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番外編 季雪の悩み

最近私には悩みがあります。それは、拓磨は本当に私のことを好きなのでしょうか?拓磨はただ都子のことが好きなだけで、私自身のことは‥。

考えたくもありません。


ここは千代の家のリビング。私と千代は同じソファに座っています。今日は休日なので、朝からお茶を楽しんでいます‥とはいかず、私だけがとても重い空気です。

「季雪?どうしたの」

あっ、千代。暗い顔をさせてしまいました。

「なんでもないよ。うん。」

千代にはもう、心配かけたくないから‥

「季雪!」

えっ⁈

突然、千代に抱きしめられました。

「せっ、千代⁈どうしたのですか?」

「いいんだよ、なんでも言ってね。逆に、相談してくれないほうが寂しいよ。」

一旦、抱きしめた手を離して私と目を合わせて言っています。

千代‥、そっか、うん。

「ごめんね、千代。」

うん?うずうずといった目で私を見てきます。なんか、嫌な予感がします。

「うぅっ、季雪〜〜〜〜〜!すっごくかわい〜!」

「うぐっ!」

やめ、て。千代〜。

「あぁっ、ごめんね、季雪。」

さすがというか、なのというべきでしょうか。ブレないですね、千代。

私はごほんっと咳払いをし、千代に話しました。

「千代、あのですね。私、本当に拓磨に愛されているのでしょうか?ただ、都子が好きだったから、それを私に重ねて見ているだけなのではないでしょうか?」

本当は、拓磨を信じたい。なのに、好きなのは私だけじゃないのかと不安になってきて。あぁ、もう嫌ですよこんな私!

千代は少し微笑んだ。

「季雪、拓磨ね。都子がいなかった10年、すっごく頑張ってたんだよ。私、拓磨に聞いたことがあるんだ。それはね、拓磨はどうして学校の先生を目指したのか?ってね。」

先生ですか?そういえば、聞いたことがありませんでした。

「その時拓磨、なんて言ったと思う?」

「えっ?えーと、ですね。」

昔からの夢だから?ええっと、ちょっと待ってそんなこと言ってたかな?うーん、

「わからないです‥。」

私は降伏です。

「拓磨ね、『いつか都子が帰ってきたとき、松山さんみたいに、道を踏み外さないように導く存在になりたいんだ。そして、都子に頑張ったねって言ってもらいたい。』ってね。」

そっか、でもやっぱり都子のため‥ですよね。

「季雪、実はね。季雪と拓磨が教師と生徒の関係になったとき、聞いたの。本当に、隠せるの?って。」

「私と、拓磨が付き合ってるとこですか?」

「うん、あっでも〜。ここからは、拓磨に聞いてもらえるかな?」

千代は私の後ろを指差した。私は気になり、振り返ってみました。そして、思わず‥

「たったくにゃ?」

あぁっ!噛んだ

「にゃ?なんだよそれ、ふふっあははは。」

拓磨はそこで大笑いしました。

うぅっ、恥ずかしいです。

拓磨は、笑い終わるとこちらをみて真剣な表情になりました。

「季雪、さっきの千代との会話の内容の話だけど、たしかに最初は季雪、お前を都子と重ねて見てた。」

っつ!やっぱりですよね。

「だけど、俺は今お前と歩みたい!季雪は、都子と似ているようで違う。そして、改めて季雪、お前に惚れたんだ。」

私は思わず、口を手で押さえました。声にならない程、嬉しかった。

「都子と過ごした時間は大切だ。だけど、それより今季雪といる時間の方が大切なんだ。失った時間は取り戻せないけど‥」

拓磨は少し間をあけて、

「俺と一緒に2人で一生、過ごしませんか?」

拓磨、それって、それって⁈

「たしかに、俺と季雪は教師と生徒の立場だ。だけど、卒業してしまえば何にも問題はない。」

ごほんっと咳払いをし、私を見つめて言いました。

「季雪、愛してる‥だから、この手を取ってくれませんか?」

拓磨は、手を私の前に出しました。

っつ!拓磨、いつもそうやって、都子のときも先に言って‥。そんなのは、

私はゆっくりと、拓磨の手に手を重ねた。

「だから、そんなの『はい』に決まってるじゃないですか‼︎私も、愛してます!」

涙が止まりませんでした。

そのときの拓磨の顔は覚えてません。だって、ぎゅーって抱きしめられましたから。

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