神は大空と海に住まう者をを創られた(その2)
ヘルマです。
創造神のクソジジイに言わせると、天地創造もいよいよ最終段階の一歩手前です。
クソジジイでいいですよね、あんなの。明日からはヒトの創造が始まります。
本当に大変なのは、ここからなんだそうです。
機嫌が悪そうだって? そんな事は無いですよ? ええ、決して。
あの時までは、ね。
「創造に関わった者として、創造した世界に直に触れてみたいと思わんかね?」
全てはここから始まりました。創造神の慈愛に満ちた笑顔に騙されまくったわ。
天地創造に関わってきた手前、興味もありましたので、快諾したわけですが。
下界に下りる前に、創造神様からざっと注意事項を教えてもらいます。
移動手段は…… 神の奇跡というか、超高性能なマジックアイテムっぽい。
「移動は、この転送石を使えばよい。念ずるだけで、どこにでも移動できる優れモノじゃ」
風を感じ、陽の光の温かみを感じる事がなければ、その地に住まう者たちの事などわからない。
現場を知るという事は、天地創造の関係者としては、とても大事なことですね。
創造神様も粋なはからいをするものです。
実に見事な人心掌握術!
……そう考えていた時期もありました。
………
……
転移したのは、どこかの海岸です。ああ、最初のころに造成した部分ですね。
どこまでも続く白い砂浜。
よせては引いてゆく波の音。心地よい風と、柔らかな陽射し。
「世界は、こんなにも美しい……」
ぶぉぉぉぉぉむ! どっぱぁあああん! しゃぎゃー
はるか沖合では、触手の塊のようなものが鯨と戦っています。
うわぁ、うわぁ! やっぱり、実際に見ると迫力が違います。
沖合の怪獣大決戦に気を取られていたせいでしょうか。
後から近づく獰猛な気配に気付いたら、振り向きざまに……
かぷ。
「うひゃぁぁ」
しまった! 油断した! こっそり忍び寄ってきた食肉植物にっ!?
2枚貝のような葉のふちにあるトゲには、超がつくほどの強力な麻痺毒が仕込まれています。そうして動けなくなった獲物を葉っぱで挟み込んで、消化液を出して、ちるちると…… されてたまるかぁ!
「わあああああああ!」
食肉植物は全身から白い煙を出しながら、それでも動いています。生命力、半端ないです。
はあはあぜえぜえ、消化液を洗い流さなきゃ。この際だから海水でもいいよね。傷口にしみるなんて言ってる場合じゃないもん
…って、ピラニアっぽいのがうようよいる。あっちからは巨大なカニ?
海岸の奥の草むらからは、ヤバそうなものが這いずりまわっているし。
あいつら、ヤる気満々じゃない。
あ、なんかヤバそうなのと目が合った。
こーなったらっ、やったりゃあああああっっ!!
昨夜、前の話のサブタイトルを変更しました。
本文に大きな変更はありません。