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龍王の娘、対面する(2)

「何だと!もう一度言ってみろ!誰が暑苦しい戦好きの単細胞だって!?」


龍王国の騎士たちが技を磨き、心身を鍛える訓練場に怒号が響き渡る。

声の主は、龍王国が誇る騎士団の1つ“赤龍騎士団”の団長にして、“焔龍騎士”(えんりゅうきし)の異名を持つバーネット。


「誰もそんなことは言っていない。貴殿は龍のくせに耳が悪いのか。

我は、戦のことばかり考えず国の内情にも目を向けよと忠告したまでのこと。しかし、己が単細胞だと自覚出来たことは称賛しよう。」


怒号を上げるバーネットに対し、ただただ冷ややかに相対するのは“青龍騎士団”の団長にして”冷龍“(れいりゅう)の異名を持つセイガ。


4つ存在する騎士団の中で、この2つの騎士団は団長同士の馬が合わずいがみ合い続けている。


今日のまた、いつもと同じように互いの意見の食い違いから”決闘“が始まろうとしていた。



「…というわけで、偶然通りかかった俺ちゃんが止めてくれる人を探してたんだけど…」

「迷ってしまった、というわけですか。全く、あの2人は何故ああも馬が合わないのかしら。しかし、困りましたね。陛下は大変お忙しいですから騎士団同士の揉め事を相談するのも…」

「じゃあ、リオラ様は?バーネット団長の実弟のリオラ様なら何とかしてくれるかも…」


え?リオラの兄ちゃんが騎士団の団長?それはとても気になる、見てみたい。

赤ん坊の好奇心をくすぐるぜ…

と言っても…リオラって今どこにいるんだろ…

こういう時、漫画やアニメだと名前を呼べばすぐに来てくれる、ってのがお約束だけど…?


「い…いい…お…あ…ああ…?」


ああ、やっぱダメかな。まだうまく発音g…

…ガチャ


「お呼びでしょうか、我らがフィーシャ様」


マジかよ…あんな発音で出てくるとかお前の耳どーなってんの?

でも、2人にとっては好都合だったみたいだな。


「ああっ!!リオラ様!!」

「リオラ、ちょうど良かった。実は…」



「何と、また兄上が青龍騎士団長殿と決闘を…?分かりました、私が止めて参りましょう。」


アードナルドから話を聞いたリオラは小さくため息を吐いた。

そんなリオラにフィラルシェーラは必死に手を伸ばした。


「ああ…いおあ…うう!」


リオラ、リオラ!俺も連れてって!お前の兄ちゃんに会ってみたいんだ。

ついでに青龍騎士団長ってのにも会ってみたい!

リオラの服にしがみついてグイグイと引っ張り連れて行くように強請る。


「フィーシャ様、危険ですから私と共にここで待ちましょう?」

「やあ!いおあ!うう!!」


セレンは俺が付いて行きたがっていると察したのかリオラから引き離そうとする。

頼むセレン!行かせてくれ!後生だからよお!


「…セレン様、フィーシャ様を私にお任せ願えませんでしょうか。決して危険な目には遭わせないと誓います。」


リオラはフィラルシェーラの手を優しく包みこむ様に握り答えた。

セレンはリオラの瞳を見て「ハァ」と息を吐いた。


「…分かりました。しかし、フィーシャ様、いいえフィラルシェーラ王女殿下はこの龍王国の宝です。それを忘れないように…フィーシャ様に何かあった時は、私を含めて裁きを受ける覚悟を。」


セレンの言葉にリオラは「騎士の誇りにかけて」と強く頷く。

なんかそこまで言われると逆に申し訳なくなってきたな…

よし、3人が裁きを受けないように俺も出来るだけ自分の身を守ろう!!

自己防衛できるほど実力もないけどな!!


こうして、どうにかセレンの説得に成功した俺(正確にはリオラ)はアードナルドと一緒に決闘が行われている訓練場へと向かった。

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