3話
屋敷の方からジークフリートがやってきていた。
「父上」
「ルル久しぶりだな」
「1週間ぶりです」
「そうだな、元気であったか?」
「はい、元気でしたよ」
「そうか、それは良かった。クリームヒルトの元気か」
「はい、王都はどうでしたか?」
「荒れていた。そのことについては後で話そう。それにしても面白い話をしていたな」
「そうですか?」
「そうだ、確実に現状をとらえているな」
そう言いつつジークフリートは、席に着いた。
「それにしても良い天気だ」
「王都は、天気が良くないのですか?」
「ルルは、よく本を読んでいるのに知らないの?」
「意地悪ですよ。姉上」
「ははは、そうだな。ルルは本をよく読んでいるようだが他のことももう少し知る必要があるな」
「王都は、大概曇っているな」
王都は、キョウ県チュキョ区にありそこは、周囲を1000メートル級の山に囲われており非常に天気が変わりにくい特徴があるのだが守りやす特徴も同時にある。
「それにしても今回は、何の用事で行かれたのですか?」
「クリームヒルトお主に関してだ」
「私に関係するのですか?」
「そうだ、王家がお主をよこせと言ってきた」
「そうなのですか」
ルルもクリームヒルトも驚いていていた。王家がクリームヒルトを欲しがる理由が分からなかったのだ。
「そうだ」
「それにしてもいきなりですね」
「それがそうでもないんだ。ここ300年我が家は安定して統治してきたことで連合王国でも有数の軍事力と財力を有している」
「確かにそうですね。クリ区とアサ県でそれぞれ軍艦と戦闘機を製作し周辺の州に販売してきたそれで莫大の財力を有していたのだが王家は、過去は金山で儲けていたが枯れてから財政難なんだそこでクリームヒルトと婚約すると軍事技術と財力が手に入ると考えてのだろう」
「確かに王家は、ここ数代力が無くなったと言いますがそれでも軍の数は、親戚家の軍と合わせると圧倒的ですよね」
「その通りだルル。しかしその軍という名の親衛隊の維持もやっとのようだ」
「そうなのですね。それで、私の婚約の件どうなさったのですか」
「断ってやった」
「良かったのですか?」
「いいのだ。連邦王国が始まって2000年ここまで続いただけ立派なもんだ」
「それを言ってしまうとわが家はどうなるのですか」
「我が家はもともとエタ島だけを治めていたのが900年ほど前に先々代がこの州をすべて統一したことでこの地位を手に入れただけだ」
「確かにそう考えると王家はながいですね」
「その通りだそして国家も永遠には続かない我が家は、いずれ連邦を飲み込むそうなると邪魔なだけだ」
「父上は王家はすでに飾りだと言いたいのですね」
「そうだ、そして断ると大層激昂しておった」
「本当に大丈夫なのですか」
「大丈夫だ、その代わり上納金の額は上がるだろうな」
「笑い事ではないのでは?」
「クリームヒルトよお主が嫁ぐ先はすでに決まっている」
「どこなのですか?」
「秘密だ」
会話の後半の内容はルルは理解しきれないのであった。
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そのころ王宮の内宮では連邦王国の主であるカナリア・ガリス・クドルフ4世が宰相であるザザグリアに文句をかれこれ数時間聞いていた。
「あの辺境の成り上がり野郎が我が提案を断りやがって。こちらは王家だぞ」
こんな内容が永遠に続いていたのだだがザザグリア本人は断られて当然だと考えていた。あまりにも力に差がありすぎるのだボルムス家は新興の部類ではあるが軍事力はチュシ地方では最大と言われておりボルムス家が本気になればチュシ地方を数年かかると言われてはいるものの統一できると噂されている。それに対し今の王家は財政難であり毎年の上納金で維持しておりすでに軍事財力ともに連邦内では最下級と言われている。実際に最下級ではないものの下からの数えたほうが速いぐらいであるのだが、既に王家は権威だけ立派なのである。
「おい、ザザグリア聞いているのか」
「聞いております」
「なら、今年からボルムス家の上納金の額を二倍にするのだ」
「それは、反発が大きいのでは」
「だまれ、珍は王なのだぞ。我に反するものは敵だ」
そんなことが繰り返されているのだ実際王都が存在しているキ地方意外の州では王のことを愚王と呼んでいるほどだ。(キ地方は王家の血縁しかいないのだが)
「畏まりました。しかし今年度の上納金の納入はすでに終わっておりますので、来年からになります」
「わかった良いからやっておけ」
そう言って酒臭い息をばらまきながら宰相も立ち入ることが出来ないない後宮に入って行った。ザザグリアの頭痛の原因が増えていくのであった。