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第一:幕開けにケルベロス!!? part1

 『魔法』と言う物は、この世の誰かが思っているよりも難しく、この世の誰かが思っているよりも簡単な物だ。 そんな複雑な物を扱うのが『魔法使い』。 その魔法使いを育てる機関を『魔法学園』と言う。

 そんな魔法学園、『魔立如月学園(まりつきさらぎがくえん)』の中でも、最年少の生徒達が学ぶ、中等部一年校舎の一室、1年C組の教室の自席で、古びた書物を読みふける一人の少年がいた。

 見たところ、かなり古い本だ。 RPGとかに出てくる古代の魔導書みたいなものを思い出させる。 そんな本を読んでいる少年の名前は篠原葉月(しのはらはづき。 まるで少女のような顔立ちをしていて、青紫色の髪は、ルビーのように輝き、血のように深い赤色の目を隠すかのように長い。

 学校が私服制なためか、彼の服装は、膝元まである黒いロングコートを赤いシャツの上にチャック全開にして着ていて、スボンはコートと同じ、黒い色のビニール製の物を履いていた。

 一見、奇妙な服装だが、本人はそんなもの気にしていない。 着れれば何でもいいのだ。 ロングコートの理由は寒いから。 決して夜道に裸体で出てくる「私を見て!!」的な変態どもとは全く違う。

 そんな彼は、単にボーっとしているだけで、何も見ていない様な表情でその本のページをめくる。


「葉月~!!」


 葉月は自分の名前を誰かに呼ばれる同時に、パタンと本を閉じ、声のした後ろを振り向いた。 否、振り向こうとした瞬間にもう既に横にいた。 そこにいたのは、こちらとしては残念なことに、我が双子の姉の篠原愛海(しのはらあいみ)だった。

 似ているを通り越して、まるで鏡で写したかのように葉月と瓜二つな彼女の顔は、常時ムスッとして、落ち着いた葉月とは反対に、彼女は明るく無邪気で、おてんばさを感じさせると同時に、愛らしい何かを感じさせていた。

 髪は肩口まで伸ばし、それにカチューシャをつけていて、瞳の色も髪と同じで茶色い。 互いの髪の色が違うのは、どちらかが染めたとかではなく、原因は、『魔力式色素異常症候群(Change Of Color Syndrome)』という、まぁなんとも長ったらしいものの症状にあるわけなのだが。

 この『魔力式色素異常症候群』、通称『COCS(頭文字とっただけ!)』。 別に人間の体に害があるわけではない。 ただ、魔力というのは、人間の色素に異常をもたらす効力があったらしく、当時、魔法が発明されて間もないうちに、世界中の人間の髪や目の色に異常が出たときは、すごい騒動になったらしい。 それは今からおよそ50年も前のこと。

 そう。 そもそも魔法が一般的になったのは、そんな昔じゃない。 それどころか凄く最近だ。 正確に言えば、2015年8月~10月にかけて、正式にそういうものがあることを学界から発表されたのだ。

 それはさておき、この目の前の少女なのだが……。


「あ……………………はぁ……」


 あまり会いたくない相手を視界に入れてしまった事を後悔して、小さく、だけど深くため息をつく。


「ちょ! なによそれ! しかも今朝私を置いてけぼりにしたでしょ!」


 葉月に対し、朝っぱらからこの大声。 まったく鬱陶しいことだ。 この声に反応したクラスの何名かがこちらを振り向いた。

 明らかに怒っている感じに葉月を見下ろしているそいつの服装は、何かちょっとおかしかった。 なぜなら、セーラー服を意識した彼女の服装は、私服製のこの学校には明らかに不釣合いだったからだ。 さらに、短くしたスカートのしたには黒いスパッツを履いている。 おそらくスカートは短くしたいけど、中は見せたくないという気持ちを表したものだろう。

 こういう何かが矛盾しているところが、葉月には理解できない。 無論、する気もない。 再度ため息をついて口を開く。


「だったら早起きする努力をするんだな。 ちなみに、僕は一回はお前を起こした。 だけどお前は、宇宙の法則が何とかを言い出して、結局は夢の中へと回れ右をしていった。 どうだ? 僕はどこも悪くないだろう」


 ちなみにコイツの宇宙に関する知識は、「木星って木ばっか生えてて、全然地面が見えない星なんだって!」て言う位のレベルである。 法則も何もあったもんじゃない。

 愛海は無愛想な返した葉月に対して口を尖らせる。 そんな表情も愛らしいと、周りの人間なら思うのだろうが、葉月には鬱陶しい以外の言葉は浮かばない。 むしろ腹立たしい。 もちろん自分に降りかかる被害を考慮して、本人に言ったことは一度もないが。


「それでも起こしてよぉ……女の子を待つのは、男の子としては当然のことだよ?」


 一瞬葉月は眉間にしわを寄せる。 何が女の子だよと、心の底から思ったからだ。 趣味は食っちゃ寝、家の中での基本装備はジャージまたは下着一丁。 髪はこの前まで葉月が手入れをしていたくらいだ。 やっていた自分もどうかしていたが。

 しかし、すぐにいつもの平然とした顔に戻る。 何時までも怒っている表情をしていたら愛海がうるさいのだ。


「姉に隅々まで気を使う弟が何所に居るのか? 特別な愛が芽生えているわけもないんだから」

「私はあるよ! 私の財布には葉月と私のツーショットが入ってるし、昨日の夜だって、もう寝ていた葉月の頬にチューしといたし、荷物を纏めるときだって、葉月の葉月の下着上下ワンセット自分の荷物に入れといたし! 今だって」

「待て! 一つ目は知ってるし二つ目ももはや置いておくが、最後の奴は聞き捨てならないぞ!? そして今衝動的に遮断した、お前今だっての後なんて言おうとした!?」

「……………………」

「そこでめをそらすな!」


 もはや爆弾発言を超えて核発言とでも言えるような言葉に、葉月は鳥肌が立ちそうだった。 頬に関しては朝の時点で自然的に顔を洗ってあるので問題は無いが、下着に関しては後で取り替えそう。 命を奪う結果になっても。

 葉月は右手首に付けてある腕時計を睨み付けた。


「そろそろか…………」

「……そだね」


 その葉月の言葉がスイッチだったかのように、愛海の顔が真剣になった。


「魔法名か……」


 魔法名と言うのはこの学校で入学同時に貰う、学園内での仮名だと思えばいい。 この魔法名を貰うことによって、始めて『魔法』という物を使えるようになる。 逆に言えば、魔法名がなければ魔法は使えないのだ。

 魔法の原理は、魔力という精神力エネルギーの一種で大気中の元素を操り、形を作るというだけ。 ただそれはあくまで、原理と理論を並べるのが簡単なだけであって、通常の人間では出来ない。

 だからそこで、魔法名を用いる。 魔法名という一種の暗示を掛け、人間の脳の使用率を極限まで上げ、人間の体に眠る『超能力』を引き摺り出す。 そして、その超能力で、自分の体内の精神エネルギーを使い、元素を操り、形を作る。 こうして聞くと、魔法という物が、凄く科学的なものに聞える。

 実際そうなのだ。 人類が数年前まで聞いていたオカルト的な魔法とはまったく違い、この世にある魔法とは、とても理に適った科学的なもの。

 しかし、良い事ばかりと言う訳では無い。 この魔法名を与えられた瞬間、中学、高校での6年間はこの学校の外へ出れなくなる。 これが原因で『呪名』と呼ぶ人間もいるらしい。

 だが、夏休みとかになればそのときだけ解放されて、家に帰ることができるようになる。 さらに、この学園は全域合わせてバチカン市国の4倍近い面積を持っているという位無駄に広い。

 その領域内に、コンビ二的な店や、ファーストフードや喫茶店、ファミレスの様な飲食店。 ゲームセンター。 お金を引き降ろす為の銀行。 私服を買うためのブティックの様なところもあるため、不便と言う点があまり無い。

 だから、魔法名を貰うことに何も異論は無いはずなのだが、葉月は少し気に入らなかった。 気に入らないと言うよりも、何かが引っかかっていた。


「? どしたの、葉月?」

「え……?」


 そう色々考えている間に突如姉の声が混じり、ハッとし、だけど慌てはせずに愛海の顔を見る。 

 気付かぬうちに眉間に皺でも寄っていたのか、愛海は心配そうな表情で彼を顔を覗き込んでいた。


「いや、なんでもない……」


 そんな彼女にややぶっきらぼうにそう誤魔化した。 この愛海という少女は、弟である葉月のことを良くも悪くも大切に思っている。

 しかし、その思いはやや過剰で、しかも姉のというよりは、どちらかというと妹のような甘えのようなもので、葉月は少々参っていたりするのだが。


(ま、そこまで嫌とは思ってないけど……)


 そんなことを思ってみると、いきなり教室のスライド式ドアが開き、分厚い眼鏡をかけた女教師が慌てた様に顔を出した。


「皆さん時間です! 中学用ホールへ移動してください! 席はEブロックの最前列から出席順に座って下さい!」


 そう息荒げに言うと、すぐさま駆け足で去っていった。 「廊下を走ってはいけない」というのは永遠の学校の鉄則であり、教師がそれを破るのは如何なものかと思ったが、どうでもいいので、普通に無視した。


「葉月」

「ん……じゃ、行くかな………」


 「さぁ行こう!」という思いを含んだ姉の呼びかけに、葉月はどこか重そうに腰を上げ、愛海と共に教室を出た。 ちなみに、立った時の葉月の身長は、女の子の愛海よりも低かった。


皆様!大変お久しぶりでございます!

そして、何回も約束を破ってしまい。本当に申し訳ございません。


実を言うと、連載を諦めようとも思ったときもありました。

しかし、アクセス解析を見てみた結果。こんなにも長いこと連載していないのに、見てくれている人はいるんだな~と思い。頑張ってみようと思いました!

その結果。だいぶ遅れましたが、「呪をもらって魔法学園生活!!」を再開させることが出来ました。みなさま本当にありがとうございます。


で、今回の変更点ですが。

まず、長さですねw前回はまぁ、一話目から相当長くしましたが、今回はそれを3~4分割程度に分けます。(さすがに長いのでw)

そして、キャラの変更点ですね。

まず葉月のほうは、より淡々と、簡単に言えば、前よりもちょっと冷たい感じになりましたね。プラス、突っ込みも鋭くさせる予定ですw

そして、愛海のほうですが、え~、彼女はなんというか、よりブラコンになりましたねwもう病的なほどにw


まぁ、こんなところでしょうかw


では、もう既に長いので、今回はこの辺で。


さい先不安みたいになってしまいましたが、皆様、どうかこの「呪をもらって魔法学園生活!!」をよろしくお願いします!


では、失礼します!

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