第7話目━━ゆるーく、な原点に少し返ってみた
「なぁ、万織。」
「なにかな、とら。」
「平和だにゃ」
「平和だなー」
今日は5月13日。
デイケアから帰ってきたあたしは、とらとまた夕焼けを眺めて談笑していた。
スピリチュアルなあの日があったけど、相も変わらずシャリオくんは元気だし、それ以前にラヴィは後ろで道行く通りすがりの天使たち(ガイドとか)に指導をしていて舎弟作りまくって歩くし、タンペランスさんはそのたびに配置する舎弟ガイドたちの役職を与える司令塔を仕方なくかってでたり、で後ろっかわは、「聞かせて」というと綺麗な声が行き交いうるさいのだ。
常日頃は天使のラヴィたちの声は聴こえないのだが、話しかけると答えてくれる。
まぁ、それ以前に丹田に住むインナーセルフに聞いたほうが早いから、そうしているので、ラヴィたちとは話すことはごく、まれ。
インナーセルフのインナーさんにも、前にいる人間といるときに話しかけるのはあたしのスキルではなぜかできないみたいで、インナーさんに話しかけられるのは、ひとりになった階段で、とかだったりする。
そんなあたしも、疲れているのでとらに息抜き相手になってもらうのがいいな。
あたしたちは眺めていた夕日が沈みきった頃、庭から家のなかへと入って来た。
だんだん、涼しくなってきて、冷えてきたからだ。
肌寒いのは、とらも万織も、ちょー苦手だ。
「なにか、討論をしようよ」
「おっと……。虎猫のとらの口から『討論しよう』という言葉を聞くとは思わんだ。」
「あれだぞ、俗に言うディスカッションだ」
「言い直すところをみると、格好いいことがやりたくてしょうがない模様。」
「……的を射ているぞ。
さっきな、ママさんが『向上心のないやつは最低、向上心のないやつは生きる価値無し』と仕事から帰ってきてから、言っていたんだ。」
「お母さん……例のあの会社にいる三月から入って来た若い女社員さんのことを言っているのね」
「そうだな、とらもそう睨んでいる。」
「ディスカッション、するか!」
「うむ。」
…………。
万織の部屋におふたがたは入り、万織は床にクッションを敷き座り、とらは万織のベッドに飛び乗り、彼女と同じぐらいの顔の位置に自らの目の高さを持ってきた。
さぁ、どんな討論(???)が繰り広げるのか……。
万織(以下、ま)「お題!どうぞ」
とら(以下、と)「人生について」
ま「コスモ並みのデカさの範囲だよそれ!?」
と「ちなみにコスモってなんだっけか」
ま「小惑星のことだよ……直訳すると」
と「にゃるほどな。」
ま「人生……。」
と「にゃもはな、人生って、あんまり先のこと考えすぎず、今のこの瞬間を楽しめれば、いいと考えてるんだ。」
ま「そうだねー。先のこと、考えすぎず。でも、未来のために、己の魅力は、磨いとこうね。」
と「……なんかさ」
ま「なんだい」
と「想像してたのとなんか違った……ディスカッションじゃないよこれは。もっと、白熱した議論をな……」
ま「いやいや、あたしととらとじゃぁ、それはとうていむりだったんだよ。諦めようぜ」
と「んだなんだな。諦めて、フリートークと化そう」
ま「気をとり直して。フリーーー、トーーーク!」
と「みゃーーーー!」パチパチパチ。
ま「お題は!」
と「人生について ━ 続 ━」
ま「それでは、始めます。あたしは、そのひとの人生=そのひとの声だと、学んだことがあってね」
と「なるほど」
ま「だから、ひとは経験値が高いほど、なにか深みのある奥行きのある、一声で感動させてしまう、そんな声を持てるものなんだって。」
と「へー!」
ま「歌声も、経験してきたことが声に乗るから、いろんな体験すると、感動的な歌になるんだね。感情を、込めて歌うことがあたしは好きだな。」
と「確かに、万織の歌は、好きだぞ、感情かー、あれは。だから、切なくも懐かしい歌声だったんだー。」
ま「うん!そうだよ。感情、個性的なものがあたしは好きだな」
と「人生ってさ、ひとのために生きることも良いんだってな」
ま「うむ。そうだなー。なんかに書いてあったのか?」
と「そうなのだ。」
ま「確かに、ひとは自分より他人をきにかけたりする生き物だもんなぁ」
と「人間とは、そういう、ものなんだなぁ。」
ま「ネコテン、人間とはを、極めたり!」
そして、とらと万織は、ナチュラルに演歌に移行してしまい、そのあとカエルの歌を合唱して、夕飯を食べた。
今回は、会話を主とした型式だったが、明日は違うかもしれない。
また、ゆるーく進んで行こう。
つづく。