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創造神のリサイクル事業  作者: 水瀬 悠希
創造神はリトライをする
24/35

外典:神は土のちりでヒトを造る

 天地創造も2回目ともなれば、それなりに分かってきた事もあります。

 前回はちょっと失敗してしまいましたけれどね。

 たまたま、大きなドングリを食べたかっただけなんです。


「その結果として、全身が毒の塊のような大木を量産したのぉ」

「ううう・・・」


 私が創造した巨ブナは、栄養分よりも毒の方が多いというか。

 それも触ったら命が危なくなるレベルの猛毒だったのです。

 結果として、創造神様がすべて駆除してしまわれましたが……


「海の生物ヨシ! 陸の生物…… ヨシ!」


 今度の地球には、普通に虫とか動物もいますし、毒のない植物も順調に育っています。さあ、ここからがクライマックス。いよいよ人類創造のスタートです。


「重ねて伺いますが、最後に創造するのはヒトですよね。

 創造神様の御姿を真似たものですよね? トゲとか触手は生えてませんね?」


「我々の姿を模して創造するのだから、当然であろうな。

 おまえはすごく触手を意識しているな。 ……触手アリも検討するか?」


 要りません! 却下でお願いします。

 この前の調整で死滅したのなら、そのまま放置という決定でお願いします。


「安心せい。そのあたりは大丈夫じゃ」


 いやに素直ですね。今までのパターンだと、色々ありそうなのですが。

 何が原因でしょうか… ああ、そろそろお昼ご飯の時間ですね。

 お昼ご飯の仕込みはバッチリです。

 味付けはチキン味の一択なのですから、慣れたものです。


「そこじゃ! ご飯の味付けの改善を要求する!

 チキン味の一択はやめて欲しいぞ、マジで」


 なにおう? 却下だコラ! 創造神様がくれた調味料… 和風だし汁の素、ブイヨンキューブ、洋だしの素…… ぜーんぶチキン味なんですけど? そこからどうやって、美味しい芋煮とかを作れと。それに、料理スキルは並のレベルしかないんですよ。これで一体どーしろって、おっしゃるんですかっ!


「すまんっ! ほんっとうにすまん!

 何故かわからぬが、この空間でワシが創り出す料理も、食材も、全てチキン味になるんじゃ。

 頼むから張り扇を、いや、怒りをおさめてくれぃぃぃ」


 つまり、この世界の特性上、創造神様もここでは十全に御業をふるえない、と。

 消滅を待つばかりだった世界に、世界のスクラップをいくつも放り込んで、リサイクルしている最中ですからねぇ。特異点だったわたしが言うのも難ですが、世界をリサイクル出来ちゃった事が、すでに奇蹟ですよね。


 あら、創造神様。ラストスパートですか。システムのバージョンアップも?

 ご無理なさらずに……


┃BLOAD "HUMAN_MALE_BODY.BIN",R

┃OK

┃CALL outward_appearance(DA1,SR2)

┃OK

┃CHAIN MERGE "5:Apostle", 6200, ALL

┃OK

┃Command ? : ■_


 かたかたかた… かたっ かかかたっ…

 かたたたたたた・・・・・・・

 キーボードを打つ音が繋がって聞こえます。画面のスクロール速度も相当なものですね。残像すら見えませんよ。

 今までの中で、一番早いんじゃないでしょうか。


「……これでヒトを創り出す準備が出来たのじゃ」


 かたかたかた。 たんっ!


┃Command ? : 我々に似せて人を造ろう

┃String formula too complex

┃Command ? : CREATE MAN

┃Error 1202

┃■_


 このエラーはシステムオーバーフローですね。データーの入力に、機械の処理能力が追い付いていなかったようです。

 必要最低限の機能を残して、プログラムを強制再起動した結果ですか。

 ある意味では、このマシンは優秀ですねぇ。


 ああ、丁度いい時間になりましたね。お茶でも淹れてきます。

 コーヒー? キリマンとマンダリンのブレンド?

 有るわけないだろ、ふ・ざ・け・ん・な。

第3のオトコが生まれる……(笑)

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