月に願いを 本編
都子が私の誕生日に死んだ。都子が死んでしまったのは、私のせいだ。私が都子を死なせてしまった。私は、後悔している。都子を1人にしてしまったことに。そうあれは、私が都子を7歳の誕生日パーティーに招待した時の話だ。
「千代!お誕生日おめでとう!」
「ありがとう、都子。」
私は、有名な名家のお嬢様。けれど、私は養子の子。本当のお嬢様ではない。
都子は私の耳もとでこそこそと話をした。
「都子も、お誕生日おめでとう!本当は、一緒に祝いたいんだけどごめんね。私ばっかり。」
「いいよ、いいよ。私達は、双子でも家は違うんだから。このパーティーに来れただけでも、すごいことなんだよ。それに、千夜のドレスも私のドレスも可愛いから。お姉ちゃんは、気にしてないからねー。」
都子は、とても楽しそうに笑顔で言う。ドレスを着てクルクルと回る。そう、私は都子の双子の妹。私は、有名な名家に。都子は、ごく普通の家庭に引き取られた。私と都子が双子だと知ったのは6歳の時、私の養父が教えてくれた。私は、私ばっかり幸せになるのが許せない。だから、都子には絶対幸せになってほしい‥そう、思っていた。なのに‥
「大変です!今、千夜様を誘拐したとお電話が!」
突然入ってきた使用人が変なことを言い出した。
「何ぃ?でも、千夜は私の横にいるぞ。」
私の養父が叫んでいる。
私?え、都子の姿が見当たらない…まさか!
「お父様!都子の姿がみえません。」
私は養父に言ったあと、パーティー会場を抜け出し、必死で走り回る。そして気がついた。
あれ、今なにか何かがなくなったような…。
私は足を止め、胸のあたりを手で押さえる。
「まさか、都子が千夜と間違われて‥。なんてことだ!犯人の要求はなんだ⁈」
私の、養父が叫ぶ。それも、パーティ会場の前の廊下にいる私にも届くくらい。私は会場の扉を開け、中に入った。その時、寒気が一気に押し寄せてきた。ガヤガヤと周りの人々が口を開く。
いや、まわりの声を聞きたくない。嫌な予感がしてたまらない。ここに、居たくない!
私は、耳を塞ぐ。それでも聞こえてしまう冷たい声。その声を私は聞かずにはいられなかった。
「それが、ただいま電話がはいり、『もう殺した。遺体は、お前の庭に放置した。これがお前が俺にした罪だ。』と」
驚きを隠せない、絶望に落ちた顔。そんな顔を、私はしていた。
「うそ、そんな。都子が?なんで⁈なんで、都子が死ななければいけないの?意味がわからないよ!都子を返して!返してよ!」
意味もなく、叫び続ける私の姿は会場全体を注目させた。会場は、静まり返りパーティーは中止。その後、私は倒れた。その後は、泣き崩れ3日は何も食べなかった。
そして、事件は解決。犯人は、私の養父の子会社の松山という社長だった。それから、後であの時の「何かがなくなった」という感覚が都子の命が尽きたということだと思った。自分の半分が、消えた…。
✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎
それから数日後、都子のお葬式の日。
見覚えのない少年が、私を見つめて立っている。手を顎にあてて、考えごとをしているように。
(あれが、都子が言っていた双子の妹か。やっぱり似ているな、いや似てすぎて逆につらい。ともかく、俺はあの子とこれから協力しなければならないんだ。)
「君が都子の双子の妹の千夜?」
「そう、です。それが何か?」
突然私に話しかけてきた男の子。本当は、都子と私が双子だってことは秘密だか、私にはもうそれを言う気力もなかった。
「俺は、都子の従兄弟の拓磨っていう。なぁ、俺と一緒に都子を殺した犯人に復讐しないか?」
一瞬何をこの拓磨という少年が発したか分からなかった。頭が全く回らない。
「どう…いうことですか?」
「一緒に都子を殺した犯人に復讐するんだ。」
「復讐‥」
そこでやっと理解した。「復讐」という言葉をの意味を。たしか、一度調べたことがある。私の父は、有名な上に怒りを買うことがある。その時に、相手が発した言葉に復讐とあったことを。
復讐…私は自分が憎い。都子を護れなかった自分が!でも、それよりもっと憎いのは、都子を殺した犯人だ。この話に乗ろう!都子のためなら何も怖くない!
「分かりました。一緒にやりましょう。」
「そうと決まれば、まず俺たちは犯人に接触するために強くならないといけない。だから、必死に勉強していい案を考えるんだ。」
「分かりました。都子のためなら。」
こうして、私と都子の従兄弟の拓磨との復讐計画が始まった。
✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎
小学6年生の秋頃、私達は近所の図書館で不思議な本を見つけた。それには、死者を生き返らせる方法が書いてあった。
その本の内容は、
ー死者を生き返らせるには、満月の日死者の骨と生け贄が必要である。ー
ーそして、生け贄と死者の骨をあらかじめ土に書いていた円の中に入れて唱えよ。ー
ー「月の光が浴びるとき聖なる光が、死者を呼び覚ます。」とー
ーただし、その儀式を行えば儀式を行ったものはみな、余命は約五年。死後魂は、転生することなく闇をさまようだろう。ー
「拓磨、この儀式やってみない?生け贄は、都子を殺した犯人で。幸い明日が、満月の日だってニュースで言ってたし。」
その本を見つけ読んだとき、私は迷わず拓磨にこの話を提案した。
「五年か、でもこれも都子のためだ。そうだな、やろう!」
私達は迷わない。自分の命も惜しまない覚悟で話を進める。この本が書いてあることが本当かなんて気にも留めなかった。
「はい。五年だけでも都子と過ごせるのなら私は、それだけで幸せです。」
「俺もだ。じゃあとりあえず明日、朝一に都子の骨を取りに行こう!」
私は、うなずき翌日都子が眠っている墓地に行って都子の骨を取りだした。そのあとは、生け贄である松山の家に行き、山のふもとに松山を夜呼び出した。松山の家や電話は、私の養父の棚をあさり、都子が殺されたときの資料を見た。さすがに接触は難しかったため、電話である条件を持ちかけるために変声機を買い、それを使って喋った。
「きたよ、松山。本当は、今すぐ殺してやりたいくらいだけど、今は我慢しよう。」
「分かってる。どうせすぐあの世にいくのだから。」
私達は、木の陰に隠れて電話で円の中に入るよう指示した。松山は罠にかけられているとも疑わない様子だった。円の中に入った瞬間を狙って、2人で唱えた。
『月の光が浴びるとき聖なる光が、死者を呼び覚ます。』
そのとたん、すごい光とともに松山は消え都子が、その円の中で眠っていた。私達は、すぐに駆け寄って、着ていた上着を都子に着せて泣いた。都子は、私達と同じくらいに成長していた。私は、都子のお葬式以来一度も泣いたことなんてなかったのに、この日だけは涙が溢れて仕方がなかった。拓磨も私の横で涙を流していた。
その後、私と拓磨の右腕に星のような黒い刻印があった。これが、代償を支払う証なのだと私は思う。
次の日、不思議な事に都子はこの世に〝存在した〟とされていた。都子を殺した松山を調べると「自殺」と書かれていた。その日付は都子が死んだ日だった。
私達は、中学生になった。それからは、楽しかった。
「都子ー!一緒にお弁当食べよう!今日は、なんと私の家一番のシェフがつくったんだよ!絶対美味しいから、食べて食べて!」
私達は、屋上で座っている。都子は、私のお弁当を一口食べた。
「んっ、これ美味しい!流石だね。」
「そうでしょ。都子に食べてもらいたくて、頼んじゃった。」
「千夜、ほぼ何もやってないじゃん。でも、ありがとう。このお弁当すっごく美味しいよ。拓磨もこればよかったのに‥。」
さっきまで笑っていた都子の顔にかすかに暗い表情が見えた。
えっ?この反応はもしかして⁈
「そういえば最近、拓磨付き合い悪いね。部活で忙しいのはわかるけど、なんか寂しいな。」
やっぱりそうなんだ!
私は、怪しい目でにやけながら都子を見つめた。
「都子〜。もしかして、拓磨のこと好きなの?」
私は、どストレートに都子に聞いた。都子は、頬を赤く染め、顔をイキヨイよく隠す。それを、私は絶対に見逃さない。
「本当なんだ〜。好きなんだね。うん、うん。都子にも、春が来た〜⁉︎って感じだね。」
都子は、顔をブンブン横に振り、私から顔をそらしてしまった。
「すっ、好きと言うか、幼なじみだし、従兄弟だし。関わる機会が多いというか、ないというか…。とっ、とにかく私は別にそんなんじゃ…な、い…と思う。」
「思うでしょ?分からないじゃん、ね?」
都子は、頬を膨らませてすねる。
「そういう千夜だって、この前から政志先輩のこと見つめてない?人の事言えないよ。」
ギクッ!私は、図星を突かれたように顔が真っ赤に染まる。
「せっ、先輩は、優しくて後輩思いで、良いところたくさんあるんだよ。だから、」
「それなら、拓磨だって!いや、まだ1年生だから後輩思いは、分からないけど…。きっとそうだよ、うん!」
都子はイキヨイよく、顔を縦に振った。
「俺が何だって?」
『ビクッ!』
後ろから声がした。それも、よく聞き覚えがある声。私達は、顔を見合わせて恐る恐る後ろを見る。そして、声を合わせて。
『拓磨⁈』
「その、ですね。別に拓磨の悪口を言ってわけじゃなくて、ただお弁当の話をしていただけです。そ、そうだよね!千夜!」
私は頷き、都子は戸惑い、必死で誤魔化す。まぁ、お弁当の話をしていたのは本当だから嘘は言っていない、よね?
「そうか?「拓磨」って声がしたんだけど。本当か?」
拓磨の耳は地獄耳ですか⁈
怪しい目で私達を見つめる拓磨。都子と私は、全力で頭を横に振る。
「まあ、いいけどさ。それに、2人が俺の悪口言うわけないし。それよりいいのか?もう、予鈴鳴ったぞ?」
『あーーーーーーーー!』
私達は声をあげ、すぐさま屋上の出口に向かう。拓磨も都子もそして私も笑っていた。だけど、私はいつの日か本当に都子を生き返らせて良かったのかと罪悪感が芽生え始めた。こんな感情捨てなければならないのに。
だが、都子と私の誕生日の前日、事件は起きた。都子が姿を消したのだ。私達は、必死に探した。
「都子!都子!どこ?」
「おい、都子どこだー。」
「どうしよう拓磨。また都子がいなくなったら私、わたし」
そのときだった、都子からメールが来てある場所に呼び出された。ある場所とは、都子を殺した犯人、松山の墓地だった。すぐさま私達はその墓地に向かった。都子は、松山の墓地の前で手を合わせていた。
「都子!」と声をかけると都子はこっちを向いて話し始めた。
「千夜、拓磨話したいことがあるの。いきなりでごめんね。私ね、この松山さんのこと許すんだ。あのね、松山さん本当は私のこと殺すつもりなんてなかったんだと思うから。あの時私ね、松山さんの顔見たの。すっごく泣いていた。謝っていた。ごめん、ごめんねって。手だって震えていた。だから、許すの。だから、お願いだから千夜も、拓磨も許してあげて。」
なぜか都子は、悲しむように笑いながら話していた。
なんで、都子。私は。
この時、私の中にあった松山への罪悪感が溢れてきた。
「でも、あいつは都子を殺したんだ。殺した事には違いない。だから、俺はあいつの事許すことはできない。」
「拓磨。確かにそうだよね。でも私は許すの。それだけなの。拓磨、ありがとう。千夜も、理解してね。」
「都子。私も許せない。けど、都子がそれを望むのなら私は少しは許そうと思う。」
本当は悔しくて、憎くて仕方がない。でも、一番辛いのは都子だから私は少しは許せる。本当は、ずるいと思っている。この罪悪感をこの場を利用して、少しでも軽くしようとしている自分がいる。
「ありがとう、千夜。あとね、もう一つ話したかったことがあるの。私、消えようと思うんだ。」
「そんな!待てよ、都子。どうしてそうなるんだよ!意味わかんねーよ!」
「そうだよ、都子!どうして⁇」
必死に私達は、叫ぶ。両手を握りしめて。
「そうだよね。でも私、悲しんだ。私のために2人が死んじゃう事とか、松山さんの未来を奪っちゃた事とか。私は2人には長生きしてほしいの。」
「都子、私は…」
「千夜、拓磨。私の魂はもう転生しているの、今は季雪っていう私の転生した子の魂を半分もらっているから生きているの。でも、これ以上魂を半分にしていたら季雪まで死んでしまう。」
「季雪?そんな、じゃあ私が今までしてきたことはなんだったの?」
「千夜、私は季雪を死なせたくもないし、千夜も拓磨も死なせたくない。だから、消えるの。本当はね、もっと早く消えるべきだったの。だけど、千夜と拓磨との日常が楽しくて消えれなかった。だから、ごめんね。」
都子の声が震える。下を向いて涙が溢れて、それをこぼさないように、じっと我慢している。都子は、その涙を手で必死で拭おうとした。
「都子、分かった、分かったよ。」
私は、そう都子に言った。
辛いけど、辛いけど私は都子が幸せになってほしい。それが、都子の幸せなら私は笑って見送る。そう決めたんだ、私の中で。それが今私が都子にしてあげられることなのなら。この罪悪感も私は一生忘れずに背負う。だから、精一杯言うから。
「都子といれて本当に良かった。都子が私のお姉ちゃんで本当に良かった。ありがとう。これを受け取って」
私は、都子にリボンを渡し、都子の髪につけた。
「これはね、都子の7歳の誕生日に渡したかったプレゼントなんだよ。私とお揃いなの。だから、都子に渡したかった。」
「ありがとう、千夜。」
私に続くように、拓磨は言った。
「都子、俺はずっと都子のことが好きだった。」
声が震えている。私は都子と拓磨のことをずっと見てきた。二人は両思いなのに、そのことを告げようとはしなかった。やっと、言った。
「だから、生まれてきてくれてありがとう。ずっと待ってる、待ってるから。」
「ありがとう、拓磨。私のこと好きでいてくれて。私も拓磨のことが好きだった。こんなの初めてで嬉しいよ。消える前に言えてよかった。」
二人は見つめ合う。
だけど、時間は残されてはいないみたいに、都子の体が光りだした。
「もう、時間みたいだね」
悲しい眼差しで言う。
都子、私はそんな顔させたくないよ。待って、私は都子に聞きたいことがある。これが最後だから。ねぇ、お願い。
「都子!最後に一つだけ、聞いてもいい?」
私は都子に問いかける。都子は頷く。
「都子は今まで幸せだった?」
都子の答えは、即答だった。
「そんなの、幸せに決まっているよ!こんなの、幸せじゃない人なんていないよ!2人とも、本当にありがとう。もう行くね。季雪をよろしくね。またね。」
「うん、都子!ずっと2人で待ってるから!2人でずっと、ずっーと!都子、大好きだよ!」
「都子!待ってるからな。いつかお前が戻ってきてくれるのをずっと待ってるから。」
私達は叫ぶ。泣き笑いながら。都子に向けて、手を振りながら。
「(本当にありがとう、千夜、拓磨私も大好き。本当は離れたくないよ。だから、10年後2人と出会える日を待ってる。お願いね、季雪。)」
その時、2つの離れていた魂が1つになろうとしていた。
✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎
あたりは、真っ白。そこには、女性でもなく男性でもないこの世のものとは思えない美しい人と、4.5歳くらいの女の子と、1人の少女…都子がいる。
「本当にいいのか、都子?」
「いいんですよ、神様。私は禁忌を犯し生き返ったのですから。それに、季雪。ありがとう、あなたまで死なせる訳にはいけないよ。」
「都子、本当にいいの?」
女の子…季雪と、神様はたずねる。
「いいの。私は、あの2人の暖かい心をもらったから、幸せなんだ。それに、今日を過ぎてしまえば二度と元には戻れない。13歳となって、歳をとってしまうから。私と季雪は似ているようで違う。だから、あなたは自由に生きて。私にこだわらなくてもいいから。」
泣きながら、都子は言った。神様は、目をつむり寂しそうに言う。
「いいんだな、都子。」
都子は何も言わず、首を縦に振った。
「分かった。あの悪魔のような本はお前の計らいで燃やしておこう。安心しろ。」
「ありがとうございます、神様。じゃあ、もう行かないと。本当にありがとうございます、神様。季雪、幸せになってね。あとは、お願いね。」
「はい、都子。私が生きます。あなたのぶんまで!」
そして、現実に戻った。
都子は涙を流しながら笑っていた。その涙は、光って綺麗だった。そして、都子は光とともに消えた。
私と拓磨の刻印は、あの後消えてしまっていた。これも、あの本がなくなったからなんだと私は思う。
✴︎✴︎✴︎✴︎✴︎
ー10年後ー
「あれから、10年。私は家をつぎ、あの憧れていた政志先輩と結婚したし、拓磨は大学生となって、教師の勉強をしているしね。2人とも、もう20、2、3歳。随分と歳をとったね。」
私達は、都子へと続く道を歩いている。
「そうだな。なぜか、妙に長かった。」
拓磨は時計を確認し、私に声をかける。
「あっ、もうこんな時間だぞ。そろそろ都子のところに行かないと。」
「そうだね。私達は、都子の墓地に行くために来たのだから。」
あれから、10年たち私達は都子の墓地に行こうとしていた。
その時だった!都子に私があげたはずのリボンを身につけて、都子によく似た少女が私達とすれ違ったのは。私はおもわず、
「都子!」と叫んでしまった。その少女は振り返り、
「はい。」と笑顔で言った。
「私は都子…なんですが、私の今の名前は「都子」ではないんです。私の名前は、崎宮季雪、「季雪」と今はいうんです。「都子」という名前は私の前世の名前です。ビックリしましたか?」
その少女…季雪は、笑いながら答えた。手を後ろに組み、私達を見つめて。
「お久しぶりです。千夜!拓磨!」
涙が出そうだった。
都子が、都子が帰ってきたんだ!
「都子、じゃなかった。季雪は、俺たちのことがわかるのか?」
「分かりますよ。だって、あなた達と過ごしていた都子の魂は、もともと私の半分でしたから。それが今は帰ってきていて、その時の記憶もすべて私が覚えています。都子のぶんまで生きています。もう、今日で16歳になりました。ずっと待っていてくれたのですね、千夜、拓磨!ありがとうございます。」
そういえば、言っていた。
都子が、「季雪をよろしくね」って。
それが今繋がった。すごく嬉しい。
「本当に季雪なんだ!季雪、季雪!」
「はい!でも、いきなり抱きつかれたら息ができな、い。」
私は、嬉しさのあまり号泣。そして勢いよく季雪に抱きついた。
「ご、ごめん。でも良かった。都子が、季雪が、帰ってきてくれて!」
「ああ。良かったよ。本当に。千夜言おうか、あの言葉」
私は、うなずき2人で言った。都子が、消えたあと、2人でずっと待ち望んでずっと言いたかった言葉を。
『おかえり、季雪!』
季雪は涙を流し笑いながら、
「はい!ただいまです!」
そして、また3人は出会う。
つめつめになってしまって、読みにくくて、すみません。
本編は終わりですが、次はこれからの季雪たちの日常(番外編のようなもの)を書こうと思います。