ゴミ掃除
ティルム村を発ってから、俺は次の目的地へと向かっていた。
その目的地と言うのは、ティルム村から馬車で二日程の距離にある【要塞都市ガレリア】だ。
要塞都市と言われるだけあり、都市の周りは大きな城壁に囲まれており、軍事拠点でもあるガレリアには民間人は勿論、多くの冒険者や騎士達が滞在している。
ガレリアはこの辺りでは、一番大きな都市なので、服や装備などを整えようと思っている。
(……さすがに武器が、石を握った素手って言うのはな)
──兎も角、俺は今そんな訳でガレリアへと向かっている。
日も沈み出し、街道外れの森の中へと入り込む。
(……今日は、この辺で野宿でもするか)
椅子代わりの、丁度良い切り株があったので、そこに腰を落とす。
異空間魔法から、購入しておいた食事を取り出し、夕食を食べ始める。
おっちゃんの美味い食事に満足し、一息付いた俺は、耳を澄ますと、微かにせせらぎの音が聴こえた。
俺は近くに川が流れているのだと思い、確認しに行く事に。
すると予想は的中しており、綺麗な小川が流れていた。
しかし、ここで身体を洗おうと思ってた矢先、男の話し声が聞こえてきた。
「──それにしても、あの娘、かなりの上玉だよな!しかも、親父を殺した時の、女の顔見たか?」
「ああ、みたみた。この世の終わりみたいな顔をして、ひたすら泣いてたっけな!」
「しかもあの親父『荷物は全て渡すから、娘だけは助けてくれ!』だっけ? 親父は奴隷にしても安いから、そのまま殺しちまったけどなあっ」
ギャハハハッと耳障りな声が聞こえる。
俺は、その声が聴こえる場所へと向かい、二人の男がいたので、そいつ等を鑑定してみる事に。
名前:サライ 性別:男 34歳
職業:盗賊Lv13
HP:92/92
MP:19/19
物攻:27(+6)
物防:23(+5)
魔攻:11
魔防:13
敏捷:31
<スキル>
短剣術1 罠解除1
<パッシブ>
敏捷増加(小)
<装備>
ダガー
皮の鎧
<称号>
殺戮者
名前:マース 性別:男 32歳
職業:戦士Lv12
HP:116/116
MP:11/11
物攻:29【39】
物防:25【30】
魔攻:11
魔防:17
敏捷:16
<スキル>
剣術1
<パッシブ>
身体強化(小)
<装備>
ショートソード
皮の鎧
<称号>
殺戮者
鑑定すると、二人共称号に、殺戮者と付いていた。
殺戮者とは、人を殺める事により獲得する称号だ。
因みに、殺戮者の称号持ちを殺したとしても、殺戮者の称号は付かない。
──て事は、この二人は盗賊みたいなものだ。
実際、一人は職業も盗賊なんだけどな。
(さてと……ゴミなら処分しても構わないよな)
足音を出さず、息を潜めながら、盗賊の男の背後へと忍びより、一気に首を捻る。
男は首の骨が折れ、口から泡を吹き出しながら、その場で崩れ落ちるかのように倒れた。
(……初めて人を殺したが…何の抵抗もないな。やっぱ、相手がゴミだからかな)
「なっ! なにもんだ、てめえっ! よくもサライをっ!」
戦士の男は、剣を構え、斬りかかってくる。
しかし、ステータス差もあり当たるはずもなく、男の剣は、空を切るばかりだ。
「ちっ! なんで当たらねえんだっ!」
「そんな遅い攻撃、当たる筈ないだろう」
「くっ、くっそぉおおお!」
男は攻撃が当たらず、焦り出したのか、剣をブンブンと振り回している。
(……これじゃ、剣術も糞もないな)
未だに剣をブンブンと振り回してるので、俺は男の右脚をただ、蹴る。
すると、ポキッと脚の骨が折れる音が聞こえた。
軽く蹴ったつもりなんだけどな……
「ぎゃあぁぁぁあっ! たっ、頼むっ、命だけは、助けてくれっ!」
「お前達の、アジトに案内すればな」
もちろん、アジトへと案内させる為の嘘だ。
ゴミは生かす趣味は俺にはない。
「ほっ、本当か?! 分かったっ、案内する!案内するからっ!」
──その後、男を引き摺りながら、アジトまで案内をさせていた。
「──あそこに、あるのが俺がいたアジトだ! なあ、もういいだろ?」
目の前に、洞窟のような場所が見えた。
「あそこに、何人の仲間がいる?」
「二十人程だっ! なっ、もういいだろう? 全て教えたし、もう行ってもいいだろう!?」
「ああ」
俺は、そう告げた瞬間、男の首を捻る。
側から見れば、俺が悪党に見えるな……。
でも俺は、こういうゴミ共に合わせる情などは持ち合わせてはいない。
こう言う奴等には、今後情けを掛けるつもりもない。
「それじゃいっちょ、ゴミ掃除といきますか」
そして、盗賊達のアジトへと乗り込む事にした。