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ぶつだんはワープ穴☆  作者: 有羽妃
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宇宙の真理

「でも、宇宙は常に動いてる。止まってるものは何もない。水も、風も、自然とは流れ、循環するものだ。流れを止めないことが、宇宙の真理に逆らわない生き方だ」

「はい……」

「金も貯めると、どっかで使わされる羽目になる。そういうとき、貯めといてよかったー、とかおもうんだろうが、大抵、『喜び』に使ってやしないんだ。病気になったとか、被災したとか、不安の回避に使わされてるだけで、そういう心理は貯金がゼロになったとしても不安な状況を引き起こして、次は借金をする羽目になっちまう。ようよう借金して、なんだ借金しても死ぬわけじゃねーな、なんて開きなおったりすると状況も好転するわけで、どこで気づくかのちがいなんだが」


耳が痛い。

サユリはまさに、無職になって、貯金を切り崩しながら、貯金しといてよかったー、とおもっていた。

貯めていたから、まさか、無職になってしまったのだろうか。

貯金ゼロで無職になっていたら、とおもうと心底おそろしい。

ただ、死ぬわけではない、と言われたらまあ、そうかもしれないとはおもう。


「豊かな金は、豊かに使える、器の大きな人間のところにしか入って来ない。使えない人間のところに、余計な金は一切入ってこない。これは、鉄則だよ。というか、たまーに、小さな器に大金を抱え込む人間がいるけどな。あれほど不幸なことはない。ない方がしあわせだと、しみじみおもう」


男性は、そのすがたを見てきたように苦笑を浮かべた。


「大金があるばかりに、失うことを心配して、騙されないか疑心暗鬼になって、もっともっとと金を儲けることに囚われる。そういう人間のまわりには、大概、湯水のように金を使ってくれる人間がいるもんだが、その相手にはもちろん感謝はできなくて、憎しみを募らせ、終いには殺すのなんのと、身を滅ぼす羽目になる。金はあっても、大病したりな。ほんと、ろくな目に合わない」


殺人事件と遺産相続は、サスペンスの世界では切っても切り離せない関係にある。

高齢者相手の詐欺も、手を変え品を変え、なくなる様子はない。

でも、ないところからは取れないし、なければ争いようがない、というのはもっともだ。

少なくとも、その種の憂いとは無縁でいられるだろう。


「だから、貯金をはたいて、目に見えないものに振る舞える器の大きな人間になるんだ、と決意することには大きな意義がある。不安とか、恐怖とか、低次な囚われから決別する意志がまず必要だからな。おまえは、そういう人間になるんだよな?」

「──ええ。あなたのように」


青年が、男性をまっすぐに見て応じた。



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