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エピローグ

 今日は別れの日だ。

 ルシャング、キオラス、ラナとテオは、ラングに別れを告げて、エイアンの指輪を調査するためにテオたちの故郷ディーダ島のあったところを目指す旅を始めた。


 テオはキオラスの笑顔を見て、あの日の夜と、6年前のことを思い出した。


 光の雨の中のキオ。


 ーーテオ、キオを守ってあげて。


 さっきルシャングと看取った育ての親マーガレットの最期の言葉が、再び頭の中で強く響く。

 でも、火山を背景に光の雨の中、風の中心にいるキオは、別人の顔だった。


 ーーオレの知っているキオじゃない。


「……お前は、誰だ」

「……人は、私を、大魔法使いディーダと呼ぶ」

 眠りから覚めたばかりのようで、ふらふらしている。


「……そういえば、マーガレットが言っていた。昔、この島には――」

 大魔法使いが暴れて封印されている、と。

 テオには魔法や霊的な類は全く見えないが、兄妹には感じ取れていた。テオは二人を心から信じていたので、見えなくても存在は認めていた。それに、最近はキオは見えない友達ディーとよく遊んでいた。


「……ディーダ、キオを返せ」

 テオは臆することなくキオに近付く。


「いや、この娘は、私に全てを、差し出したぞ」

 眠たくてぐずぐずしているときのキオラスそっくりだとテオは思った。


「……それでもだ。……キオは、優しいオレたちの、大事な、妹なんだ!キオを返せ!!」

 テオは一歩一歩踏みしめる。近付くほどに風が強くなる。ついにキオのところに辿り着き、少女を抱きしめる。

 キオの目の色が変わる。

「……キオ、お願いだ。諦めるな。一緒にみんなを助けよう!」


「……テオ?」


 キオが応えた。

 顔を確認すると、いつもの金髪碧眼の明るいキオだった。


 しばらくすると島は火山が割れて、島の地面もいくつにも割け、崩壊して、海に沈み始めた。


 テオはキオラスを離さないようにぎゅっと抱きしめて、海の中に沈んでいった。


 もう二度と、手放さないと決めていた。


 二人の身体は、やがて波に運ばれ、ある大陸の浜辺に抱き合って流れ着いた。



 *・*・*



 遠い遠い小さな島が沈んだ頃、ラングは何も知らずに、星を見上げていた。


「あ、流れ星だ!」


 小さな光は強く光ってすぐに消えてしまった。それでもラングは、夜空を見上げ続けていた。


 ――いつか、その意味を知るとも知らずに。



 第一部 完

キオラスの名前が変わったのは、理由があるけれど、それはまた今度。


ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

高校時代、早く終わったテストの裏面に時間潰しで描いたイラストからどんどん膨らんでいって、ようやく形にできました。

ありがとうございました。

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