表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女mirai✡7 【⚠修正前】  作者: 千歳もも
✡第3幕 _黄色と橙色の光
29/39

*episode.26 まだ見ぬ世界

 



*…*…*…*…*



私達は、有り得ないものを見てしまった。

クラスメイトの桜澤桃音さんと赤羽紅さんが、小学生の頃のクラスメイトを、倒していたの。

どういう経緯で知り合ったのかな。檸檬があの子が私を裏切ったって言っちゃったから__?でも、名前までは言ってなかったよね。どうやって知ったんだろう。

それに、意識がなくなったと思ったら、風景の色が全部消えちゃうし。昔の写真みたいな白黒の世界になっていたの。

やっぱり夢?でも檸檬も同じ夢を見たって言ってたし……。

もしかしたら、あれは現実だったのかもしれない。

でもそんなの、やっぱり有り得ないよ__。




「ねぇ、桜澤さん。ちょっといいかな?」

数学の教科書を机の中に押し込んでいた桜澤さんが、きょとんと私を見上げた。

「どうかしたの?」

ううっ、やっぱり話したら変な子だって思われちゃうかな。ううん、桜澤さんと赤羽さんは信用するって決めたんだもん。顔色なんか伺ってても仕方がないわ!

「ちょっと……放課後、時間空いてるかな?」

「ん、私は平気だけど。何で?」

桜澤さんは本当に何か分からないみたいだし、何かを隠してるような様子でもない。やっぱり思い違い?

「いや、別に……」

やっぱり今は言えない!放課後に先延ばしにしちゃったけど、檸檬にも来てもらおう……。

はぁ、私っていつになったら檸檬に頼らずに生きられるようになるんだろう。




放課後、私と桜澤さんと檸檬は、4階と屋上の間の踊り場に来た。屋上は鍵が掛かってて入れなかった。

「屋上って開放されてないもんなの?」

「分からないけど、やっぱり危ないからじゃないかな」

私達は何気ないことを駄弁りながら、ぼーっと天井や床を見た。

「そういや、赤羽さんは呼ばなかったの?私だけに用事?」

桜澤さんが訊ねてきた。

「えっとね、赤羽さんにも声掛けたんだけど、今日は塾なんだって。」

「あ、そっか。くーちゃんはちゃんと勉強してて偉いよね」

たははと笑いながら、桜澤さんは床に転がっていたホコリの塊を蹴った。

どうしよう、何から切り出せばいいの。

「それで、今日はどうかしたの?」



*…*…*…*…*



私が訊ねると、蜜柑ちゃんと檸檬ちゃんは、顔を見合わせて俯いてしまった。

「えええ、待って、私何かマズいこと言っちゃったのかな!?」

そんなつもりは全然なかったんだけど。

「いや、違う。」

檸檬ちゃんは否定してくれたけど、蜜柑ちゃんはじっと床を睨んだままだ。

「何だろう、クラスの子に嫌がらせされたとか?それとも本当は仲が良いことバレちゃったとか……」

「違う。今日は私達のことじゃない。」

色々考えてみたけど、どれも違うみたいだ。それも檸檬ちゃんと蜜柑ちゃんのことじゃないってことは、何の話なんだろう。

「私達、見ちゃったの……」

俯いた蜜柑ちゃんが、小さな声でそう言った。


「桜澤さんと赤羽さんが、魔法みたいなもので昔のクラスメイトと戦っていたところ……!!」


……え?今、何て言ったの、蜜柑ちゃん???

魔法みたいなもので、戦っていた?

『昔のクラスメイト』????


「あ─────っ!!」

昨日の闇との戦いを見られてたってこと?

そりゃそうか、黄色と橙色の妖精さんの成長が終わったって妖精さんは言ってたし、覚醒寸前の光は結界の中に入れる、とも言ってた。

そりゃ結界の中は光と闇が戦うための世界なんだから、その現場に遭遇したっておかしくないよね……。

でも、そんなことよりも、蜜柑ちゃんは「昔のクラスメイト」って言ってた。それって檸檬ちゃんや蜜柑ちゃんのいじめに加担してた子っていう可能性だってあるよね。

これは今話すべき?

「桜澤さん、私達の勘違いならそう言って!私達、多分昨日話したことが影響した夢を見てただけだと思うの。でもちょっと気になっただけだから。ねぇ、そうでしょ?あんなの現実じゃ有り得ないもの__」

「本当だよ!!」

私は叫んだ。

驚いて目を見開く2人。


「本当だよ。私と赤羽さん、昨日戦ってたよ!」

「え……?」

「お前ついに頭おかしくなったのか……」

2人は乾いた笑い声をあげた。

「どうして?2人はそれを見たんでしょ。あれは本当に起こってることなんだよ。檸檬ちゃんと蜜柑ちゃんは、知らなかった世界を知った、それだけだよ。」

私は真剣な目で畳み掛ける。だけどやっぱり信じられないみたいで、檸檬ちゃんと蜜柑ちゃんは認めてくれない。

「私達のこと馬鹿にしてんのか!?」

「桃音ちゃん、気を使ったりしなくていいから、本当のことを教えて!」

檸檬ちゃんに肩を掴まれ、蜜柑ちゃんに悲しそうな目で見詰められ、私はどうしたらいいのか分からなくなった。

やっぱり、話すんじゃなかった。「違うよ」って言っておけば良かった。

「……ごめん、冗談言った」

私は2人の視線から逃れるように、窓の外を見ながら言った。

「そっか、良かった。」

檸檬ちゃんは肩を離してくれて、蜜柑ちゃんは安心したように呟いた。チクリと胸が痛んだ。


今はこれでいい。今はこれでいいんだよね。

だけど、今は良くても、いつかは本当のことを知る時は来る。それは今日かもしれないし、明日かもしれない。もしその時が来たら、2人はどんな気持ちになるんだろう。

これから今までの何倍も苦労するかもしれない。辛い思いして、痛い思いもして。昔の自分達を知っている子と戦わなくちゃいけなくて。

せっかく心を開ける相手を見付けられて、やっと自分達の中にずっと溜め込んできた思いを打ち明けられたのに、今度は別の問題が出てきて。

あんまりだよ、こんなの。

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ