白頭対決
ガキンッ!と、金属同士が衝突する不快な音が森の中をこだました。
また弾かれたか…。
エゾフの攻撃を交わした隙を狙い死角から投げたシュヴァイツァーのナイフは弾かれてしまった。
これで何度目だ…あのジジイ、背中に目がついてんのかと自分もジジイだと言うことを忘れて毒吐いた。
キランは小馬のトロントを連れて逃げられたようだ。頭の良い子だ。うまく隠れていることを願って、シュヴァイツァーは背後で呑気に寝ている2人までの距離を目測した。
こちらは背後に2人の眠り男たちを守るという使命まで背負っているのだ。不利なことこの上ない。
いや、いまさらそんなことを嘆いても仕方がない。いまはただ繰り出される斬撃に耐え忍ぶ他なく、早くヴァルたちが起きてくれることを願うばかりだった。
それに不利なのは向こうも同じだ。
遠距離からはシュヴァイツァーのナイフが飛び、隙あらばエゾフが大人の男の指ほどにもなる牙を剥いて男に飛びかかった。
狼藉者はエゾフの牙から寸前のところで逃げ切ると、エゾフが着地する前にそよ横っ腹を思い切り蹴り上げた。
人間の脚力とは思えない力で吹き飛ぶエゾフに気を取られているとあっという間に距離を詰めらる。見かけによらず速い。
男のロングソードがシュヴァイツァーの胸元に狙いを定め、老人の域にはいりつつあるシュヴァイツァーには到底回避のできない速さで振り下ろされた。
しかし、その剣先はシュヴァイツァーの衣服でさえ傷つけることなく空を切った。
狼藉者の顔に動揺の色が走る。
気のせいか、とでも言いたげに唇を歪めて気を取り直して再びシュヴァイツァーへと斬りかかる。
次も簡単に距離を詰められて刀身がシュヴァイツァーを襲うがそれも掠めることなく、むしろ横から襲うエゾフの牙から逃れるために距離をあけさせられた。
「…おまえ」
なんかやってンナァ?
狼藉者のその一言にシュヴァイツァーは上がる息を押し殺しながら不適な笑みを浮かべてニヤリとした。




