神は大空と海に住まう者をを創られた(その4)
ヘルマです。
生物の爆発的な大発生をご覧になられた創造神様が、キれました。
何をしたんだ、って? 地球に直径10キロほどの小型の小惑星をぶつけたんです。
おかげで、地上は大惨事ですよ。
巨大生物や食肉植物なんかは、大半が死滅しました。
割れた陸地が変に衝突しあったせいで、地表はシワだらけです。
おまけに星の内部では岩石とか鉱物の沸騰が始まっています。
見た目も最悪です。せっかく滑らかになるように造った地球がでこぼこです。
いろいろと、後片付けをしていたら、夕方になっちゃいました。
とりあえず、お食事でも。
……で、何かおっしゃりたい事は?
「今までの地球が出来過ぎたのじゃ。ほぼ真球の天体なのに、陸地と海が分かれていたのは、地球の自転と月の位置が、偶然にも釣り合ったからに過ぎぬ。
今回の件がなくとも、いずれ地球はこのような形になったのは間違いなかろう。
不満そうであるな。納得がいかぬか。それではヘルマよ、地球を巡る月に目を留めてみよ」
月… ですか。
情景パーツだと思って、まったく気にしていませんでしたが……
地球のように、中心のあたりは沸騰していたようですが、今は完全に冷えていますね。
そして、デコボコです。最初はきれいな球体だった筈ですが。
「地球に降り注ぐはずのモノを、その身をもって受け止めた結果、あの姿になったのじゃ。
あの月の姿は醜いと思うかの?」
……わかりません。
でも、月のおかげで、地球は生命に溢れていたのですね。
「そのための援けになったであろう。
月がこのような姿をしている事にも理由があったわけであるな。
最初のころに、大量に漂っていた星のかけらが、一部でも地球に降り注いでいたら、いまごろどうなっていたことか」
……そう、ですよね。
たしかに、今の地球の姿の方が良いかも知れませんね。
何かのはずみで、月と地球の位置関係が変わったら……
こんなものでは済まなかったでしょう。
「では、地球の様子が落ち着いたら、おとなしい生き物を増やす事にしよう。
あんな極端な進化をせぬモノを」
本当ですね? もう触手とか、食肉植物は嫌ですからね。
心の底からお願いしますよ。
「まあ、今度は大丈夫じゃろう。見ておれ。これから新しく動物たちを創造するぞ」
かたたたたたたた…… たんっ!
┃
┃BLOAD "LIVESTOCK.BIN",R
┃OK
┃CALL MSUBR(RG1,AF2)
┃OK
┃CHAIN MERGE "1:SPAM_CAN", 1200, ALL
┃File not found
┃CHAIN MERGE "2:POULTRY_ALL", 5000, ALL
┃OK
┃
┃RUN
┃
┃Command ? : CREATE CATTLE
┃OK
┃
┃Command ? : ■_
┃
彼らは、どんな生き物なのでしょうか。
「家畜とか家禽というヤツじゃ。動物としては、比較的おとなしい部類じゃよ。
今までは、単純に草食、肉食の生物というだけで、ぼーっと生きる事が彼らの役割であった。
……はずであったのだが、異常な進化を経て、とんでもない事になったのう。
あのままでは、地球は滅びていたであろう。
今回のプロジェクトの最終目的はヒトの創造じゃ。
そのためには、連中のような存在はまずい。なにせ、世界を滅ぼしかねない連中じゃからの。
そういうことから、連中には絶滅してもらうしかなかったのじゃ。
そしてな、ヒトは、地球に住まう全ての生物の頂点である。
ゆえに、あらゆる環境に対応できる必要がある。
酷寒の地や、灼熱の砂漠地帯であっても、じゃ。
そのためには、何でも食べて、丈夫に育ってもらわなくてはならぬとは思わぬか?
家畜となる動物は、食料のほかにも色々と、ヒトの助けになるじゃろう」
ヒトが生きる上で、必要な労働力とか食料とか、そんな感じになる生き物ですね。
何となくわかります。美味しいごはんは、生きるのに大切なのことですもの。
聖典の記録。今日はこんな感じ。
神は触手あるもの、魚をそれぞれに、また、翼ある鳥をそれぞれに創造された。
神はこれらを祝福して言われた。「生めよ、増えよ、海に満ちよ、また地に増えよ」
夕となり、また朝となった。第五日である。
神はエラー無しを見て、良しとされた。
やっと終わりました。
次回からは、やっと……