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創造神のリサイクル事業  作者: 水瀬 悠希
創造神はリトライをする
26/35

産めよ増やせよ地に満ちよ

 創造神である。

 全てのリソースを使い尽した世界は、自然と消滅するものであるが…

 ワシが気まぐれで降り立ってみた世界は、運命に抗い消滅をまぬがれたレアな世界じゃった。そこに生命を育む、小さな箱庭世界を創ろうと考えたのは、たんなる気まぐれに過ぎぬ。


 それはまったき矮小なる世界である。なぜなら恒星系がひとつあるだけで、あとは何もない。

 それだけに、世界の終わりも早いのであるが……



┃a:\>MULTIPLICATION

┃停止しました。3 個のエラーがあります。

┃a:\>_


 ヘルマよ、何を頑張っているのじゃ。

 人類創造を終えた以上、短命に終わるはずの世界を見守るだけではないか。

 あとは、大きなイベントは無いはずじゃろう。

 茶でも飲んで落ち着くがよい。


「創造神様的にはオッケーでも、私はこだわりたいです。彼らの… あの死んだタコのような眼差しが、何とも我慢できないんですよぉ」


 それは差別というモノではないかな。

 それを是としてしまえば、おまえたちの先祖がしでかした愚行と変わらぬぞ。

 肌の色が違うとか、食べ物が違うというだけでケンカしてたからな。


 たかだか人相が悪いというだけで嫌うとは何事であるか。嘆かわしい。


「それとこれとは別です。彼らは、いわゆる『目が死んでいる』んですよ。

 誰だって、夢も希望も何もなければ、ああいう表情になるのでは?」


 夢や希望、のう。それを与えるために、あれこれやってみたわけか。


「そうです。でも、うまくいかなくて……」


 のう、ヘルマよ。彼らに夢や希望を授けたいのはわかる。

 その行為は尊いものじゃ。だが、それらの根底にあるものは何なのか、考えたことはあるかの?


「根底にあるものですか? 夢や希望があって、はじめて何かをしようという、気力がわき起きるんだと思ってますけど」


 それはな、欲望じゃよ。何かを成し遂げたい、という欲望の副産物として、こうであれば、こうなれば良いなぁ、といった意思が生まれる。それが希望じゃ。

 諸説あるが、『タマゴが先か? 鶏が先か?』という命題じゃのう。


 ふむ、時には神もたわむれる時というものが必要であるな。

 よしよし、今回()ヒトに自我と欲望を授けてやるとしよう。



┃Command ? : CREATE FREEWILL

┃OK

┃Command ? : ACTIVATE FREEWILL

┃OK

┃Command ? : CREATE DESIRE

┃OK

┃Command ? : ACTIVATE DESIRE

┃OK



「人間に自我と欲望を植え付けてみた。ほほぉ、目に見えて表情が変わって来たではないか。うむうむ、あれなら、遠からずヒトは増えていくであろう」


 えっ… と。ヒトって、ああやって増えていくんですね?

 いつの間にか、女が2人になってますが……。

 あそこでアダーマーを組み敷いている、アレは誰です? ハヴァじゃないですよね?

 創造神様ったら。そういうジャンルががががが……


 いたたたた…… 久しぶりに来ましたね。


「あれはハヴァを創る前に、途中まで創りかけたオンナ? ではないか。

 どうして動き出したんじゃろう。まさか怪奇現象のたぐいではあるまいな」


 それはいいんですが、アダーマーは大丈夫ですかね?

 なんか干物みたいになっていますよ。回復しておかなくちゃ。

 ハヴァは、お肌がつやつやして幸せそうですね。

 明日も畑のお仕事、頑張るんですよ。



 今日の聖典。


 神は男と女が産み増えていくのをご覧になられた。

 人はその父と母を離れて妻と結び合い、一体となるのである。

 人とその妻とはふたりとも裸であったが、恥ずかしいとは思わなかった。

 神はエラー無しを見て、良しとされた。

これで主な登場人物が出そろいました。

オンナ? の正体は… 決まっているじゃないですか(笑)

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