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たぬき囃子

作者: 一反もめん

世に中には摩訶不思議は出来事があるようで,これは作者の体験談か,はたまた幻想なのか・・・・・・・?

あれは,20年ぐらい前のことである。家内の郷は和歌山県東牟婁郡本宮町の山の中,有名な「果てなし山」の麓の集落で,過疎では日本一になった処である。


その当時,家内の両親が健在だったので毎年「お盆」と「正月」に,妻は帰郷で私は避暑といったところであった。

ある年の夏に帰ったとき,果て無し山の方角から,何やら賑やかな太鼓が聞こえて来る。

妻や妻の両親に聞けば「それは隣の『獅子脅し』ではないか?」という。


確かに隣の家の石段の上には「獅子脅し」があって,時折「ドン」と鈍い音がする。

だが,私が耳にしたのは確かに大太鼓の音で「どん,どん,どん,どん」と20回くらい小刻みな音がしたかと思うと急にとまる。


また,しばらくすると聞こえて来るという具合である。


いくら言っても,誰も信用してくれない,あまりシツコク言うと頭がおかしいのか,耳鳴りのする病人のように扱われるので,言うのを

やめた。

しかし,やはり私の耳には聞こえるのであった。


その夜,家から数十メートルも離れていようか,川の水が流れる音に混じって虫の声を聞きながら眠りに付いた。

夜中に突然,家の前が騒がしい,祭りのような太鼓の音や人の声,目覚めて表に出てみると何もない。

夢なのか?でも,確かに大勢の声と大太鼓の音,多くの足音がザワザワとして祭り騒ぎの様だった。


ふと,脳裏に浮かんだ光景は,

:大勢の山伏の衣装を着た人が,祭りの山車を曳き,その上で太鼓を叩きながら何やら叫んでいる。

そして山車の前後に大勢の法被を着た若者?が提灯を持って練り歩く・・・・。

そして声を合わせて「えんやこらさっさ えんやこらさー どどん ど どん どんどんどんどかかっか どどん ど どん」

と目の前を過ぎて行く:

そんな光景が一瞬,目に浮かんだ。


明くる朝,またその話をすると「それはきっとたぬきか天狗だろう」と言う事になり,決着することにした。


でも,確かに耳では聞こえたのは確か,いや,本当であって欲しいという願望が「確かに聞こえた」と言わせているのかもしれない。


それはもう,今となってはどうでもいいことであるが。


最近の「水木しげる」の妖怪ブームで,ふと思い出した20年前の不思議な出来事である。


元々,私は子どもの頃からよく幻覚を見たり,幻想の世界に入り込んで中々現実の世界にはいなかった。

いまでも,すぐに自分の世界に飛んで行って家内に叱られる毎日であるが,これが私自身だから仕方がない。

60年も生きてこの程度だから,死んでも治らないだろうと思う。


小学校のころは毎日教室の天井を眺めては,時折ニタッと笑うので担任(女性教諭)は,私の事を気持ち悪がり,妖怪のように思っていたらしい。


よく似た体験をお持ちの方のいらっしゃると思います。

なにせ,和歌山の本宮町の家内の実家近くに「牛鬼」が出たという話が残っております。

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