外典:ヘルマは仕事を始めさせられる
ヘルマです。
創造神様は、人類創造に向けて、とても頑張っておられました。
私が眠った後も、お仕事をなさっていたようです。
昨日も私が起きる前には机に向かわれていましたし、朝ごはんに用意したオムライスにも匙を付けてくださいませんでした。
それだけ夢中になっておられたのですね。
最後の最後にエラーが出てしまったのが、とても残念です。
でも、途中の入力ではエラー無しでしたし、何が足りなかったのでしょうか。
結局のところ、オムライスは食べてくれたんですね。
うふふ、やはり飢えには勝てませんでしたか。
で、今日は人類創造の続きを…
って、机と椅子とコンピューターが増えていますけど?
わたしの分ですか? 神様じゃないんですから、そういう事は無理です。
公平な判断? 献立ひとつで聖者に認定しようとしましたよね。
「そう言われても、すでに実力的には中級神の域に達しておる。嫌だと言っても却下じゃ。今こそワシは創造神としての権能を行使するぞ。
……ヘルマよ、汝、中級神にな~れ!」
昇格させてやるから、その分の仕事をしろと。
やってる事がブラックですね。邪神だって、こんな事はしないと思います。
ワガママの範囲をぶっちぎってます。これこそ理不尽です。
……とはいえ、コンピューターを前にしていると、なんとなくデキる女、って感じがしてきますね。
創造神様が時々口になさる、スキルが生えてキターとか、ありそうです。
「本当にスキルが生えたかも知れぬぞ。ディスプレイでも表示できる筈じゃ
今のおまえなら、詮無きことじゃろう」
そういう便利機能があれば、下界に行く前に教えてくださいよぅ。
あの時、ぶっつけ本番だったんですよ?
「あれを使うと身長・体重から始まって、何から何まで、ぜ~んぶ見えちゃうのだがな。いいのか? ワシに色々見られても。
デキる神というものはそういう所に気を配るものじゃ。
それに、あの頃はなぁ……」
創造した生物は、50種類もなかった筈なのに、あっという間に1万を超えてたんでしたね。
あの増え方は爆発的でした。総当たり的な進化と増殖でしたから。
さぞ、コントロールが大変だった事でしょう。
創造神様が星のかけらをぶつけた時の気持ち、今ならわかります。
「スキルは身に付けておいて損にはならぬ。マニュアルのたぐいは記憶結晶に収めておいた。そういうワケじゃからな、あとは頼んだ。
……ワシは寝る」
ちょっ!? 寝るって、一体、何をおっしゃってるんですか。
疲れた、ですか? はぁ。
夕ご飯は、大好きなオムライスを大盛りで用意したんですよぅ。
おまけに今日は奮発して、特上の牛肉まで使ったんですよ。 え? 食べたくない?
あ… こりゃあ、ダメだ。
よほどショックだったのでしょうね。
ヒトの創造に向けて頑張ってて、土壇場で失敗しちゃった… わけですから。
創造神様も相当にショックだった事でしょう。
練習がてら、私もコンピューターで何か創ってみる事にしましょうかね。
スイッチ、ON!
ててーん!
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┃GODDESS-DOS Version...
┃Copyright(c) ..........
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┃汎用EMSドライバ Ver......
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┃ページフレームアドレス = D000 D640 E000
┃EMS ページ数 = ......
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┃COMMAND バージョン ......
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┃日本語入力フロントエンドプロセッサ「火炎茸」
┃ バージョン ......
┃──────────────────────
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┃A:\>_
┃
おお。創造神様のマシンより高性能なんですけど。
なんか、こう…… うふふふふふ。
こっそりと外伝を追加。
こんな事をしたなんて、誰も気が付くまい。うふふふふふ。