第一章 ~プロローグ~
第一章 ~プロローグ~
後悔とは、神出鬼没だ。予想だにしていないところから顔を出す。前を見ずに歩いて転ぶ。道に飛び出し荷馬車に撥ねられる。大小様々だが大抵がどうなるのかを考えずに行動した結果、つまりは自業自得というものだ。
———その程度ならばまだやさしい。
後悔とは、失敗だ。そして必ずその失敗の代償を支払うことになる。失敗が大きければ大きいほど、支払う代償も大きくなる。その代償が怪我なのか、金銭的なものか、地位や名誉といったものなのか、それとも・・・。だが重要なのは、その代償は自身にのみ降りかかるとは限らないということだ。
———煮え湯を被るのは自分であるべきだった。
後悔とは、鎖だ。その失敗に対する自責の念として自身に絡みつき、その重さが同じ失敗をしないようにと心構えを作る。無知で恥を掻いた、学ぼう。落ち着きがなく何かを仕損じる、冷静になろう。その鎖も自身を高め改善していくことで、いつしか解け消えていく。取り返しのつかないものでなければだが。
———やり直しは出来ない。願うことさえ許されない。
「僕の楽観がきっかけを作った。僕のくだらない偽善心が彼らを巻き込んだ。そして僕の尻拭いを彼らがした。」
———僕が彼らを殺した。
遠くにかすむ城と街は、それでも確かに、鮮明に、心に深く焼き付いた。
彼らとの思い出をすべて塗りつぶす、深く暗い咎と共に。