもルルはこの車に乗りたくなかったぐらい嫌いであったのだ。
「姉上そう言えば父上と母上は入学式来られるのですか?」
「来るわよ。ボルムス州には、有額初等学校が2校あることは知ってるわよね?」
「はい、これから通うヒシマ県アキ区とセック県にある2校ですよね」
「正解ね。そしてどちらも今日が入学式なのだけどその入学式が問題でね」
「問題?」
「そう、毎年入学式をどちらでやるかもめるのよ」
「どちらと、決まってないのですか」
「これが決まってないのだから毎年どこでやるのかもめるのよ」
「今年は、アキ区の方なのですね」
「さすがに統治する親の息子を呼びだすわけにはいかないからね」
「確かに」
そんな話をしてうちに空港に到着しておりそこには黒色10人乗りであろう飛行機が駐機していた。子の機体は、ボルムス州にある飛行機工場で製作されたもので連邦の多くの領主など裕福層が所有している機体でもある。