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【第2節】その果てを知らず   作者: 中樹 冬弥
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第38話

 一方その頃、セイガの前にも新たな脅威が迫っていた。

「君は…龍亜……」

 マウラケ山をようやく降りようとする頃、セイガの目の前に青く長い体躯を持つ龍…龍亜が立ち塞がったのだ。

「聖河…お前…おもちろいわ……わたちの相手をさせてあげるわね」

 うねうねと空中で動く龍亜、その周囲には黒い雲が纏わるように現れる。

『おい、大丈夫か?セイガ…そこにいるのは青龍のお嬢ちゃんだろ?』

 通信機からハリュウの声が聞こえる、額窓の機能が制限されているので、ハリュウは軍用車の運転をメイに任せ、自分は機械式の双眼鏡でセイガの様子を確認しているのだ。

「ああ、この子はどうやら俺と勝負したいらしい」

『おいおい、何だか嬉しそうにオレには聞こえたんだが?』

『ねえっ…セイガさんは大丈夫なの?』

 運転しているため状況が分かりにくいメイが心配そうに尋ねる。

「メイ、大丈夫だ…もう少ししたら俺もそちらに向かうから安心して欲しい」

 努めてセイガは優しい口調でそう言った。

 だが、目の前にいるのは並大抵の相手ではない…先程のツインヘッドドラゴン、アレよりさらに強力かも知れない…

(おっと、女性に対してこの比較は失礼だったか…いけないな)

 首を振って、セイガは再び龍亜を見つめる。

「聖河…じゅんびはいい?」

 物々しい姿からはなかなか想像できない、可愛らしい龍亜の声が響く。

「ああ…大丈夫だ……聖河・ラムル……参る!」

  

 先制の攻撃はセイガから、ファスネイトスラッシュの遠当てを龍亜の頭に近い方の体躯に合わせる。

 見事に当たるが…大きな音を立てた割にはダメージは低そうだ。

「そんなこーげき、わたちにきくと思ったのかちら?」

 大きく龍亜が首を上げ

「失礼ねっ!」

 口を開けた瞬間、頭にある2本の白い角が発光し、セイガの周囲を幾束もの雷撃が落ちた。

 咄嗟に構えたが、簡単に躱せるような攻撃では無い。

「次は当てるわよ…ふぅぅ~~」

 律儀にも教えてくれたらしい、どうやら彼女は自分より弱い敵とばかり戦ってきたのだろう…そうセイガは予想した。

 何だか、あの子たちとも似ているかもと、ふと笑みが零れる。

「む、もちかちて今わたちのことを笑ったの? もう~っ」

 まずい、そう思った時には

()ね!!」

 雷撃が轟いた!

 セイガは高速剣の移動でタイミングよく躱し、一気に龍亜に近付く。

「重ち!」

 龍亜の体に届こうとする時、急にセイガの体が重くなり、想定以上の衝撃で地面へと降り立った。

「これは…重力を操っているのか?」

 セイガの技にも重力を制御するものがあり、その存在は知ってはいたが…自らに今もかかるこの重圧は驚くべきことだった。

「雷!」

 龍亜が再び雷撃を放つ、声と同時にセイガも飛び退くが今度は少し喰らってしまう…

「ぐっ!」

 前に一度自分で自分の雷光を受けたことがあるのでその感覚は知ってはいたが、さすがにそうそう喰らうわけにもいかない。

 痛みに耐えながらジャンプをして、体を捻らす。

「ヴァニシング・ストライク!!」

 この技の突進は本来、重力をさらに加えた攻撃だったりする。

 今までは体に纏うエネルギーの奔流を出すので精一杯だったのだが、今回はさらに重力を足してみた。

 どうにかそれは成功して、黒き流れと赤き奔流を持って、セイガは強力な突撃を生み出すことが出来た。

「おおおおおお!」

 目の前には龍亜の顔、今度は重力付加で防ぐことは適わない筈…

「逆鱗天翔!!」

「しまっ…!」

 セイガの体が自分の力以上に引き寄せられる、これは龍亜の風の力だ、そしてこの後は…金色のオーラで一気に打ち上げられてしまう。

 セイガはギリギリまで抗い、何とかその一撃を龍亜の横顔に届かせるが、その直後大きく、遙か遠くまで飛ばされてしまった。

「いたいわねっ …このわたちの顔にきずをつけるなんて…聖河のバカっ」

 セイガは何とか着地するが、大分戻されてしまった。

 早くここをどうにかしてメイ達の所に行きたいというのに…

 セイガは大きく空を駆け、龍亜の元へと向かう…

 それを…見ている者がいた。

 彼は既に準備を済ませ、好機を窺っていた…

 そして…

 セイガが龍亜へと近付いたその瞬間……

 白い超高速の弾道がセイガを貫いた。

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