第四話
明くる日、闇夜は前日の記憶が曖昧だったが、なぜかスッキリ起きることができた。自分のベッドには、スースー寝息を立てているスケキヨが闇夜の腕を枕にしていた。
「どわぁーーー!!!」
闇夜は2メートルほど飛び上がるほど文字通り飛び起きた。スケキヨは枕がなくなったにも関わらずすやすやと寝ている。
「ス、ス、ス、スケキヨ、なんで?? ……あ!」
闇夜はようやく事態を把握した。昨日あまりにも眠くて、裕子が帰ったあと力尽きて寝てしまい、スケキヨが自分をベッドまで運び、闇夜に付き合って起き続けていたスケキヨもベッドまで闇夜を運んだところで力尽きたのであって、別に他意があったわけではないと。日頃、別々に寝ることを厳密に決めてあるので、スケキヨを疑って悪いことをしてしまったなと、闇夜は罪悪感を覚えた。
とは言うものの、まだ時間には余裕はあったが、いつまでもダラダラしているわけにはいかないので闇夜はスケキヨを揺すって起こそうとする。背中を触るとガラス細工のように脆そうなのだが、適度に弾力があり、高い温度が感じられ、それが単なる作り物ではないことを感じさせる。
「あーんや……もうちょっと……もうちょっと一緒に……もうちょっと一緒にねてよ?」
「まったく……こいつときたら……甘えやがって……ってちょっと待て!! こいつ、確信犯じゃねーか!!」
闇夜は傍にあったスリッパでスケキヨの頭をはたいた。
「あんや! ひどーい!」
「うるさい! 支度するぞ!」
スケキヨは不機嫌そうな顔をして仕方なく起き上がり、朝食の支度をし始めた。
スケキヨが朝食の中華粥を作った頃には闇夜は制服に着替えダイニングルームのテーブルの席についていた。
中華粥には鶏がらスープと鶏のもも肉、そして白髪ネギとごま油がたらしてあり、中国の揚げパンの油条がのせてあった。
「スケキヨ、今日裕子に話聞いてくるからな」
「ほんと? 大丈夫かな? なんだか嫌な予感しかしないよ。あそこまで僕らの秘密をべらべら喋ってよかったのかな?」
「しょうがねえよ。知られちまったものはしかたねー。こうなったら『最後の手段』で切り抜けるしかねえ」
「その『最後の手段』だけどね、それ使うのがキニイラナイ」
「文句ばっか言うなよ。しょうがねえだろ? オレだって使いたくないよ」
「あー言えばショウガナイ、こう言えばショウガナイ……ぶつくさぶつくさ……」
スケキヨの小言に耐えながら、油条という中国の揚げパンで中華粥の入っているお椀をきれいにしながら食べきり、あとは聞こえないふりをして早々にマンションを飛び出て学校へ向かった。
青梅街道を渡り、蚕糸の森公園を越えたころにある学校の自分の教室の自分の席にたどり着くと、まだ裕子はきていなかった。そして始業のベルがなったと同時に裕子が教室に入ってきた。
一時間目の数学の教師が裕子のすぐ後ろにいたので、もはや話し合っている暇はない。
裕子は席に着く直前に闇夜の机に折り鶴を置いた。
闇夜は一瞬なんだかよくわからなかったが、折り鶴を光に透かしてみると何やら文字のようなものが浮かび上がっていた。ちょうど折り鶴の羽根の部分にはこう書いてあった。
「昼休みに屋上で」
闇夜は、なるほど、と頷いた。どこで誰が聞いているかわからないような教室よりは、人がいない屋上のほうが好都合だと。
しかし、今日はスケキヨの小言を避けるために家を早々に出てしまって、弁当を持ってくるのをうっかり忘れてしまった……とおもいつつカバンを見てみると弁当が入っている。あいつ、こういう術を簡単に使いやがったな、とは思ったものの、スケキヨは人外の存在で、人間のそれとは違うため、闇夜はこの件に関しては目をつぶった。しかしよく見ると、弁当が2つはいっている。これは2つ分外に出てて、帰ってくるな、という意味なのだろうか? あるいは、弁当2つ分働いてこいという意味なのか? どちらにしてもひどい話だ。
とにかく、闇夜は昼休みまで待った。昼休みになり、闇夜が屋上に行くと、そこには既に裕子がいた。
「ああ、闇夜、いらっしゃい」
まるで自分の部屋にやってきたかのように裕子は闇夜に挨拶をした。
「ここ、人がぜんぜん来ないのに、すごく眺めが良いんだ」
闇夜は裕子のあとに続いて緑の金網にへばりついた。
なるほど、たしかに東京タワーや東京スカイツリーのような電波塔に加え、そこら中に建っているタワーマンション、西新宿のオフィスビルなどが一望でき、それは正に壮観であった。
闇夜は、裕子が弁当どころか食べ物を何も持ってきてない事に気づいた。
「おい、裕子、昼飯は?」
「ああ、いいんだよ。お昼抜いたくらい」
「なんだかわからんが、そうもいかんだろう。これ食え」
闇夜はスケキヨが転送してきた2つの弁当のうち一つを裕子に差し出した。
「これ……どうしたの?」
「いや……オレもなんだかわからん。とにかくカバンに弁当が2つはいってた。だからオレの分はある。もう一個は裕子が食えばいい。あのチャイ飲んでわかったと思うが、ああ見えてスケキヨの料理の腕前はかなりのものだ。遠慮なく食え」
「そ、そう? ……ほんとはダイエット中だったんだけどなー……」
「あ? なんか言ったか?」
「なんでもない」
裕子は渋々闇夜から弁当を受け取った。
弁当は二段構成になっており一段目におかずとしてアスパラガスのベーコン巻きと、チーズオムレツ、ポークジンジャーと、わりとこってりめのものが入っていた。
しかし二段目に入っていたご飯がまずかった。
まずい、というのは、味が悪いという意味ではなく、状況がまずいのだ。
二人が並んでペンキのハゲかかった出っ張りに座って、同時に二段目の弁当箱のふたを開けると、闇夜の弁当箱にはご飯の上に海苔で左から、ハートマークの右半分と『スケキヨ』という文字が横書きで並んでおり、闇夜の左に座っていた裕子の弁当箱には海苔で左から、『闇夜』とハートマークの左半分の文字が横書きで並んでおり、闇夜の持っている弁当箱と裕子の持っている弁当箱を並べると、
『闇夜♥スケキヨ』
となるように仕組まれていた。
「うわ~~」
裕子が思わず変な声を漏らしながら呆れた。と同時に、
「ぞわわ~~」
と鳥肌を立てる音も思わず口から出してしまった。
「なんというか……クるね、これは……」
闇夜は思わず顔を片手で覆った。
そしてスケキヨがケケケと下品に笑っている姿が目の前に浮かんだ。
これはトラップだ! スケキヨの手の込んだトラップにうっかりハマっちまった! と闇夜は心の中で悲しげに叫んだ。
闇夜はスケキヨによってマーキングされていたわけである。
つまり、この弁当を裕子に見せつけることによって、闇夜はスケキヨの所有物であるということを強く印象づける意図があったわけである。
しかし、ふと闇夜は不思議に思った。
「裕子、これおかしくねえか?」
「なんで?」
「なんでスケキヨはオレが右に、裕子が左に座ることを予測できたんだ?」
闇夜は不思議そうに聞いたが、裕子はなんの疑問もなく答えた。
「そんなの簡単じゃん。闇夜は右手に杖を持ってるでしょ? それがあたしに当たると危ないから誰かと歩いたり、誰かと座ったりするときは右側に来るって知ってたんでしょ? 闇夜やさしいから」
「やさッ……バカ! ……んなんじゃねーよ……勝手に決めつけんな! じゃあなんでオレがスケキヨって書いてある弁当箱を選んで、なんで裕子にオレの名前が書いてある弁当箱を渡すように仕向けられたんだろうな?」
裕子は顎に手を当てて辺りを見回しながら考え込んだ。そしてあるものを見つけた。
「あったあった。これさ、私の弁当箱が入ってた袋だよね?」
と裕子はピンク色の巾着袋を闇夜に見せた。
「ああ、そうだな。あ! そうか」
「闇夜くん、君常識に囚われすぎダゾ」
裕子は片目をつぶって人差し指をメトロノームのように動かして闇夜に見せていたずらっぽくおどけてみせた。
闇夜は近くにあった青い巾着袋を拾った。
「これがオレの弁当箱が入ってた巾着袋だ。オレは無意識に青が男用、ピンクが女用と決めつけて、ピンクの方を裕子に渡してしまったんだ」
「そ、そういうこと」
「くそ、あのガキンチョ、手の込んだことしやがって」
スケキヨのトラップは、生きてきた年数だけ狡猾なのか、見た目通りガキ臭いのか、よくわからないアピールの仕方だった。
「じゃあさ、もしオレたちが対面に座ったらどうだったんだ?」
「そうねえ……気の弱い闇夜は見つけた途端にすぐにお弁当をぐちゃぐちゃにして見えなくしちゃってたでしょうね……なんて、ハハハ」
裕子はカラカラと闇夜をあざ笑った。
「てめ! ……オレの隠れた性格をズバズバ暴露していくんじゃねえよ! バカヤロー!」
この冗談を言い合う闇夜と裕子の曖昧な関係を、ふたりともなんというかこそばゆい感覚というものに感じたが、案外居心地が悪くないとも思っていた。
それにしても、計算高いかと思っていたが今一歩抜けているスケキヨであった。
「それは置いといて……」
と裕子は話を本題に戻そうとした。
「極桜会って知ってる?」
「微かに名前だけは聞いたことがあるような……何かの秘密結社ということくらいしか聞いたことが無いな」
「そう。極桜会というのは本当にごく一部にしか存在が明かされていない存在なの。まあだからこそ秘密結社なわけだけど。極桜会は純日本人と深い関わりがあるの。だから同じく純日本人と深い関わりのある神社であるうちにもそういう情報が入ってきたわけなんだけど」
「もったいぶらないで教えてくれ。極桜会ってのはなんだ? 消えた五人となんの関係があるんだ?」
「極桜会というのは、手段を選ばず、日本を純日本人のものにする、という目標を掲げた極右集団よ。日本が移民政策を取る以前からその芽はあったらしいんだけど、新時代、つまり移民政策以後これが大きな集団へと成長したらしい。まるでリバウンドのごとく」
「それでその極桜会が五人の失踪となんの関係が?」
「その五人は皆、極桜会の構成員だったらしいの」
「何!? 一介の高校生までもそんな偏ったものの構成員になっていたのか?」
「秘密結社とか言ったたぐいのものは市井に溶け込むためにあらゆる階層の構成員がいると聞いたことがあるわ。その手の話は闇夜のほうが詳しいと思ったけど」
闇夜は痛いところを突かれて恥じた。
「そいつはオレの勉強不足だったな……となると犯人というのは……」
と闇夜が思案していたところ、校舎から屋上へのドアが乱暴に蹴り開けられた。
「おい! ここは一般の生徒は立入禁止だぞ!」
現れたのは生徒副会長の加藤六輝だった。そしてその後ろから生徒会長の山の辺九美が現れた。
以前会ったときは気付かなかったが、六輝は160cmほどの身長でも、筋骨隆々としていて、非常に引き締まった体つきをしていた。闇夜との体格差は大きかったが、「こいつとは絶対喧嘩したくねえな」と闇夜に思わしめるほどであった。顔は人間というよりは爬虫類に近い冷たい感じがするのが気になるが見てくれが悪いわけではない。いや、むしろ憂いを秘めた美しさがある。
九美は九美でこれまたバレー部にいるせいか、かなりの身長で、180cmはあろうかと言うほどであった。だから六輝と並ぶとどうしても凸凹コンビという印象を与えてしまう。殆どの男子でさえ彼女よりも身長が低いので、まるで見下されているかの恐怖感を与えられる。口の横にほくろがあり、姫カットをして、いかにもお高い感じである。しかし、絶対的で、何者も寄せ付けないかのような美しさがある。
六輝が九美の横に跪き、九美が前に出ると彼女は人形のような口を開いた。
「お前たちのような輩がこの学校の風紀を乱すのだ。あの扉に『立入禁止』の文字があったのをよもや見逃したとは言わせんぞ」
「す、すいやせん」
闇夜は素直に謝った。
「おい、六輝!」
九美は闇夜たちをにらみながら横に跪いている六輝を怒鳴りつけた。
「はっ!」
六輝は顔を上げずに返事をした。
「このような失態、お前の怠慢に他ならんぞ。どう始末をつけてくれる?」
「も、申し訳ありません!」
九美は胸元から扇子を取り出すと六輝の頭を叩き出した。
その扇子は護身用の暗器なのか、鉄でできている様子で、六輝の頭から血が流れ出した。
「申し訳ありません! 申し訳ありません!」
「こいつめ! こいつめ! 私がいないと何もできないゴミムシめ!」
その状況は異様だった。
その時、九美の手を止めるものがいた。
裕子だった。
「もうそのくらいにしたらどうなの?」
うわー、アルティメット裕子だ! あのモードのときの裕子は無敵だぞ!? と闇夜は思ったと同時に、あれを止めるべきは自分だったと悔いた。
「あなた、いい度胸ね」
九美のターゲットが六輝から裕子へ移った。
「校則にありませんでしたっけ? パワーハラスメントを禁ずる項目が」
裕子は決定的な一言を発した。
その一言で九美は何も言い返せなくなった。
「クッ」
九美は奥歯をギリギリと噛んだ。
「お前たちはたしか、2年の東雲裕子と昨日転校してきた月島闇夜だったな。覚えておく。加藤、行くぞ。お前らも早くここから降りろよ」
九美は頭から血を流した六輝の腕を引っ張りながら、尻尾を巻いて逃げていった。
闇夜は裕子のもとへ杖を突きながら駆け寄った。
「おい、大丈夫か?」
すると裕子は膝をガクガクさせながら崩れ落ち、闇夜の腕の中に寄りかかった。
「あー、あんな真似、するんじゃなかった……ははは……寿命が……十年……縮まったよ……」
「ったくお前ってやつは!」
闇夜は裕子をきつく抱きしめた。
「あ……闇夜……ちょっと……痛いよ……」
「あ、わりぃ」
闇夜は裕子を抱く力を緩めてちょうど近くにあったエアコンの室外機に座らせた。
「今度からは文芸部の部室で話をした方がいいね。どうせあたししか部員いないから」
「なんだよ! だったら最初からそこに連れてってくれればよかったのに!」
闇夜は裕子の頭をなでた。
「だって、闇夜にこの景色を見せたかったんだもの、ほら」
その瞬間、太陽の位地の加減によって、一帯のタワーマンションやオフィスビルの窓に光が反射して学校の屋上に集中した。それは一瞬の出来事であったが、様々なスペクトルの光を闇夜と裕子は浴び、二人はまるでカレイドスコープの中にいるかのような感覚に陥った。自然と人工が織りなす神秘的な幻影だった。
「これを……オレに……?」
「そう。一年でこの日のこの時間にしか見られないんだよ」
闇夜は泣きそうになっていたがそれをどうにかこらえ、腹から声を振り絞って言った。
「まったく、裕子は大したやつだぜ。ありがたく礼を言わせてもらうよ」
ちょっとしたショック状態になった裕子をしばらく休ませると、昼休みは終わった。
二人が一緒にいるところを見られるのは何かと面倒なことを招きそうだったので、屋上からは別ルートで教室に戻った。
闇夜が教室に戻ると、その一分後に裕子が教室へ戻ってきた。そして再び折り鶴を闇夜の机の上に置いていった。闇夜にはこの伝達方法がいまいちよくわからなかった。何かの映画かなんかで使われた方法なのか? と闇夜は思ったが、闇夜はそんな映画を観たことがなかった。しかし、あれだけの短い間にこれを仕込んでいるのだというのだろうか? だとしたら、持ち前の洞察力といい、裕子はスパイやエージェントになる素質は十分にあると闇夜は思った。
闇夜はお決まりのごとく折り鶴を光に透かしてみた。そこにはこう書かれていた。
「放課後、旧校舎303号室で」
どうやら、そこに彼女の言う文芸部の部室があるらしい。
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放課後、闇夜は旧校舎に向かった。
旧校舎とは言え、とっくにバリアフリーになっており、エレベーター付きだったので、303号室のある3階までは簡単に行くことができた。とは言うもののやはり『旧校舎』と呼ばれるほどには時代がついてて、薄暗く、なんとなく嫌な雰囲気があった。
お目当ての303号室、つまり文芸部部室はすぐに見つかった。引き戸をガラガラ、と開けると裕子が旧時代の大作家、三島由紀夫の『金閣寺』を読んでいた。そして闇夜が来たのに気づくと、
「あら、闇夜、来たの。いらっしゃい」
と、屋上のときと同じように、まるで自分の部屋に来たかのように迎い入れた。
「新時代の日本文学はダメね。なんというか文章に文がないというか。それに読んでいて退屈するものばかり」
「オレは文学とかよくわかんねーな」
「ダメよ。人間生きている限り教養を身に着けないと。人間としての幅がなくなるわ」
「いやね、オレ、その『教養』を身に着けろ、ってのがそもそも気に入らねえんだよ。それだったらいろんなことを肌で経験した方がいいなと思っててね。フィールドワーク中心というか」
「なるほどね。こればっかりは埋まらない溝よね。あ、今お茶淹れるから」
「あー、お構いなくー」
裕子はコップに水を入れハイスピードレンジに入れ、スイッチを押して扉を締めた。途端に水は沸騰し、裕子は扉を開けた。そこにティーバッグを入れ、すぐにティーバッグの中の茶葉が開きあっという間に茶が煮出された。裕子はティーバッグを取り上げ、お茶の入ったコップを闇夜に差し出した。
「スケキヨちゃんのチャイとまではいかないけどね」
「いや、文句は言わんよ。いや、だから、そうじゃなくてさ。さっきの話の続きをしに来たんだよ……また裕子のペースにのせられてしまった……」
「闇夜ってさ……チョロいよね」
「うっせ! 勝手に言ってろ!」
「まるでお釈迦様の手のひらで足掻いてる孫悟空みたい……ハハハ」
裕子のカラ笑いにだんだん慣れてきた自分を哀れだと思った闇夜であったが、無視して先にすすめることにした。
「それよりさっきの話の続きだ。例の5人の失踪者は前に裕子が言ってた通り極桜会の構成員で、皆純日本人だったわけだが、やはり犯人というのは純日本人以外と考えるのが妥当なのかもしれない」
「そうね。極桜会の中の組織構成がどうなってるかわからないけど、純日本人自体が希少なわけだから、内部で粛清などが起こるとは到底考えられないわ」
「となるとやはり、犯人は純日本人もしくは極桜会に恨みを持っている者と考えられる。もっとも、極桜会は表立って活動している連中じゃないので、直接その5人に恨みを持っていて、たまたまその5人が極桜会という秘密結社でつながっていた、と考えるべきか……或いは……」
「或いは?」
「極桜会が直接その犯人をターゲットにしていて、その犯人を消しにかかったが、逆に返り討ちにあった……」
「それで五人は?」
「それは……」
と闇夜が答えようとしたとき、校舎の上からヘリの音がけたたましく聞こえた。と同時に文芸部部室の扉の隙間から手のひらに収まる円筒状の物体が投げ込まれた。
それにいち早く気づいた闇夜は裕子の頭を押さえつけて叫んだ。
「裕子! 耳塞いで伏せろ!」
闇夜は裕子が伏せたのを確認したと同時に耳をふさぎ目をつぶりふせた。
途端に円筒状の物体が割れ、まばゆい光と耳をつんざく大きな音が発生した。
そして旧校舎屋上からロープを伝って黒い忍者のような格好をした兵士が二人おりてきて下りてきて、文芸部の窓を蹴破って入ってきた。
と同時に部室の扉から同じく黒い忍者服を着た兵士が数名侵入してきた。
完全に立てこもり犯相手の強襲さながらである。
闇夜は杖型スタンスティックで応戦し数人の兵士を昏倒させた。しかし、裕子を守りながらの応戦には限界があり、ついには兵士たちに自動小銃を突きつけられ、裕子ともども拘束されてしまった。そして後頭部を銃床で殴られ気を失ってしまった。
と、ここまで四話投稿してきたのですが、ペース早いですかね?遅いですかね?一回の分量多いですかね?少ないですかね?
まだ折り返し地点まで来てませんが、コメントで教えていただけるとありがたいです。
よろしくおねがいします。