ギムウェルム国
ダンジョンを攻略した俺達は、次の目的地である【ギムウェルム国】へと向かっていた。
アースガルド大陸には【人間国】【獣人国】【魔族国】と種族間で国家がある。
また、人間国では三大国家と呼ばれる国があり、ギムウェルム国もその一つである。
ギムウェルムでは広大な土地を有しており、農産業や畜産業などの豊富な食料を世界へと流通している国でもある。
そして俺達はダンジョンから三日程掛け、ここギムウェルムへと到着していた。
「凄いっ! ねぇ、アラン見て! 私、お城って初めて見たけど、すごい大きいね! あんなお城に、一度でもいいから暮らしてみたいなあ〜」
「あんまりはしゃいで転ぶなよ、リアラ」
リアラは旅の途中もずっとこんな感じで目を輝かせているのだ。
ずっと村から出た事無かったので、見る物全てが珍しいのだろう。
「む〜。アランには、ムードってものがないのよね」
「そうか? 俺はこんな大きなお城より、普通の一軒家の方が好きなんだけどなあ」
「はぁ……アランに聞いた私が馬鹿だったわ……」
だってこんな大きな城だと広すぎて逆に息詰まりそうだしな。
「兎も角、宿でも取りに行こうか」
「わかったわよ。ふんっ」
(少し拗ねてるな……やっぱり女の子は、お城とか大きな家に憧れるものなのかな……)
そんな事を考えながらも俺達は宿へと向かう事にした。
☆
「いらっしゃい! 二人で良いのかい?」
宿を出迎えてくれたのは40代くらいのおばちゃんだった。
「はい。部屋空いてますか?」
「ああ、空いてるよ! 二人部屋なら一泊7000メルだよ」
「なら、一週間でお願いします」
俺はおばちゃんに49000メルを手渡した。
「あい、確かに受け取ったよ! ありがとね」
そしておばちゃんから鍵を受け取り俺達は部屋へと向かった。
「リアラ、今からどうする? とりあえず宿は確保したし、観光でもするか?」
「うん! すっごく行きたい!」
リアラは相変わらず目を輝かせながらそう答える。
「それじゃ行こっか」
「うん!」
リアラは満面の笑みで俺の手を握り、俺達は王都の観光へと向かった。
王都では俺はリアラに手を引かれ、色々な場所へと観光したり買い物などを楽しんでいた。
最初は俺も屋台や買い物などを満喫して楽しんでいた。
でも今わ……
「──ねぇ、ちゃんと聞いてる? この服と、さっきの服ならどっちが似合うかな?」
「ああ。どっちも似合ってるよ」
俺は今リアラの服選びに付き合わされていた。
女性の買い物は長いと聞いていたが、まさか服一着を選ぶのに一時間も掛けるとは思ってもいなかった……
「そう言われたら余計悩むじゃない! うーん……あっちの服も可愛いし……でもこっちの服も捨て難いのよね……」
ずっとこんな調子で、かれこれ一時間は経っている。
「なあ、リアラ? 両方買えば良いんじゃないかな?」
「ダメよ! お金だってなるべく節約していかなきゃ!」
くそっ!
ダメだったか!
なら仕方ない。
奥の手を使うしかないか……
「なら二着共、俺からプレゼントさせてくれないか? そしたら可愛いリアラの衣装を二回も楽しめるし、俺は見てみたいな」
「そ……そんなに……見たいんだ……なら、仕方ないわね……」
リアラは顔を真っ赤にしながら俯く。
「すいません。これ下さい」
「はい、ありがとうございます。こちら二点で50000メルになります」
服二つで50000メルか。
案外高いがこの際まあいい。
「はい。では、どうぞ」
そして、俺は店員さんに50000メルを支払った。
「ありがとうございました。またお越し下さい」
こうして俺達は店を後にした。
やっと終わった……
☆
「ねぇ、アラン! あれ見て! 可愛い〜! 少し、寄って行きましょ!」
───俺の戦いは、まだ終わっていなかったらしい。