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よろず見聞録  作者: 真澄
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千里浜の自動車学校

 大学に進学した娘は夏休み前から、車の免許を取りたいと口にしていた。どうやってとるのか気にしながら任せていたら、免許合宿に行きたいと言い出した。いやいやいや、車の免許ってもんは1ヵ月くらいかけてのんびり取らなくちゃ身につかんだろうが。大学に自動車学校の車お迎えに来てたの見たし。なんて話をしたのだが、1ヵ月も通うのヤダだの、友達と一緒がいいだの。

 秋も深まってきたころ、静岡か能登のどっちかの自動車学校に行くだの言いだした。友達も、てっきり大学の友達と行くのかと思っていたら高校の時の友達だと。仲いいねぇ。最終的には、千里浜の免許合宿に行くことに決めたから、お金払っといてだとぉ。おいおい、大雪降って講習が出来なくなったらどうすんだよ、聞いてみても、さぁと首をかしげるばかり。

 そして今年1月の震災。自動車学校のSNSは震災直後の様子をアップした後は、周辺の状況を追随するばかりで、免許合宿自体についてのことが全く上がってこない。しばらくすると、免許合宿のキャンセルを受け付ける内容がアップされて。

 1月中旬、ローカル線が復旧したころに教習再開のお知らせが娘に届いたそう。行くの?少し前まで教習コースにひび割れた写真載ってたよぉ。大きな余震が来たらどうするの。という親の心配をよそに娘はいく気満々。ちょうどそのころ、石川県内の被害の少ない観光地への訪問者の減少が話題になっていた。そうだよねぇ、予定通りに合宿行かないと、自動車学校も収入なくなるもんねぇ。

 

 そして娘は、追加講習もなしに無事に帰ってきた。何かあったときのためにと少し多めに持たせた現金を、2時間の金沢観光でかなり散財して。

 帰ってきて開口一番

「御飯がおいしかった」は、いったいお前は何をしに行ったのか。

 それから講習であったあれやこれやをいろいろと報告してくれた。吹雪で何も見えな中での高速教習とか、ガードレールのない細い山道での路上教習とか。アスファルトにひびが入った道路にパイロンがたてられていた場所を迂回しての路上教習。合宿所の壁が一部崩れ落ちていたとか。進学先や地元では経験できないようなことが経験出来て、娘にとっては免許合宿以上の経験ができたのかもしれない。

 

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