突然の訪問
グッタリとしてしまった二人に向けて、マリーが話しかけた。
「アリサ、あなたは今から布団を干すの、手伝ってちょうだい。
ショウは、ユウキが呼んでいるわ」
俺におじさんが用?
嫌な事しか思い浮かばない…
思い出してみれば、初めてこの家に来た時は、アリサと遊んだだけで『アリサが私に冷たい』って泣かれて愚痴を聞かされたんだ。
そんなことがあったから、雷の日に一緒に寝ていることを黙って居たのに、バレたからにはまた泣いて愚痴を聞かされるのかな?
愚痴はかなりダメージがでかいんだよな。
そう思いながら、ゆっくりユウキの書斎に行った。
「入りますよ」
そう言って、中に入ると、おじさんともう一人誰かがいた。
その誰かが俺をなめるように見てくる。
えっ?なにこれ?俺は奴隷商人にでも売られるの?
「やめてあげてください、嫌そうな顔をしてますよ、ギルド長」
「うむ、なかなかいい少年だな。
そして、ユウキよ。
昔のように『おっちゃん』でもいいぞ」
ギルド長らしい。
良かった、奴隷にされる訳じゃなかった。
しかし、そうすると今度はなぜギルド長がここに居るのかが気になる。
「えっとおじさんなんのご用ですか?」
「実は、国王から使いが来てな。
お前をギルドに入れろとの命令だ」
さすが王。理不尽だ。
「なんで今頃?それに何故冒険者ギルド?」
「何故冒険者ギルドかと言うと、お前が冒険者ギルドに入り強くなれば、王と対等に付き合える用になれるかな、と思ったから俺が条件をつけた。
次に、何故今頃かと言うと王宮の奴らを俺が止められなくなってしまったからだ。
本当にすまん、ショウ」
悪い訳じゃないのに、謝ってくれるおじさん。
おじさんには非はない。
「いえ、大丈夫です。
それよりこんなに引き留めていてくれたおじさんに感謝ですよ。
それより、もし拒否したら何が起こるんですか?」
「拒否すれば軍隊が来るらしい」
おじさんは困ったように笑った。
ちなみに、おじさんの名誉の為に言っておくとおじさんが、困っている理由は軍隊に負けるから、ではない。
全滅させたくないからだ。
「でも、今さらなんでですかね?
ここに居れば俺は何も出来ないんですけどね」
「多分、王下三将軍の近く、つまり王都に魔王の息子がいてほしいのだろう」
王下三将軍とは、この国で一番強いのではと巷でささやかれている、三つの部隊の隊長たちだ。
「でも、勇者の方が強いですよね」
多分、三対一でも、勝てるような気がする。
「俺は王からの信頼が、薄いからな」
おじさんはまた苦笑した。
「それならば、仕方ないですね。
俺は冒険者ギルドに入ります。」
俺も苦笑しながら言った。
「じゃあ、後は頼んだぞ。
ギルド長様」
「勇者様に様付けなんて照れるな」
ギルド長と言われた男は、ガッハッハと笑いながら言った。
「俺の名前は、ジョウン。
剛力のジョウンと呼ばれている、Sランク冒険者だ。
ジョウンと何も付けずに呼んでくれ」
「魔王の息子のショウです。
はじめまして」
手を握り返すとジョウンは少し怪訝そうな顔をして、おじさんを見て言った。
「なあユウキ、なんでこいつSランクって聞いてびっくりしないんだ?」
その質問に、俺が答える。
「おじさんを訪ねて来るなんて、大概Sランクですから。
だいたい予想はつきますよ」
それを聞いたジョウンは、笑いながらおじさんに
「すぐこれが解るなんて頭がいい子だな」
「いや、お前が脳筋なだけだ」
おじさんのボソッと言った、言葉は聞こえなかったようだ。
「よしっ気に入ったぞ。
ショウだったか?
冒険者ギルドに入会を認めよう」
認められ無いという可能性があるなら、認められなければ良かったのに。
「じゃあ、三日後ここに来るからそれまでに用意しておけよ」
そう言って、ジョウンは帰っていった。
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