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龍王国の妃


フィラルシェーラ達ががバーネットとセイガの決闘の様子を見に行った頃、ドラグノスは地下のとある研究室を訪れた。奥に進むと淡い光を放つ大きな結晶石がある。


「…あの子が孵ってからもう1年が経とうとしている。お前に似て活発な子だ。」


結晶石に触れながら、中で眠る様に目を閉じている“彼女”にドラグノスは語りかける。

返事をしてくれるのでは無いかと小さな希望を抱きながら…。


「陛下…」

「ヴェルディか。結果は変わらず…か?」

「…はい、王妃様は今もなお眠り続けておられます。」

「彼女の“龍器”の所在は…?」

「現在も、黒龍騎士団が総力を挙げて捜索中です。」


白衣に身を包み、大きさの合わない眼鏡をかけているこの男の名はヴェルディ。

宮廷医師であり龍器の研究をしている彼は龍器を失って眠り続ける王妃の身体調査を任されている。


「時間は無い、せめて龍器がどこにあるかだけでも分かればいいのだが…」


龍族にとって龍器とは心臓に等しく、失えば長くは生きられない。


「今は黒龍騎士団の報告を待つよりないか…」

「はい」


2人の会話が途切れた瞬間、突然…


「ーーーーーっ!!」


音が響いた。


「なんでしょうっ、今の音は…?」

「これは声だ。龍の啼き声…」

「声っ!?これほど強大で恐怖心を植え付ける様な啼き声が出せるのは陛下くらいのものでは…」


一体誰の声だ…?龍族の頂点に君臨するドラグノスすらも一瞬怯むほどの声。

まさか…と、ドラグノスはその声の主であろう者の名を呟く。


「フィラルシェーラ…?」

「…えっ?えぇっ!?王女殿下!?この啼き声の主がですか!?」


まだ生まれて1年のあの子がこれほどの啼き声を上げるとは…。

本当に子供の成長は早い。沈んでいた心が少しだけ高揚した気がした。


「ははっ、随分不機嫌そうな声をあげる。やはり王妃に似ているな。」

「この声、もしかしたら王女殿下の龍器覚醒の兆しかもしれませんね。」

「そうだな、3歳になる頃には覚醒しているだろう。検診の準備を進めておいてくれ。」

「承知いたしました。」


ドラグノスとヴェルディは研究室を後にした。

この時、2人はまだ気づいていなかった。

天を切り裂く様なフィラルシェーラの啼き声に“彼女”が反応していた事を…。


第1章 転生編 完結

第2章へ続く

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