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飛んで火に入る何とやら



 流石に、ティアの手を引きながら攻め入るのは危険かもしれない。


 そう思い、目視で魔人たちの拠点を見つけてからは俺一人で飛んできた。

 どうしても自分も行きたいとティアにせがまれたが、俺が安全な道を確保してからライアに護衛させて来てもらう事にした。


 振り返ると、ライアとライアにお姫様抱っこされたティアが斜面をゆっくりと降りてきている。

 ティアの瞳はやけに爛々と輝いていて、俺に瞠目すらしているように見えた。

 正直、結構容赦のない殺し方をしているので、引かれてしまうかと思っていたのだが…


 と、呑気な事を思案していると、キャンプ地から警笛が鳴り響いた。

 不快なほど高い笛のような音は、それが何であるか初めて聞く者にも理解できる音。

 つまり、危険を知らせる警笛。


「あーあ、隠密で行こうと思ってたのに…仕方ない。まずはこの耳障りな音から潰すか」


 そう判断し、沼地を歩き始めた時、無数の矢や炎の玉が俺を背後から襲った。

 無論、全て自動化シールドによって防がれるのだが、問題はそれが俺の背後からだったという事だ。


 振り返ると、やはりライア達よりもさらに後ろ、傾斜の上から魔人たちが俺に撃ったようだった。


 隠密で行くつもりだったので付近の雑魚は無視したのだが、どうやらそれが仇になってしまったらしい。

 俺やライアと違って、ティアはあの矢が一個でも当たれば死んでしまう。

 面倒だが、先に後ろを片付けようと三つ指にエネルギーを圧縮し、魔人に向けた。


「002、ここは私に任せていただいて問題ありません」


 だが、そんな俺の思考を先読みし、ライアがこちらを見つめる。


「いや、ライア一人なら大丈夫だと思うけど……ティアも守れるか?」


「はい。この程度であれば何も問題ありません。それよりも、敵に逃げられてしまう事の方が問題です」


「まぁ、それもそうか。わかった、すぐに終わらせてくるから」


 コンビニに行ってくるくらいのノリで手を振り、俺は歩き出す。


 数歩歩いた段階で悍ましい悲鳴のようなものが背後から聞こえてきたが、それは無視して進んだ。


 もう一度トリミングポーズで狙いを定め、スキャンをする。

 これはつい先ほど、ライアに教えてもらったスキャン方法だ。

 今までのは自分を中心にスキャンしていたが、トリミングポーズで場所を指定すれば離れた場所を解析できるらしい。


「ここにいるのはざっと50人くらいか。うーん、銃使っていいなら全員ここから狙い撃てるんだが…あっ、そういや手からもレーザー撃てるんだっけ、俺」


 一番最初、迷宮の聖地で芋虫相手にライアが使ったやり方を思い出し、手掌にエネルギーをため込む。

 それを何となしにテントに向けて、レーザー砲をイメージしながら撃ちだした。

 すると、まるで戦車の主砲をぶち込まれたかの如き大爆発があがり、テントが吹っ飛んだ。


「おぉっ!?こんな強かったっけ!?」


 驚いて自分の掌を見る。

 恐らくは、人型兵器や巨大ミミズの戦闘で自分の力の源泉に気付き、より深く、より濃く力を扱えるようになった影響だ。

 エネルギーの効率があがり、前よりも威力が出たにも関わらず、前よりも消耗は少ない。


 だが当然、銃に比べれば効率は落ちるし、狙いも散漫になる。

 構えてから撃つまでのラグもあるし、決して銃に代われるほどではないが…


「全体的に、俺の素の力がレベルアップしたって感じか。もう少し試してみよう」


 一つのテントが吹っ飛び、燃え盛り。

 その火に驚いて出てきた魔人の様子は、さながら夜の虫だ。

 俺は笑って、試したい技を考えながら歩を進めた。




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