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第二:浅葱色の少年 part4


 その頃、光崎神無は第二繁華街地区の路地裏にいた。 この場所は中等部の校舎全体に囲まれるように位置し、時刻ももう19時を過ぎているが、人は多い。

 彼はメールを送り終えたと表示された二つ折りの携帯を閉じ、一息つく。


「よい子はもうお家に帰る時間だと思うぜ?」


 不意にかけられた明るい声。 声変わりは済んでいるが、随分と若い声だ。 神無は声の方向―路地裏の奥のほうに、目だけ向ける。

 薄暗くて見づらい。 しかし、声の主はわかっていた。


「お前か……。 ここに何しに来た。 ここは中等部の人間が利用する場所だが」

「あぁ? 別にいいだろ。 高等部の人間くらい珍しいわけじゃねぇし、別に怪しまれるこたぁねぇよ」


 そう言いながら路地裏の暗闇から現われたのは、やはり若い―青年とも言い難い、弾ける電気のような黄色の瞳と、同じ色を持つ髪を短く刈って逆立てた16、7歳くらいの少年だった。

 神無はそんな相手を見て、そっけなく言う。


「その格好は怪しまれると思うがな」

「それだけはお前に言われたくねぇよ」


 しかし、神無の言うとおり、その少年の格好は奇妙ではあった。 少々派手なプリントがされた黒のシャツの上にデニムのジャケット着、ジーンズを穿いているまではいい。

 だが、カチューシャ代わりなのか、どこにも繋がっていない無駄に大きなヘッドホンを頭につけていたり、腰に巻かれた7メートルはある異常に長いベルトが、彼の両足を軸にまるでスカートを模しているかのようにとぐろを巻いているというのは、異様や奇妙といわざるをえないだろう。

 まぁそれでも、中等部一年生でありながらバイクスーツのような格好で身を包んでいる彼が言えるような台詞でないことは間違いない。


「まぁそれより、どうだ? そっちの周りは?」

「子供がいっぱいだった」

「そりゃそうだろうよ……てか、お前もだろうが」

「あと、妙に視線を感じることが多かった」

「お前のせいだよそれは!? オレもおかしいと思うよそのバイクスーツっぽいの!!」

「……二度目になるが、お前の服装もおかしいぞ」


 この場にどんな人間でもいい。 とにかく人がいたとして、この二人がお前の服装おかしいと言い合っていたら、誰もが「両方だ」と言っただろう。 

 しかし、この場には誰も居ないどころかここに誰かが来る気配もない。


「うるせぇよ!! ……て、あ、そうだ」


 言われた失礼な言葉にそう乱暴に言い返してから、黄髪の少年が何か思い出したように掌に軽く握った拳を当てる。


「どうした?」

「『どうした?』じゃねぇよ、解ってんだろ? さっきの闘技場でのことだよ」


 闘技場でのこと。 つまり、彼が言っているのは、神無が葉月に接触し、自分の連絡先をよこしたということだ。


「……なんのことだ?」

「お前なぁ……」


 神無の返しに呆れたようにため息を吐きながら自分の黄髪を乱暴に掻き、「気付かないとでも思ったのか」と付けたす。


「確かにアイツ(・・・)に似ていたけどよ、確証あるのか?」

「…………ない」

「はぁっ!? お前、ふざけてんのか!」

「ふざけているつもりは無い。 ただ……」


 目を伏せて、思いふけるような表情をする神無、こいつがそんな表情をするのは珍しいと、黄色の髪の少年は思った。


「ただ……なんだよ」


 苛立ちが増してるわけではないが、妙に強気な声でた。


「……いまはLEVEL3だそうだ」

「そうか……」


 気のせいか、その一言が妙に楽しそうな声に聞こえた。 まるで、いつ起こるかどうかわからない出来事に期待しているような。

 神無があの少年に何を思っているのかは誰にもわからない。 喜怒哀楽どの表情もとぼしいし、会話も最低限。 行動も放浪の旅人のようで決まったものはない。


(ホントによく解らねぇやつだよ、コイツぁ……嫌いじゃねぇけどよ)


 だが、いつまでもそのようでは困る。 この少年は自分にとって、いや、自分達(・・・)にとって、大事な役割を持っているのだから。 

 

「まぁ、いい。 今回こっちにきたのはその事を注意しに来ただけだ」

「そうか……お前意外と暇なんだな」

「やっぱ一発分殴ろうかなお前!!? あのなミール――」

「今はそっちの名前で呼ぶな」


 断ち切るように、だけど静かに言われたそのたった一言に黄髪の少年は表情を変え、しまったというように口を閉じた。


「悪りぃ……まだ慣れてねぇんだ……えっと……神無(かんな)

「…………それでいい」

 

 そういうと神無は黄髪の少年に背を向ける。 機嫌を損ねたというのではなく、もう話すことはないというような態度だ。 実際、言うべきことはもう全部言ったが。

 しかし、あまり顔を合わせることのない仲間同士(・・・・)だというのに、この態度はないだろう。 だが、自分も他の仲間(・・・・)も、彼が他人と喋ることを苦手とすることを知っている。

 だから、不機嫌になることはなく、むしろ出来の悪い弟か後輩を見るようでつい頬が緩んでしまう。


「じゃあ、オレはもう帰るわ。 じゃあな~神無」


 踵を返してもと来た路地裏(みち)を行こうとしたところで、神無からの返事が来る。


「あぁ、雷門(らいもん)

「…………ぷっ」


 その挨拶にも入らないくらい、淡々とした言葉に、思わず噴きだしてしまった。 確認しなくても、神無が顔を不機嫌に顰めたのがわかる。


「何故笑った」

「あのなぁ、オレたちは仲間(・・)だぜ? 苗字なんかで呼ぶなよ。 もともと、今の名前(・・・・)にはまだそこまでなじみがねぇし、せめて名前で呼んでくれよ」

「……わかった…………硝夜(しょうや)


 自分の名前を改めて言われ、満足そうに軽い足取りで、今度こそ足を進め、彼との距離を少しずつ離していく。

 ちゃんと手を振って、しばしの別れも伝えながらだ。


大分お待たせしてしまいました。申し訳ございません。

名前を改名して、加々美由亜でございます!


まぁw私自身のことなどどうでもいいでしょうから、今回の内容についてw



今回は前の「呪をもらって魔法学園生活!!」では描かれなかったシーンです。(というか存在すらしてなかったかもしれませんw)


新しいキャラも一人現われましたので、この回は、「彼らがどういうキャラか、どういう間柄か」というのをやりたかったんですが……まぁ、いかんせん色々足りないwまぁそれは今後の展開が色々ということでw


次回から3話に突入します!

なんか妙に人気だった斐川の回ですので、皆様お楽しみにw


それでは短いですが、今回はこの辺で。

皆様の、感想、評価、アドバイスなどをお待ちしております!


それでは、失礼します!

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