何で仏壇か
「へー」
おもわず、サユリはそう声をもらしていた。
ワープ穴──
祀って、せっせとお供え物をすれば、それだけで高次に行ける、と。
なるほど、アセンションの装置な、とおもう。
真偽はともかく、言っていることはいちおう繋がっているらしい。
いちばん近道、というのも納得だ。
そりゃ、ワープするより速い手段なんてないだろう。
鍵は、この、身にのしかかるような金額にあると言われれば、それもわかる気がした。
思い切らないと、この金額はぜったい出せない。
だが、思い切ることこそ大事なのだ、と言うのなら、思い切れない自分の次元が知れようというものだ。
彼らの話が変なのか。
それとも、自分の信じていた常識が間違っていたのか。
サユリには、何がなんだかわからなくなってきてしまった。
でも、騙されている、という感覚はふしぎとない。
それは、自分の知らない、たしかな真実なのではないか、とどこかがじんじんとうずいていた。
だから、聞かなければならないような気がするのだ。
ふたりを放っておかずに、そばで話を聞き、あまつさえ質問などしているのが、その証拠だ。
「何で仏壇か、っていうのにも、それなりに理由はあるんだ」
はっ、とサユリは男性を見た。
目が合う。
それがサユリの疑問だと、男性はまるで見抜いていたようだ。
「仏壇って、木でできているだろう。それも、いいものは、黒檀とか紫檀とか、堅くて、しっかりとした、ほんとうにいい木を使ってる。上質な木は、それ自身が高次な波動を持っている。こんないい木で作られている家具や調度が、おいそれとは他にない。目的が目的だから、ちゃんと素材から選ばれているんだよ。これが、理由その一」
ということは、その二もあるのだ。
サユリの視線に、男性が軽くうなずいた。
「もうひとつの理由は、職人が手間隙かけて作ったものだ、ってことだ。まあ、新しいものや安いものには、そうじゃない仏壇もいっぱいあるだろうけど。古き良き、職人の手仕事から作られているものも、ちゃんとある。丹精込めて人の手で作られたものっていうのは、工場で大量生産されたものと用途はおなじでも、波動というのがまるでちがう。そりゃあもう、格段にちがうんだ。長持ちする、程度の差じゃない」




