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偽の恋人と初デート前夜

 千香と偽の恋人になったその夜、僕は発狂していた。


「ふーー!」


 なんて言ってジャンプしてはしゃいだり、ベッドの上で転がりまくったりした。


 はっきり言って千香のことは、あまりタイプではない。背は小学生のように低いし見た目もメガネで顔があまり見えなくて、暗い印象を感じる。しかも、性格もお世辞にもいいとはいえない。僕の理想である、星野とは正反対のような女だ。


 でも、僕だって思春期の男子。たとえタイプではない女の子とはいえ、デートするとなると嬉しいのだ。


「うーん」


 一通りはしゃぎ終えた後。僕は、かれこれ1時間ひたすら服を選んでいた。相手が千香とはいえ、仮にもデートだ。あまりダサい格好で行くのは、僕の小さなプライドが許さなかった。最終的に無地のパーカーにジーパンという、オシャレではないがダサくもない無難なところにたどり着いた。


 準備を終えた僕は、10時過ぎに布団に入ったのだが、


「……眠れねぇ」


 結局、眠れたのは3時過ぎてからだった。


 翌朝、


「やべぇぇぇー」


 僕は、寝坊した。髪が寝癖で爆発していたので、慌てて直したが少し寝癖がついてボサボサの状態でデートに行くことになってしまった。



 ☆


「えへへ」


 私は、浮かれていた。突然の出来事で、偽物とはいえ本ばっか読んでいる根暗女の私に彼氏ができたのだから。不満点はその相手が、ほぼ同族である陸斗ということだけだった。はー、相手が天王寺君だったら、どんだけ幸せなんだろうなー……えへへ。


 うん、ちょっとトリップしてしまった。しかし、現実は非情で、私の偽の恋人は捻くれていて、冴えないどうしようもない男なのだ。でも、私は陸斗のことは、嫌いではない。ビッチの星野の事が好きなのと天王寺君をチャラ男と言っているのは、理解できないけど、ここまで息が合う人間は初めてだった。とはいえ、今回みたいなことがなければ恋人にしたくはない。


 そんなことを考えていたら私の意識はまどろんでいき眠ってしまった。目が覚めると、待ち合わせには余裕があるとはいえ、服を選ぶ時間はなく。慌てて選んだ服は、ママが以前し●むらで買った、英字プリントのTシャツと柄物のスカートで、後々考えると中学生みたいなファッションセンスで家を飛び出したのだった。


 服を選んでいたせいで時間に余裕がなくなった私は、小走りで最寄り駅に向かう。次の電車に乗れば待ち合わせの15分前には、翠駅に着くかなみたいなことを考えていたら。


「す、すいません」


 曲がり角から走ってきた人とぶつかってしまった。問題は、ぶつかった相手が陸斗だったということでムードなんてものはなかった。


 こうして、私の人生初のデートが始まったのだった。

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