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ぶつだんはワープ穴☆  作者: 有羽妃
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豊かな気分

「気分で、仏壇って……」

「ちなみに、こういう仏壇って、どういうところに相応しいとおもう?」

「大きな一軒家、かな」

「どういう人が買うとおもう?」

「土地持ってますとか、商売繁盛してます、みたいなお金持ち?」


それでも、一昔前の、という条件がつく。

サユリの母だって、仏壇屋の娘だとはおもえないくらい、仏壇など無意味派だ。

サユリの世代なら、仏壇ってナニソレ、食べられるの、くらいに縁がない。

しかし、男性の言わんとすることは、なんとなくわかった。

要は、ワンルームに居ながらにして、大きな一軒家に住まうお金持ち気分が味わえる、と言いたいのだろう。

大きな一軒家と高級外車、とかを実際に買うのに比べたら、たしかに、はるかに安い出費で済むかもしれない。

今時、どんな家電を買おうが、金持ち気分はなかなか味わえないかも、ともおもう。

なんせ、カタログでいちばん高機能な商品を買おうが、二、三年もすればぜったいにそれより高性能なものが出てきてしまうのだ。

時代に追い越されないためには、はなから時代とはちがう道を行く、というのも選択肢のひとつではある。

しかし、それにしたって、気分で仏壇は、どうなのか。

真面目に日々拝んでいる仏教徒やらお坊さんには、けっこう失礼な話だ。

仏壇屋は、そりゃ、買ってくれるなら誰だっていいだろうけど。

サユリは、どうにも釈然としなかった。


「一昔前でも、こんな仏壇を買うとしたら、ただ金があるだけじゃなく、それなりに心が豊かで、ゆとりのある人間だったろうな」

「そうですね」


青年がしみじみと応じる。

そうか、とおもった。

味わいたいのは、お金持ちの気分ではなく、豊かで、ゆとりのある人間の気分、だったらしい。

たしかに、まったく実用性のない置物に大金を払えるのは、豊かでゆとりのある人間だけだという気はする。

もっと有意義なことにお金を使わなくてはもったいない、という発想がいかにも貧乏人だと言われてしまえば、まったくもってそのとおりだ。

サユリは、貧乏人なのだから仕方がない。

終いには、そう開きなおった。



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