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火竜問題(1)

白龍騎士団を見学した日の翌日。

フィラルシェーラはどうしても他の騎士団を見学したくなったので今度はリオラと共に赤龍騎士団に来ていた。


「フィーシャ様、昨日は訓練とはいえお側を離れてしまい申し訳ありません。」

「気にしないで、リオラは副団長なんだから。」


そう、最近知った事だがリオラは赤龍騎士団の副団長なのだ。

騎士団の副団長は団長不在の時、団長代理としての権限を持っている。

つまり結構偉い人なのだ。


(そんな人が俺の護衛してていいのかって思ったけど…リオラは優秀だし、バーネットより仕事できるってハクビが言ってたから大丈夫なんだろう…)


なんて事を考えながらも赤龍騎士団の宿舎に向かうと「ふざけんなコラァ!!!」と前にも聞いた事があるような怒声が響き渡った。


何事かと、リオラに抱きかかえられ声のする方へ向かうとそこにはやはりというべきかバーネットが鼻息荒く同団の騎士達を叱責していた。


「一体何があったのだ?」

「あ、リオラ副団長。実は…」



火竜サラマンダーのリザードが逃げ出した?」

「はい、火竜の厩舎を清掃するためにリザードを移動させていた際、誤って柵を閉じ忘れてしまい…一番小さい個体が一頭厩舎より逃げ出してしまったんです。」


(お、今度は少し期待できそうなドラゴンの名前…でも、バーネットがあそこまでガチギレしてるってことは余程ヤバイ自体ってことかな?)


「火竜一頭逃しただけでどれだけの被害が出ると思ってんだ!?お前らリザードの管理もまともに出来ねぇのか!!前にも同じミスしてあの青蛇に借り作っちまったばっかだろうが!!」


(あ、それで怒ってんのか。お前、セイガと折り合い悪いもんね。)


ひとまず、リオラに下ろしてもらいバーネットを止めようと近づく。

すると声をかける前に気配を察したのかこちらを振り向いてきた。


「姫さん?なんでこんなとこにいんだ?」

「フィーシャ様がぜひ赤龍騎士団を見学したいと。陛下の許可もいただきお連れしました。」

「マジかよ…悪ぃな、姫さん。今はそれどころじゃねぇんだ…」

「火竜が逃げたんでしょ?一緒に探す。」

「は?探すったって、火竜は火を吹くドラゴンだぜ?姫さんに何かあったら陛下に顔向け出来ねぇよ。」

「リオラと一緒に探す…火竜見たい!!」


この際、探す事を口実にしてでも火竜が見たい。

そして、一刻も早く解決してできる事なら成体の火竜も見たい!

最後の本音に呆気に取られるバーネット達をよそにリオラと共に火竜探しへ向かう。



「リオラ、火竜ってどんなの?空は飛ぶの?」

「火竜は翼を持たないドラゴンなので空は飛びません。」

「じゃあ、探すの簡単だね。」

「いえ、そう簡単ではありません。火竜の主な生息地は火山なのですが足場の悪い場所で生息していた為か脚がとにかく速いのです。それに一番小さい個体なのでどこかの隙間に入り込んでいるかもしれません。」


おっと、それはまさにトカゲそのもの。

見つけ出すのが難しい気がしてきた。


「何より、火竜の鱗には熱量がありちょっとした衝撃を加えるだけで引火する事があるので早急に見つけなければ。万が一、何も知らない騎士達が火竜を驚かせてしまえば大惨事になりかねません。」

「…え?」


今なんて言った?鱗が熱を持っていて衝撃で引火する?火を吹くだけじゃないの?

それってつまり…


(爆弾じゃねぇか!爆弾が足生やしてほっつき回ってるってことじゃねぇか!)


思った以上に危険なドラゴンである事に驚き興味が使命感に変わる。

何とかして見つけなければ!


目を見開いてキョロキョロと辺りを見回すと鼻をかすめる妙な匂いがした。

リオラもそれに気づいたのか匂いのする方へ向かってみると…


バキッ…パキッ…


「でっかいトカゲが枝食ってる…」

「フィーシャ様、これが火竜です…」

「…一番小さいリザードって言ってたよね?」

「えぇ、これで一番小さいのです。」


嘘つけよ!俺が想像してたのは手のひらサイズだわ!

明らかに今の俺の身長よりデカイじゃねぇか!

前世にもいたよ!このくらいのでっかいトカゲが!!


内心でツッコミを入れまくっていると枝を咥えたままの火竜がグリンと首をこちらに向けてきた。


「ヒッ…!」


驚いて動けずにいると、パチパチと瞬きをしたかと思えば咥えていた枝をポロッと落とし…


ダダダダダダっ!!


こちらに向かって駆け出してきた。


「脚はっや!」

「火竜は気性が荒く好戦的なため、視界に入ったものを追いかける習性があるのです!」


素早くリオラに抱きかかえられ全力で火竜から距離を取る。

しかし、その短い脚でどうやってその速度を出しているのか不思議に思える程、火竜の速度が早く距離が開かない。

どうにかしてバーネットにこの事を伝えたいがその前にリオラの体力がもたないかもしれない。

どうすれば、と考えながら再び火竜に視線を向けるとフィラルシェーラ目掛けて火球が飛んできていた。


(嘘だろ!やばい…これ、かわせないっ!)

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