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趣味は人に言えません。

ご趣味は?


・・・・コミケめぐりです。

性質、根暗&オタク。趣味、引きこもり。

身長、152センチ。体質、冷え性。色白ぽっちゃり。貧血。むくみがち。

年齢33歳。彼氏なし歴=年齢。

・・・いいじゃんね。べつに。だれにも迷惑かけてないのに、っていうか、被扶養者がいない分、納税額も高い。病院にも行かず医療費も使わない。今の日本を支えていると言える。なのに、なんなんだ、この肩身の狭さは。負け犬呼ばわりされたりさあ。

税金も社会保険も自分で払っている。「被扶養配偶者」なんて態のいい名前で、税金免除されたり、他人が払う年金に寄生する専業主婦よりよっぽど社会の役に立っていると思うんだけど。だいたい、税金とられちゃうから上限いくらまでしか働けないって、何よ、その考え方。税金払わない人間と払う人間とが同等の権利って時点で、民主主義じゃなくないか。権利と義務は表裏一体だろうよ、普通。な・の・に、義務を果たしている私が、何ゆえ虐げられるんだ~! 隠してるけど、オタクだからか?


オタクな人間は、基本、リアルの友人にはオタクであることを隠す。まず受け入れてはもらえないし、下手すると虐げられる。そんなわけでリアルではそういったことには興味ないふりをして過ごす。リアルでの安井 糸のキャラは生真面目、しっかり者、内心、乙女。ってところか。ほんとはオタクに加え、かなり口が悪く、他人に厳しいが、その辺はもちろん、隠す。やさしいリアルの友人たちは時々糸に「友達紹介するよ」といってくれる。でも今更この年にして処女です、なんていえない・・・という人に言えない悩みがあり、毎度「ごめん、忘れられない人が」とかいってごまかしている。忘れられない人が「図書戦の堂上教官」なんて、絶対いえやしない、と糸はため息をつく。まだ「嵐の○○君」とか言っているほうが実在の人物であるだけマシかもしれない。二次元の登場人物にときめいている時点で、リアル更生は難しい。

もっとも更生する、ということは、根暗でオタクな引きこもりをやめるということなので、今のところできそうにない糸は、リアルの彼氏を紹介してもらえなくても実はあまり困っていない。

やさしいリアル友人は「糸ちゃん、ずっと1人の人を思い続けるなんて、ホントかわいいよね。絶対幸せになれるよ!」と言ってくれる。そうかな、幸せって、こんなに隠すことがたくさんある人の元にはやってこない気がするんだけど。リアル友人は心優しい人が多く、隠し事が多い糸としてはホントに心苦しいかぎりだ。でも、打ち明けても理解が得られるとは思えず、それどころか奇異の目で見られるのは確実なので、隠し通している。

糸は、コミケ通いが趣味だが、BLには興味がない。正統派二次創作、スピンアウトを好む。糸はこれを「正統派やおい」と呼んでいる。「やおい」とはもともと「山なし、落ちなし、意味なし」という言葉の頭文字で、Hな意味ではなかったのだろうと思うが、今「やおい本」といったら、ほぼ百発百中で「BL」のことを指す。BLとは「ボーイズ・ラブ」の略だ。そりゃあ糸も若いころはスラダンの仙×流なんかもまわし読みで読んでいるが、BL本はグロいものが多く、どうもね・・・という結論だ。

あまりエログロには興味なく、「秘してこそ花」というか「チラリズム」というか、ようするに、甘酸っぱいの「酸味」に強く惹かれるらしい。「やっぱり恋は酸味よね!」が口癖。片想いの、届きそうで、届かなそうな。じれったい時期が糸の「萌え」ポイントだ。

リアル友にもそんな理想の恋話はするので、「糸ちゃんかわいい~」と言われることになる。でも冷静に考えると、すれ違いたいが為に駅のホームで待つとかって行為は、リアルでやれば、「ストーカー」なんじゃないかと思わなくもない。

実際、恋愛の醍醐味は叶いそうでなかなか叶わない片想いだろうと、糸は思うのだが、その点においては、あまり同意が得られない。

ちなみに裏の意図は「始まったら、終わるじゃん」という乙女のワリにはシビアな感想だったりする。

そんなわけで、糸は甘酸っぱい系の二次創作を買いあさる。普通の小説を読まないわけじゃない。新作が出たら必ず買う、好きな作家もいる。でもそれじゃ足りない。コミケに「萌え」を探しに行くのだ。ちょっと不器用で照れ屋で自分の彼女(もしくは好きな子)にだけにやさしい(このやさしさは、なるべく分かりにくいことが重要!)男にやたら萌える。そうやって空想の世界にどっぷりつかるから、現実とのギャップが埋められない。いないって、そんな男。たいていの男はずるくって、自分勝手で、自分にだけ優しくて、その上甘ったれだ。浮気もせずに彼女だけを見つめる、なんて、現実ないから、そんなの。

最近では趣味が高じて、オリジナル小説にも手を出すようになった。気分はすっかりタニマチだ。

この作家、絶対プロデビューする!と断言したくなるくらい、本当に鳥肌が立つくらい上手い作家がいる。

意外とあなどれないのだ、コミケは。


なんてことを考えながら糸は猛然とPCを叩き今日の業務を遂行していた。

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