林間学校3
去年の林間学校のカレー作りは、積極的に働いてくれる人たちを手伝えば作れた、今年は……
「おいおい、これはどう作ればいいんだ」
天王寺が呟く。天王寺の呟きに僕たちは同意する。去年までは、市販のルーだったはずなのに今年は、何百種もあるスパイスが机の前に広がっていた。
「先生、これはどいうことですか?」
天王寺が担任に聞く。
「ああ、四組の副担任のジーニャ先生が企画したから私は知らん」
ジーニャ先生はどうやらインド出身の先生らしい。まぁ、インド出身ならしょうがないよね……とでも言うと思ったか。まったくもって意味不明だよ本当に、
ちなみに四組の生徒は、
「ふっ、スパイスのスの字も知らない雑魚どもが」
とイキってた。お前らは、なんなんだよ。
そんなトラブルはあったけど、近くを通りかかった自称香りの伝道師にオススメのスパイスを教えてもらいカレーは無事に完成した。スパイス以外は、本当に何もエピソードが無いぐらいスムーズに終わった。千香がなにかやらかすかもと思いまじまじ見てたら。
「なに、まじまじみてるのよ?」
「な、なんでもない」
僕が怒られるだけでとくになにもやらかさなかった。
「いただきまーす」
星野の嬉しそうないただきますにより、僕たちの班はカレーを食べる。にしてもこのカレー辛い、確かに香りの伝道師の配合は美味しいのだが、なんだこの辛さ。汗がドバドバ出る。
隣にいる千香なんてあまりの辛さに泣きそうになってたので、僕が千香を見て笑うと、千香は僕を肘でつついたあと、
「はい、陸斗。あーん」
と言って僕の口にスプーンを持ってきた。僕が、必死に拒んでると、
「あら、陸斗。かわいい、かわいい彼女のあーんを拒む理由なんてないわよね」
千香が追い打ちをかける。周りを見ると、天王寺も星野もそして他の奴らも食べてやれよみたいな目線をしてきたので、しかたなく僕は辛い辛いカレーを自らの口の中にいれた。
「もらってばっかじゃ、悪いから。はい千香、あーん」
と千香の方にスプーンを向けると、千香はかなり顔を引きつらせた。
「あれぇ、もしかして大好きな彼氏のあーんが食べれないなんてことはないよな」
と僕は追い打ちをかける。千香はより顔を顔を引きつらせる。最終的には千香は意を決してカレーに食いついたのち泣きそうな顔をした。
そんな僕たちのやり取りを見ていた天王寺が呟く。
「これは、僕たちもやる流れかな?」
と言って星野の方にスプーンを向けた。
はぁ?理解不能、お前なにしてくてんだ。こんなん見てられるか、
「僕、水を取ってくる」
と僕は席を立ち、見たくないものから逃げた。僕が立ち上がると千香が、
「あっ、ずるい」
と呟き、
「私もとってくる」
と僕に便乗した。
「黒崎くん、白川さん。水、机の上にあるよーー!!」
そう、僕らを呼ぶ天王寺の声が聞こえたが、聞こえないふりをした。
「陸斗、逃げ出すなんて卑怯ね」
「君があんなことしだすのが原因だろ」
「しょうがないじゃない、辛かったんだもん」
「というか千香。君は、あの二人があーんしてるのみたら、耐えられたのか?」
「無理ね、多分舌噛んで死んでる」
ドヤ顔で千香はそう言った。
この後も、こんな感じのやり取りをしてから席に戻った。
「あれ?黒崎君、白川さん。水は?」
戻った際に天王寺にそう言われ、僕たちはただただ恥ずかしくなり顔を赤くした。そしてそれをごまかすためにカレーを凄い勢いで食べた。




