番外編 拓磨の悩み
番外編 季雪の悩みの拓磨視点です。
俺には最近、困っていることがある。それは、季雪が学校で「モテてしまっている」ということだ。もともと季雪は、世間でいうと可愛いにはいる。(俺の中では、1番だけど)それに、言葉使いが綺麗で、その上優等生なのだから仕方がないのはしょうがないが‥。でも、最近変ではないか?うーん。
「拓磨せんせー!」
ああ、季雪。でも、やっぱ、慣れないな。せんせーっていうのは‥。
「うん?なんだ、崎宮。」
ここでは、季雪のことは苗字で呼んでいる。あくまでも、ここでは先生と生徒の立場なのだから仕方がない。
「ふふっ」
うん?季雪、何がそんなに可笑しいんだ?
「だって、ですね。拓磨せんせー、顔はポーカーフェイスですけど、耳。真っ赤ですよ。」
あああぁ、指をさしてまで言うことか⁈くそっ、恥ずかしい。
「そんなことないぞ、」
「ふふっ、拓磨可愛いですよ。」
「うわっ!」
はっ!しまった、大声を出してしまった。ったく、耳元でそんなこと囁かれたら、びっくりするだろ。
「っんで、崎宮。お前、先生に何の用事だ?」
冷静に、なるべく目立たないように。
「えっと、ですね。先生に、さっきの授業について質問がありまして。」
「うん?なんだ。」
俺は、季雪が持っている教科書を覗き込む。
「‥‥バカです。」
「んっ?なんか言ったか?」
「なっなんでもないです!先生、ありがとうございました。」
一瞬だけ、そっぽを向いたような気がしたんだけど、気のせいか。
季雪は、聞き終わったらすぐ、どっかいってしまった。
‥‥本当はもっと、話してたかったんだけどな。さて、俺も次の授業に行くか。
✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎
学校が終わった。俺はいつものように、放課後、教室を見回っていたらある女子生徒たちが話しかけてきた。
「ねぇ、ねぇ、拓磨せんせー?」
「ん?なんだ?」
「先生って、彼女いるのー?」
おっ、定番のセリフか。本当、女子ってこうゆうの好きだなー。
「いるよ、とても大切な人が、な。」
「えー!やっぱりかー。」
おうおう、定番、定番。次は、「どんな人?」ぐらいか?
俺は、生徒達の前で頭を上下した。
「あっ、そういえば。季雪ちゃん、最近となりの席の、霜‥なんだっけ?」
「霜崎くんだよ。」
「そうそう、霜崎くん。その霜崎くんと、いい感じじゃない?」
「あっ、たしかにー!季雪ちゃんの「さ」と霜崎くんの「し」だから出席番号も近いしね。」
‥んー?霜崎、と?
「うんうん、なんでも噂では2人、付き合ってるとかー?」
「えー!知らなかった。」
んっ?俺も初耳だか?
「いつから?いつから?」
「うーんと、先週ぐらいかなー?」
「へぇー。季雪ちゃんもやるね。なんたって、学年3位ぐらいにモテる男!だもんね。」
へぇー、そうか。
「でも、季雪ちゃんのほうも結構すごいらしいよ。」
「たしかに、普通に可愛いし。」
うんうん
「性格とか、言葉使いとか綺麗だし。」
うんうん
「あと、どっかの令嬢なんだって。」
うん?もしかして、それって
「えっ?それ、本当?」
「うんうん、この前、すっごくキレイなお姉さんが出てきて迎えにきてたよー。」
千代のことか‥あいつー。
「し、か、も、ね!そのキレイなお姉さん。拓磨せんせーの彼女らしいよー。」
「へぇー、そうなんだ。」
「まぁ、噂だったから、本当に彼女がいるかどうか分からなかったけど、先生が言ってるんだもん。事実だよねー。」
っと、こっちを見た。
「拓磨せんせー、どうなんですかー?」
おいおい、千代は結婚してるんだぞ。
「それを、お前たちに教える義務はない。ひとつだけ言えるとしたら、そいつ、結婚してるぞ。」
これで、諦めるだろう。
「えー、つまんなーい。もう、行こっ!」
「うん!」
「気おつけて帰れよー」
「わかってますよーせんせー。」
俺は、2人を正門で見送ったあと、すぐさま帰った。
うん?靴箱に千代の靴が。あいつ、もう帰ってるのか。まぁ、季雪は当然だけどな。届け物があったのだが。しかし、うん?リビングで話し声が‥。
俺は2人に見つからないように、そっと入った。
「季雪、実はね。季雪と拓磨が教師と生徒の関係になったとき、聞いたの。本当に、隠せるの?って。」
でも、千代には入って1秒で気づかれた。
「私と、拓磨が付き合ってるとこですか?」
「うん、あっでも〜。ここからは、拓磨に聞いてもらえるかな?季雪!」
うん、なんか千代が目をウィンクさせてこっちを見てる。はぁ、そうか。はい、はい。
季雪がこっちを見た。
「たったくにゃ?」
一瞬、ポカーンってなってしまった。
「にゃ?なんだよそれ、ふふっあははは。」
俺はそこで大笑いをしてしまった。
あはは、よくよく考えてみたらこいつが浮気なんてするわけねーよな。そんな、器用なことできるやつじゃねーしな。
俺は、笑うのをやめ真っ直ぐに季雪をみた。
「季雪、さっきの千代との会話の内容の話だけど、たしかに最初は季雪、お前を都子と重ねて見てた。」
これは、本当だ。
「だけど、俺は今お前と歩みたい!季雪は、都子と似ているようで違う。そして、改めて季雪、お前に惚れたんだ。都子と過ごした時間は大切だ。だけど、それより今季雪といる時間の方が大切なんだ。失った時間は取り戻せないけど‥」
けれど、俺は都‥ううん、季雪と一緒に生きたいと望んでいる。
「俺と一緒に2人で一生、過ごしませんか?」
言った!言ったぞ。
「たしかに、俺と季雪は教師と生徒の立場だ。だけど、卒業してしまえば何にも問題はない。」
俺は咳払いをし、季雪を見つめて言った。
「季雪、愛してる‥だから、この手を取ってくれませんか?」
俺は、季雪に「プロポーズ」をしたんだ。
自分の手を季雪の前に出した。
これで、季雪がこの手を取ってくれないとなると、すっごく怖かった。
「だから、そんなの『はい』に決まってるじゃないですか‼︎私も、愛してます!」
言葉が出てこなかった。ただ、気づいたら季雪をめいっぱい、抱きしめていた。
季雪、ありがとう。お前に出会えて俺は幸せだよ。