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偽物の恋人とデビュー戦

 波乱のデートのストレスにより翌日僕は、一日中ゲームをしていた。たのしーアドレナリンがドバドバでるぜ。


 昨日のことを思い出して現実逃避していたが現実は残酷だ。今日という日は来てしまった。ならば戦うしかない。


「おはよう、千香」

「おはよう、陸斗」


 最寄り駅にピッタリに着く僕と千香。うん、こんなところでも息が合うみたいだ。


「ちゃんと、可愛いよ千香」


 今日の千香は、見た目は土曜日とほぼ一緒だ。メイクは、少し薄いがもとがいいので遜色ない。しかも、服は制服なんでおかしなファッションセンスもしてない。


「ねえ、陸斗くんはいつからそんなチャラ男になったのかな」


 千香が少し顔を赤くして、そんなことを言ってきたので僕は自分の言った言葉を思い出す。


 ……可愛いよ千香。


 …………可愛いよ千香。


 恥ずかしい。僕の顔はマグマのように真っ赤になっていた。


「陸斗、あんたも前よりは百倍ましになったわよ」


 千香は照れながらそう言った。


 そんな話をしていたら学校の近くの駅に着いたので、僕たちは一回路地裏に身を隠す。


「千香、いいよな」

「ええ、いいわよ」


 僕たちは、手を繋いだ。もちろん握り方は恋人つなぎだ。


「い、いこっか」

「ええ、い、行きましょ」


 手を繋いで恋人アピールして、学校に入る。これが作戦なんだが、僕の頭の中は


 手柔らけーーーーという感情でいっぱいだった。


 えっ、なんでこんなに柔らかいの?人の手の感触じゃないんだけど。


「り、陸斗。陸斗」


 あっ、やべぇ。ちょっと手がぬるぬるしてきた。手汗やばいかも。


「陸斗」


 僕は、そんなことに気を取られていたので千香の声が聞こえなかった。それに怒った千香は手をぐっと引っ張った。


「ごめん千香。それでなに?」

「歩くの早い、こっちの事も考えて」


 千香はムスッとしていた。


「ごめん」


 それから僕は、歩幅を小さくして歩く事にしたのだが、僕の脳内は相変わらず。繋いだ左手の事でいっぱいいっぱいだった。僕の歩き方は、まるでロボットのようだった。


 校舎に入り靴を履き替える為に1度手を離したのだが、千香がスカートで右手を拭いたのを見て僕の手汗がやばかったのかと思い、僕は急ぎで右手をズボンで拭いた。まじ、すいませんでした。


 もう一度千香と手を繋ごうと思い千香に手を差し伸べようとすると、ものすごく視線を感じた。周りを見るとなぜかみんな僕たちの方を見ていた。


「千香、早く行こう」

「うん、視線多い。逃げたい」


 よし、行こう。決戦の地教室に


「通学路で美男美女がカップル手を繋いで、歩いてたんだよ」

「星野と天王寺じゃなくて」

「いや、あいつらなら。そこにいるし。あーリア充爆発しねぇかな」


 教室からは、いつも通り騒がしい声が聞こえる。そんななか僕たちは教室のドアを開けた。


「でそのカップルは何年何組なの?」

「いやー、知らんけど、そこにいる」

「ほんとじゃん。えっ、うちのクラスなの?」


 教室に入るとさっき以上に視線を感じた。


「とりあえず、席に座ろう」

「うん」


 と僕たちは自分の席に向かおうとしたら、


「あれれ、もしかして黒崎君?」


 と星野が接近してきた。近い、なんかいい匂いするし。僕は今は千香の彼氏、なびかないぞ。とおもっていると。握った手の感触に気を取られてこれはこれでドキドキする。


「う、うん」


 声が裏返った。恥ずかしい。なんか、千香が僕の手を握る強さを強くしたけど全然痛くない。


「かっこよくなったね」


 星野は、彼氏持ちだよね。そんなこと言っていいいの?なんてことを思ってドキドキしていたら。


「えーーーー!」


 という声が教室中から響き渡った。


「ねぇ、君は白川さんなのかな?」


 と星野の後ろにいた天王寺は千香に近づいた。


「私も、そう思ってた」


 と星野も便乗する。グイグイ来る二人に怯えた千香はこくんと首を縦に振った。


「えーーーー!」


 と本日二度目の驚きの声が響き渡った。星野は、それまでニコニコしていた顔をやめちょっと真剣そうな顔で、


「二人は、付き合ってるの」


 と聞いてきた。僕と千香はお互い目を合わせたあと


「「うん」」


 というと、また教室中に驚きの声が響き渡った。そして、なんか囲まれた。


「二人は、いつから付き合っているの?」

「どっちが告白したの」

「どうして、そんなイメチェンしたの」


 など質問攻めにあった。


 コミュ障の僕と千香は、限界を迎え。


「もう、無理」


 という千香の言葉をきっかけに教室中から逃げ出した。




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