旅に出たい
最初はアリサ視点。
途中からショウ視点です。
布団を干し終わって、ソファーで(三時間以上)くつろいでいるとなんだか二階が騒がしい。
なんだろうと思い二階に行くと、物を整理しているショウがいた。
「ねえ、下まで響いててうるさいんだけど」
そうちょっと怒ったように言う。
「ん?ああ、アリサか。
悪いんだが三日後にここを出るから、ちょっと我慢してくれないか?」
は?
冗談抜きで思考がフリーズした。
「どういう事よ!?」
固まった思考を、強制的に動かしてそれだけを聞いた。
「なんか国王が、俺を王都に呼びたいらしい」
そう言えばこいつは魔王の息子だった。
「なんでよ!?
ショウは、ここに居れば何も出来ないじゃない。
だってお父さんがいるんだもの」
ショウは、少し悲しそうな顔をしながら言った。
「おじさんは王からの信頼が薄いらしいんだ。
俺が信頼無いのは元々だからいいんだけど、おじさんまでだと嫌だね」
これからもずっと一緒に居られると、思ってた。
でも、それは私の妄想だったのだ。
「あっそ、勝手にすればいいじゃない」
私は、そう強がって逃げるように部屋をでる。
後ろから、声が聞こえる。
それを無視して自分の部屋に入るとベッドに倒れこみ泣いていた。
その後は、寝てしまったようだ。
目を開けると、いつの間にか朝になっていた。
「あーあ。
ショウは、後二日しかここに居ないんだ…」
口に出すと実感がわき、また悲しみが浮上してくる。
と、その時いい考えが浮かんできた。
私は、そのアイデアを実際にできるレベルまで質を上げるために、朝から頭をフル回転させた。
この考えは諸刃の剣ではあるが、やるしかないと心に決めた。
ショウは、その時ほどアリサが言っていることが解らなかったことはない。
「なっなあアリサ。
もう一回言ってくれないか」
声が震えてしまう。
「私はあんたがいないこの家に居てもつまらないだけ。
だから、私と付き合っている事にして私も連れていきなさいって言ってんのよ!!」
「いや、なんで付き合っている設定必要なんだ?
別にお前が付いて行きたいからじゃだめなのか?」
「だってそう言わなきゃお父さんが許してくれるわけないじゃない。
あんたが私と付き合っているって設定が嫌なの?」
一瞬で膨らんだ殺気と少し怒った様な顔を見て、
「いや、そんな事は無いけど、あの、お前にも危険がいくことになるんだぞ?
それでもいいのか?」
冷や汗がすごい流れた。
「私とあんたが力を合わせたら、正直勝てる魔獣なんかいないわよ」
俺達は、魔王と勇者の力を見事に受け継いでいる。
その為、この近辺に俺達に敵うやつはいない。
「いやーでもな…」
「やってくれるよね」
「ハイ、モチロンヤラセテイタダキマス」
恐怖で声が片言になってしまった。
「お父さん、話があるの」
アリサが、そう切り出した。
「ん?なんだアリサ言ってみろ。
大概のお願いは聞いてやれるぞ」
おじさん…アリサに甘過ぎるでしょ…
「私ショウに付いて旅に出るわ」
言い切ったとたんに、俺へのおじさんからの殺気が飛んでくる。
正直勝てる気がしない。
「なんでなの?
まさか、できちゃってるとか?」
おばさんがそう言ったとたんに、殺気が二割増にになる。
「そうよ!!
私達は付き合っているの」
ちょっと顔を赤くしながら言った。
確かに嘘でもそんなこと言うのは恥ずかしいだろう。
それを聞いたおじさんが、こめかみから血を出して倒れた。
「お父さん!?」
アリサはびっくりしているが、こうなるのは当たり前である。
うわごとのように、「ここまで育て上げた恩」とか、「殺してやろうかな」とか呟いている。
かなり怖い。
アリサが、おじさんを立ち上がらせる事を手伝えと目で伝えてくる。
「おじさん大丈夫ですか?」
「誰がお父さんだぁぁぁ」
「誰もそんなこと言ってねー!?」
その後、おじさんを落ち着かせる為に一時間かかった。
ふー……。
この小説、何度も来てくれる人いるのかな?
少ししかいなそうな気がする…
何度もきてくれてる人コメント残してくれるとかなり嬉しいです。