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初!集落!


再び飛翔竜ワイバーンに乗って移動してしばらく、一行は国境沿いの集落へと到着した。


「さぁ、着いたぜ。あれがオーガとオークの集落だ。俺が先に行って話をつけてくる、ここで待っててくれ。」


バーネットが向かった先には門らしきものの前に門番らしき人物が立っていた。


「アレがオーガ?」

「角がある方がオーガ、無い方がオークです。どちらも同じ巨人族という種族なのですが特徴が違うので呼び分けられているそうです。」


巨人かぁ、確かに身長が大きい。遠目から見てもその高さがわかる。

近くで見たらどれ程の大きさだろうか、とワクワクしているとバーネットが手招きしているのが見えた。


リオラに手を引かれて門前へ行くと、門番の2人が膝を付き座るような形で頭を下げてきた。


「龍王国の新たなる星、フィラルシェーラ王女殿下にご挨拶申し上げます。」

「はじめまして、オーガさん、オークさん」

「どうぞ、中で長がお待ちです。」


門を開いてもらい中へ入るとそこは“巨人の巣窟”だった。

背の高い男女が縦横無尽に動き回っている。


「ひぁぁぁ…みんなおっきいねぇ…」

「ははははっ!王女様は巨人族を見るのが初めてですかな?」

「…?だぁれ?」

「おっと、これは失敬。儂はこの集落で長を務めております、キバジという者ですじゃ。隣におるのは儂の女房で…」

「オフクと申します。よろしくお願い致します。」


オフクと名乗ったオークの女性は3メートルくらいだろうか。

膨よかな体付きから良い具合にお袋感が出ている。

キバジと名乗ったオーガの男性はオフクより少し高いくらいだが、体つきががっしりしているためかオフクよりも大きく見える。何というマッスル。鍛えているようだ。


「さぁさぁ、立ち話もなんですから。家の中へどうぞ?」

「お邪魔します。」



おぉ、さすが巨人の家。何もかもがビッグサイズ。

椅子なんてこっちからしたらテーブルと間違う程のサイズ感。


「さて、早速だが…キバジ殿、集落の状況を教えてくれ。」

「うむ…何から話せば良いか…」


オフクに出された茶菓子を頬張りながらバーネット達の会話に耳を傾ける。

キバジはどうにも言い淀んでいる様だが何かまずい事があるのだろうか。


「前に来た時よりも数が減ってねぇか?」

「兄上も気付いておられましたか。明らかに男手が少ない。」

「えぇ、この数年で半数も減りました。」


どうやら集落の住人の数の話をしているらしい。

確かに、集落に足を踏み入れてから男性の数が少ない様に思えた。


「オーガもオークも繁殖力が高い種族の筈だ。通常なら1年で3倍に増えてもおかしくない人口がたった数年で半数も減るのは異常だろ。」

(わぉ、すごい繁殖力。アチラがお盛んなのかしら…なんてねっ。)


はしたない考えを茶菓子を頬張る事で打ち消し、改めてバーネット達に視線を向ける。

キバジは一度立ち上がると備え付けられた棚から紙の束を取り出しバーネット達の前に広げる。それは何かの数を記した記録の様だった。


「ここ数年で出現した“魔物”の数を記したものです。」

「これは…この数年で増え続けてるな。なるほど、小型、中型の魔物でも数がいちゃ流石のオーガやオークでも対処しきれないって事か。」

「お恥ずかしい限りです。龍王陛下に住処を与えてもらった恩義に報いる事が出来ず…」

「何か対策を講じる必要があるな。まずは集落側の意見も聞きたい、早速話し合いの場を設けてくれ。」

「承知しました。」


話し合いがひと段落したのを見て、椅子から飛び降りリオラの服を引いた。


「ねぇ、魔物って何?」

「魔物とは人間でも獣でもない異形の存在です。この集落は龍王国に魔物が入ってこないよう防衛の役割を担っているのですよ。」


リオラ曰く、魔物には自我が無く凶暴で様々な形をしているらしい。

そんな化け物と日々戦うのがこの集落の仕事だというのだが…


(でも、そのせいでここに住んでる人達が死んでるって事だよな?)


本当に、自分は世界を知らないのだと思い知らされた気がした。

そんな時、突然けたたましい鐘の音が集落に鳴り響いた。


「早速お出ましの様だな…」


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