神は自分のかたちに人を創造された(その4)
その後もヒトは、私たちのコントロールを受け付けないまま、無秩序に移動しています。
どうやら、バハムートが手を貸しているようですね。
さすがに、あの大破壊を生き延びただけの事はあります。
思えばあれは…… 不幸な事故でした。
生き延びただけ幸運だったのですが、彼等は、それを神の理不尽と思ったのかも。
アダーマー達に知恵の実を食べるよう、そそのかしたのも、奴かも知れません。
地球のあちこちで、火山が噴火したり…… みんな、あいつの仕業ですね。
あばばばばば。
グ・エディン・ナが水没しちゃいましたよぉ。すごく愛着があった場所なのに。
バハムート許すまじ。
「むう、全てが後手に回っておる。アダーマー達が策を練り、バハムートがそれを実行しているという感じじゃ。こうなったら根本を断つしかあるまい。
ヘルプにあった手順を試してみよ。ヒトを無力化するしかあるまい!」
それしかありませんか。じゃあ、やります!
┃
┃Command ? : cancel
┃fatal error: 自我を削除できませんでした。
┃ファイルを削除できません。
┃このファイルは隠しファイルかシステムファイルが開いています。
┃処理をキャンセルするかヘルプを参照してください。
┃
┃Command ? : Try again
┃もう一度トライするか、キャンセルするか、プログラムを終了してください
┃OK
┃
やっぱり駄目かしら。仕方がないわね、プログラム終了!
これなら確実に彼等は動けなくなるはず。
┃
┃Command ? : quit
┃もう一度トライするか、キャンセルするか、プログラムを終了してください
┃OK
┃
……これも駄目?
文字の表示が、ずいぶん遅くなってきました。
これだけ、短時間に色々やらかされたら、コンピューターは処理の負荷に耐えきれません。
処理落ちは時間の問題ですか。
┃
┃fatal error: コンピュータは緊急メンテナンスのために 5分後に停止します。
┃すべてのプログラムを終了して、ログオフしてください。
┃OK
┃
「まずい。完全にプログラムが暴走しておる。ぬおお、データーのバックアップ…
って、のぉう、バックアップ領域が足りないではないか」
┃
┃Command ? : BACKUP D:\DATA F:
┃メモリ不足です。空き容量を確保してから実行してください。
┃不要なファイルを削除しますか。(Y/N)
┃
┃fatal error: コンピュータは緊急メンテナンスのために 3分後に停止します。
┃すべてのプログラムを終了して、ログアウトしてください。
┃OK
┃
「あと3分では何も出来ん。諦めるしかないのぅ」
創造神様は、がっくりと肩を落とされました。
┃
┃fatal error: コンピュータは緊急メンテナンスのために 1分後に停止します。
┃
もうだめぽ
┃
┃Warning: コンピュータが停止します。すぐにログアウトしてください。
┃
あああああ……
ヘルマの代わりに聖典を記録しておく。
神は地の上に人を造ったのを悔いて、心を痛め、こう言われた。
「わたしが創造した人を地のおもてからぬぐい去ろう。
人も獣も、這うものも、空の鳥までも。
わたしは、これらを造ったことを悔いる」と言われた。
神は青き色をした嘆きの石版を見て、深く悲しまれた。