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生誕祭パレード

生誕祭3日目。今日は待ちに待ったパレードの日!

1日目にクライドから贈られたアクセサリーと2日目にヴィヴィラから贈られたティアラを身に付けて装飾された竜車へと乗り込む。


「セレン、卵!」

「はい、こちらに。」


もちろん、バーネットから贈られた飛翔竜の卵も一緒だ。

セレンからクッションを敷いたバスケットに入れられた卵を預かりハンカチを被せる。その上に更に風丸が乗る。


風丸は卵を自分の兄弟だと思っているようで贈られてからずっとくっついている。


ハクビから贈られた竜馬のリザードとセイガから贈られた竜魚は残念ながらお留守番。本当は連れて行きたかったけどセレンに断固却下されてしまい、飛翔竜の卵だけでもと懇願して何とか許してもらったのだ。


初めての竜車に興奮してキョロキョロと周囲を見回すと、後ろにも竜車があるのが見えた。自分が乗っているものより装飾は抑え気味の竜車を見ているとヴィヴィラが乗っている。


「おばさま!おばさまぁ!」


ティアラを贈られた後の昼食時、実の母ロザリアの話で盛り上がった事がきっかけで今ではいい話相手となったヴィヴィラに手を振り返す。


ヴィヴィラは王妃ではないので一緒の竜車には乗れない。

でも側妃もとい王妃代行だから別の竜車でパレードに参列するのだそうだ。

決して!断じて!除け者にしているわけではない!


よく見るとヴィヴィラの隣にもう1人乗っている。

男の人だ。誰だろう、見たことがない人だ。


「フィラルシェーラ、彼は姉上…ヴィヴィラ妃の夫、つまりお前の伯父上だ。」


伯父上、つまりドラグノスの義兄!

なるほど、側妃の夫だから側王の立場にいる人か。


誰かに似ている気がするとジッと見つめる。

すると視線が合い、軽く会釈をされたので手を振り返してみた。


(やっぱり誰かに似てる…誰だっけ…?)


「さぁ、そろそろ出発だ。ちゃんと座りなさい。」

「はぁい!」


ドラグノスに諌められ、座り直すと竜馬が動き出した。

さぁ、いざパレードへ!!



王宮の城門を出るとそこは龍王国に住まう民がいる城下町だ。

騎士団の先導の下、竜馬が引く竜車がゆっくりと進む。


「龍王陛下!万歳!」

「龍王女殿下!おめでとうございます!」

「龍王国の星々に祝福を!」

「龍王国に栄光あれ!」


竜馬の通る道の両端には多くの国民達が集い、こちらに向かって祝いの言葉を叫んでいる。

上を見れば、家の窓から色取り取りの花弁を撒く人もいる。

まるで花のシャワーの中を歩いているようだ。


「きれいねぇ…うれしいね!」


(ほら、上に注意しないと危険だよ…?)


「え?上が何?」


突然、あの聖龍の声が聞こえたと思ったら何かが弾ける音が響いた。

民の叫び声と竜馬達の嘶きに場は騒然となる。

何が起きたのか理解する前に視界には見知らぬ誰かが立っていた。


「…悪龍ドラグノス。そしてその娘、フィラルシェーラ。その命、貰い受ける!覚悟!」


男の声はするがフードで顔は見えない。

フードの男は懐から黒い剣を取り出して振り上げた。


「フィラルシェーラ!伏せていろ!」

「お父さん!!」

「陛下!姫様!」


団長達が飛び出してくるが切っ先はすでに振り下ろされた。

恐怖に目をギュッとつむると…


「おいおい…せっかくの祝いの日に何てモノを贈りやがる…」


また、知らない声が聞こえた。

うっすらと目を開けるとフサフサの尻尾を垂らした大男がいた。


「がっ…はっ…!」

「全く、神託に従って来てみれば…早速厄介ごとじゃねぇか。」

「ウォールド!」

「ドラグノスよぉ、娘の誕生に浮かれて鈍ったんじゃないのか?」

「黙れっ…騎士団!我が娘の命を狙ったこの不届きな蛮族を捕えよ!」


ウォールドと呼ばれた男が足蹴にしていたフードの男は騎士団に捕縛された。

パレードを続ける空気ではなくなったため、国民には後日謁見の機会を設けると触れを出し早々に王宮へ戻ることになった。



「フィラルシェーラ!あぁ、無事で良かったわ…」

「おばさまっ、苦しいよっ…」

「ウォールド王、この度は我が国の姫を救ってくださったこと心より感謝致します。」

「何、たまたま近くにいただけだ。」


ヴィヴィラの抱擁の中でウォールドに視線を向けると何やら距離を感じる。

どことなくいつかのドラグノスを思わせる。


「ひとまず王宮でお休みになってくださいまし。王もすぐに戻ると思いますので…」

「そうするか…」


ひとまずドラグノスが戻るまで一同は王宮の談話室で休息を取る事に。

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