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空色の花束を  作者: 水原透子
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近しい人と結ばれる

東京の大手町に本社を構えるITコンサルティング会社に勤める 有坂しのぶ はいつも不用意に仕事を持ってくる男性が苦手だった。

仕事はとても好きだが、自分のペースでできる仕事が自分には合っていると常々思っていた。

息が詰まるような仕事の量をこなしてしまうと、その週末は風邪を引いたり、逆に金曜日の夜に羽目を外してしまうようなバランスを崩すような影響があるから。

同僚には男性陣が7割、女性陣が3割といったIT業界の中で、会社全体の働き方改革を推進する人事部門の友人からは「女性の働き方ではない」と言われたりする。


ようは残業が多くて、平日の予定を断ってしまう私への文句も含まれた言い方なのだろう。

今日も残業になるのかどうかは、夕方までの仕事量と「差し込み作業」が運よく入ってこなければ、ありがたいことに早めに帰れるのだ。


最近は帰宅時間にも用事を振ってくる同僚も多く、私のプライベートな予定はいつもでも入れられないままだ。

仕事は好きだから楽しいの。ただ、すこし隙間がある働き方ができたほうが大勢の人間が助かると思っているだけ。


「有坂さん、マーケットフーズファクトリーAslectさんからシステムの仕様確認のメールが来ていたんだけど、有坂さんに仕様内容を教えてもらえないかな?」


正直これは私の仕事に当てはまるのか微妙なラインのお願いだ。

操作性の仕様確認であれば営業担当もしくはカスタマーサービス担当でも確認できる作業だからだ。さらに踏み込んだ内容の仕様確認であればシステム開発部門の私の仕事でもあり得る。


彼の話ぶりではどちらであるのか判断もできず、作業の依頼を断るのも手間なため、一旦話を聞き始めた。


「花村さん、どのような仕様確認の内容なのか知りたいので、一旦メールを転送していただけますか」

水曜日のまだ夕方の16時半。自分の作業も巻きで進めているため、今日はすこしの余力がある。


「はーい。ありがとうございます」

いえいえ、まだ私の方でやるとはわかりませんよ。と心の中で返しておく。


転送されてきたメールの内容を見る限り、すこし怪しい。操作性の仕様確認ではあったのものの、操作した結果がメールに画面キャプチャで添付されていたので、その怪しさに気が付いたのだ。

おそらく仕様とは違った挙動であるためプログラミングのバグか、もともと気づかれていない既存の仕様であった可能性が高かった。


「花村さん、すこし気になるところがあるので、調査をしてから回答でも大丈夫ですか」

「うん。もちろん大丈夫だよ。先方も今週中に回答をもらえればいいと言っていたから、有坂さんも急ぎの仕事があると思うから、それは優先度低くていいよ」


「承知いたしました」

ありがたい申し出だが、正直これがシステム障害バグだった場合、お祭り騒ぎになるのは目に見えていたので、一旦調査を開始した。


だけどまさか、週末までつぶれるとは思ってもいなかったのだ。

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