第1巻 第4章 第1話「ヒロインとの日常・会話中心回」
朝の光が差し込む部屋で、蒼月トウカはいつものようにパソコンの前に座っていた。
「おはよう、トウカ!」
柔らかい京都弁で桐生さくらが笑顔を向ける。ウチ、と彼女は一人称を使う。手には昨日の章の修正案が書かれたノートを抱えていた。
「おはよう、さくら。今日も手伝ってくれるんか?」
俺、とつぶやく。昨日の回帰経験のおかげで、文章を読み解くスピードも反応も少しずつ上がっている。
「もちろんやで、ウチも楽しみにしてるんや」
さくらの瞳は真剣そのものだ。彼女の小さな手がノートを差し出す。トウカは受け取り、画面の文字と照らし合わせながら修正を確認する。
その瞬間、男の娘が机の上にひょいと飛び乗り、にやりと笑う。
「俺としては、この場面でヒロインの心情をこう表現するのがええと思うんやけどな〜」
「ウチも賛成やで」
女性陣と男性陣が口々に意見を出す。複雑に絡み合う思惑と提案に、トウカの頭はフル回転だ。
「ふむ、確かに。回帰してきた経験がこういう表現に活きるんやな」
ワシ、と独り言のようにつぶやきながら、キーボードを叩く。言葉のひとつひとつが丁寧に形作られていく。
ヒロインたちとの会話は、単なる修正だけでなく、日常の些細なやり取りも含まれていた。伏見美琴が差し入れのコーヒーを机に置き、九条つばめが今日の予定をさらりと確認する。天音は明るく笑い、ほのかは控えめに励ましの言葉を添える。
「トウカ、今日も順調やな」
さくらの一言に、トウカは心からの笑みを返す。
「うん、これなら次の章も面白く書けそうや」
笑い声と議論が入り混じる中、日常の風景は静かに、しかし確実に物語の土台を育んでいた。
「さて、次はどの場面を磨くか…」
蒼月トウカは、画面越しのヒロインたちとのやり取りに心を躍らせながら、新たな文章を紡ぎ始めた。




