プロローグ
小さい頃から球ははやかった
小学生のとき友達からの誘いで地域の野球クラブに入った
物心がつき中学生になると自分が特別な人間なんだと自覚した
同級生の肩の弱さ、当時エースだった先輩上級生には球の速さはすでに勝ってると思っていた
なぜみんなそんなに遅い球しか投げれないのだろうと思った
高校は都内の強豪校に進学した
流石に津々浦々から才能ある球児が集まっているだけあり才能のかけらがある人が集まってた
しかし天賦の才能を授かった俺は1人抜きんでていた
パシャッ パシャッ
カメラマンのフラッシュがたかれる
「 笠木投手!2度目の甲子園決定どのような気持ちなのでしょうか?」
「甲子園出場決定は素直に嬉しいです」
メガネをかけた小太りの記者が話しかける
「本日のピッチングについてなんですが9回112球2安打完封これについてはどのように感じますか?」
そのうちの1安打はボテボテの内野安打だがな...
「そうですね自分らしいピッチングができてチームの
勝利に繋がったと思います」
続いて痩せている長身の記者が
「最後になにか一言お願いします」
ようやくこの記者会見も終わりか
「はい、去年の甲子園は悔しい思いをしたので借りを返したいと思っております」
そう...忘れもしない去年
当時2年生だった俺は甲子園2戦目に甲子園初を先発した。
2戦目の相手は岩手の無名高校
ウォーミングアップにはなるかななんて思っていた
1回表 うちのチームは幸先よく1点を先制する
1回裏 俺の立ち上がりだ 先頭打者を142kmの豪速球で空振り三振にしとめる
球の調子は良かった 身体も痛いとこなんてなかった体調もすこぶるよかった
2番打者にしぶとく内野を抜かれる
ストレートが甘く入ったのだ
3番打者にはカウントをとりにいった球を打たれ
レフト前ヒット
結果だけ見れば悪いが偶然が重なっただけだと思った
終わってみれば2安打完封勝利
そんな終わりを疑ってなかった
4番打者
そう4番のあいつだ 浅井閃太
初球は力んで高めにストレートがいってボール
2球目はカーブをきめてストライク
ストレートを狙ってるのは感じていた
なので低め 膝下の直球をつまらせてダブルプレーをとろうとしたのだ
その日最速の146km
渾身の球を狙い通りのところへ投げた
しかしやつはゴルフのようにバットをすくいあげるように打ち俺の球を左スタンドへ運んだのだ
3ランホームラン
その後の打者は打ちとったのだが初回3失点
その後また打順のまわる浅井と対戦したのだが
3打席連続ホームラン
その日の打点を全てたたきこんだ
この日俺は9回を投げ5安打1四球6失点敗戦投手
味方の打線も5点止まり
浅井以外には完全に打ち取っていただけに腹立たしい
奴は別格
俺と同じく天賦の才能を授かった者
甲子園で奴を倒して日本一になるのだ
「ふう...まあこんなものか」
俺は泊まりこみのための準備していた
翌日甲子園へ出発するからだ
「いよいよ甲子園か...」
あの日浅井から打たれた日から俺は1年間今まで以上に厳しい練習をしてきた
才能にものを言わせてあまり練習しなかった俺がだ
「あいつとは順調に行けば決勝にはあたる」
正直あのチームは浅井個人軍て感じで決勝までのぼってくるか心配だけど...
「浅井...上がってこいよ...」
「...斗...」
「...翔斗!」
「あんたバスに間に合わないわよ!」
...え?目覚まし時計を見るとバスが出る時間に20分前だった
やべえ!
あわてて制服に着替える
「なんで起こしてくれなかったんだ!」
「何回も起こしたわよ!母さんだって忙しんだから」
いやいや大事な日だぜ?今日
小さい頃からうちの母親はあまり俺に関心がないみたいだ
「じゃあ行ってくるわ」
「.....」
ご飯も食べず玄関のドアを開けた
走らねえと間に合わねえな
タッタッタッ
「まあいいウォーミングアップにはなるか」
家から学校までダッシュだと18分くらいだ
しかしギリギリに学校へ到着すれば監督から怒られるだろうな
起きたばっかでペース上げるのもきつい
その時だった
「...チッ」
目の前の横断歩道が青から赤に変わったのだった
あまりよくないが信号無視を脳裏によぎった
朝早いこともあり車通りも少ない
いけると踏んだ俺は左を見て車がきてないの確認して横断歩道に足を踏み入れた
右を見ようとしたその瞬間だった
大型トラックが俺の眼前にでかく広がった
瞬間この後何が起きるのか理解した
ああそっか野球の癖で
左から見るようになってたのか
一塁ランナーを牽制するために見るため
ひどく冷静になってるのを自分で感じた
そして俺は...
俺は
俺は死んだ