第1巻 第3章 第1話「初回の大きな危機、主人公ピンチ」
朝の光が作業室に差し込み、蒼月トウカはいつものようにキーボードを叩いていた。
だが、今日のトウカはどこか落ち着かない。執筆中に予期せぬトラブルが次々と降りかかってきたのだ。
「うわっ!画面がフリーズした!」
トウカは思わず声をあげる。手元の原稿データが消える恐怖に冷や汗が流れる。
「ウチ、手伝おか?」
桐生さくらが画面の前にやってきた。彼女のやわらかい京都弁に、トウカは少し安心する。
「ありがとう…でも、俺自身でなんとかせなあかん」
だが、次の瞬間、窓の外から不意に大きな物音が響いた。
「何やあれ…?」
伏見美琴が慌てて駆け寄る。外を見ると、隣の建物から落下物が迫っている。
「みんな、下がって!」
トウカは咄嗟に机の角を蹴り、ヒロインたちを安全な場所へ導く。
桔梗が冷静に指示を出し、九条つばめは救助の手順を整理する。男の娘も巧みに助ける動作を見せる。
だが、瞬間の判断ミスで、トウカ自身が危険にさらされる。
「うわっ!」
体が宙に舞い、頭の中で一瞬の閃光が走る――そして気がつくと、作業室の椅子に座っていた。
「え…? これ、夢か?」
目の前には、変わらぬ日常とヒロインたちの無事な姿。
「なんや…回帰してもうたんか」
チラホラとワシという一人称が頭をよぎる。変身時の記憶と共に、身体能力や判断力が微妙に向上しているのを感じた。
「ウチ、無事やで!」
桐生さくらの笑顔に、トウカはほっと胸をなでおろす。
「うん、これからはもっと慎重にせな…そして作品にもこの経験を活かすんや」
回帰によって得た小さな成長と、ヒロインたちとの絆――
トウカは再びキーボードに向かい、筆を進める決意を新たにした。




