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【第2節】その果てを知らず   作者: 中樹 冬弥
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第78話

「セイガさん! 今なら!」

 メイがセイガの両手を握る、それだけで、セイガにはメイの考えや気持ちが伝わってきた。

  メイは、ただ花を咲かせたわけではない。

 それはメイの想いが、『真価』が禁域に通用したということ。

 自分でもこれほどの効果を発揮できるだなんて思っても無かった…

 もはや禁域は、ベルクだけの世界ではない。

【これで ***を倒せるとでも 思ったのですか】

 ベルクが腰を落とし、右腕に力を入れる。

 今まで以上にっ…強力な攻撃をするつもりだ。

「うおおおおぉぉぉ!」

 メイに被害が及ばないよう、セイガが横に飛びながら盾剣を構える。

【消えなさい 愚かな人の子よ】

 セイガが飛び上がり、それに合わせるようにベルクも宙を駆ける。

 花吹雪の舞う中、ベルクの光とセイガの剣がぶつかる。

「魔 性 天 切 ! !」

 アルランカの大レース、あの時と同じ技が交錯する。

 しかし、あの時と違うのは…

【馬鹿な】

 盾剣は敵の攻撃をいなすのにも有効な形状をしている。

 セイガはベルクを攻撃するのではなく、ベルクの攻撃をいなすために技を選んだ。

 ベルクを振り切り…そのまま勢いの増したセイガは、見た目の空間的にはかなり遠い白い山へと…

 おそらくこの山が禁域の要、そう確信していた。

「ヴァニシング・ストライク!!!」

 体力の限界、全てをこの一撃に込め、セイガは突き進む。

 そして…禁域が鳴動する。

 白い、花々が咲き誇る山が、歪む。

「やったぁ!」

 雲が途切れ、黒い夜の闇が辺りを染め上げる。

【在り得ません】

 セイガが…いや、メイとセイガの力により禁域は破られたのだった。


 最初に気付いたのは大佐だった。

「…来るぞ」

「ふぇ!?」

 流石に疲れて眠くなっていたユメカが妙な声をあげながら空を仰ぐ。

「あれは…あの時と同じ? いや、もっと大きい!」

 何もなかった空間に、透けるように大きな山と、雲の台地が浮かぶ。

 それは何故か花満開で、不思議な光景…

 しかし、確かに存在する…禁域。

 崩壊していく景色の中から、メイとセイガ、そしてベルクがそれぞれ落ちてくる。

 大佐が咄嗟に念動でメイの体を受け止めた。

 そのままゆっくりとメイが降りてくる。

 地上に付く寸前、念の為近付いていたハリュウがメイを受け止める。

「へっ…お姫様だっこをするのがセイガじゃなくて悪かったな」

「へへへ…いいよ、ハリュウでも……ダンケ♪」

 メイが素直に礼を言う、ハリュウの表情から、みんながずっと待っていてくれたのを悟ったからだ。

 一方のセイガは、なんとか着地する前になけなしの力で衝撃を抑えた。

「セイガっ…大丈夫!?」

 ユメカとミナっちがその場に駆け寄る。

「…何とか…な」

 あの一撃に、ほぼ全ての力を使い切ったので、セイガは指一つ動かすのも難しいくらい疲労していた。

「もう…相変わらず無茶するんだから……でも、おかえり♪」

「ただいま…また生きて逢えて……よかった」

 セイガは目を閉じる、体力が限界を超えたのだ。

「あらら」

 こうして、どうにかふたりは帰還することが出来た…

 あとはベルクと決着をつけるだけだ。

 今は…頼りになる仲間がいる。

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