神は大空を創られた
チキュウ? もいい具合に冷えてきましたね。
地表も固くなってきたし。でも、すごく殺風景だと思いませんか?
宇宙空間に岩石がむき出しって、かなり過激だと思うんですけど。
生命を育む土台としては、いかがなものかと……
「慌てるでない。物事には順序と言うものがある。まず、あれに名前を付けようではないか。
あそこがな、生命を育む事になる世界の始まりなんじゃ。
名前というのは、とても大事なモノであるぞ」
そうですね。いつまでも『チキュウ?』じゃ、かわいそうですものね。
で、どうするんですか?
いい名前を考え付いたら使ってくれるんですか?
じゃあ、ヘルマちゃん、がんばっちゃいますよぉぉぉぉっ。
┏━━━━━━━━━━
┃
┃10 PRONT "Hello!"
┃20 END
┃
┃RUN
┃Syntax error in 10
┃_■
┃
┃
……おい、創造神?
「完璧なプログラミングの筈だったのじゃ!」
画面に『Hello!』って出すだけのモンで、普通エラー出さないでしょ!
ああっ、まったくもう。なんでこんな初歩的なタイプミスをするのよぅ。
これでいいでしょ?
┃
┃10 PRINT "Hello!"
┃20 END
┃
┃Hello!
┃_■
┃
というより、『チキュウ?』の名前を決めるんじゃなかったんですか。
いざ決めようとしたら、なかなか良い名前がでてこなくって?
いやわかりますよ、それはわかるんですけど……
……………
………
……
『チキュウ?』は『地球』、ここは『ヘヴン』でよくないですか?
異論は認めません!
そう、わかってくれて何よりです。
じゃあ、仕事を進めていてくださいね。私は張り扇を直してきますから。
「……行ったか。あやつめ、どこから張り扇を持ち出したんじゃ。
あんなもの創造した覚えは無いんじゃがのう。この世界の過去の遺物かのぅ。
…まあよい。
そんな事よりも問題なのは、あやつに神に対する敬意が芽生えぬ事かの。
仕方がない。ビシッと真面目に仕事をして、ワシがデキる神だという事を見せつけてやろうぞ」
┃
┃Command ? : 水と光の中に大空あれ!
┃Syntax error
┃
┃Command ? : CREATE FIRMAMENT
┃OK
┃
「よしよし、これで大空が出来上がったわい。
これで自然と海が出来る… っと、大雨になってしもうたか。
ま、いつものように放っておけばよいか。ただの自然災害じゃ。そのうちに収まるじゃろう。
特に被害が出て困るようなモノでもないからの」
あ、聖典の記録をせんといかんな。文体はあわせてやらんとな。
今日のところは、こんな感じか。
神は大空を造り、大空の下の水を分けられた。
神はその大空を天と名づけられた。
夕となり、また朝となった。第二日である。
神はエラー無しを見て、良しとされた。




