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魔法少女mirai✡7 【⚠修正前】  作者: 千歳もも
✡第2幕 _赤色の光
13/39

*episode.11 魔法の使い方

 

 その時、急に赤羽さんが心臓を抑えて唸り出したんだ。

「う、うぅっ」

「あ、赤羽さんっ!?」

 私はびっくりして赤羽さんに駆け寄る。赤羽さんはぴくぴくと小さく痙攣しながら、ゆっくりと身体が傾いていく。

 ベッドの柵に頭をぶつけても、赤羽さんは頭を上げようとしない。

「どうしよう、どうしよう!」

 保健の先生は居ないし、職員室は今会議中だろうし――そもそも赤羽さんから離れたら、赤羽さんが本当に死んじゃいそうな気がして、どうしても動けなかった。


 私が慌てふためいていると、赤羽さんの身体がどくんと脈打ったんだ。

「あ、赤羽さん……?」

 赤羽さんの体が一瞬だけ点滅したような気がした。

 次の瞬間、周りの色が桃色になったんだ。

 妖精さんが、結界を張ったんだ……!


 結界の中だからか、赤羽さんの身体は眩しいほど光っていた。この間なんかより、ずっとずっと深い赤。

 それにしても、今日の結界は異常に赤みが強い気がする。お世辞にも桃色とは言えないくらい、濃く強い桃色。

 まるで血液みたいに、濃い赤――

 ……真紅。

「妖精さぁああああん!」

 私は保健室の窓を開けて、校庭に向かって声の限り叫んだ。でも妖精さんもこの事態に気が付いたのか、保健室の入口から入ってきた。

「どこに向かって叫んでんだよ、桃音ッ!」

 妖精さんの緊迫とした言い方に、一大事なのは本当だということが分かった。そしてこの結界は、妖精さんが張ったものじゃないってことも。

「これは一体どういうことなんだよ……」

 イライラしながら私の背中を蹴る妖精さん。……何か酷くないかな。

「とにかく、今は出来ることをするしかない。ワタシは赤色の妖精を探してくるから、お前は変身して、もし闇が襲って来たら対抗しろ」

「待って待って、対抗ってどうやって!?」

 私、まだ魔法使ったことないんだけど!?

「変身する時みたいに、ミラクルキーを握ってみろ。そうしたらミラクルキーの石の中にあるハートの宝石が1メートル大のステッキになる。それで大きな円を描いて、その中に星を描け、――あァ、星って言っても六芒星な。三角形と逆三角形を組み合わせるんだ。それから、その六芒星の中に、更にハートを描いて、その中に更に十字架を描け。

 きっとケーンがお前を導いてくれるから、それに従え」

 妖精さんは早口で説明してくれた。

「わ、分かった、円の中に六芒星、その中にハート、その中に十字架ね……」

 頭の中で、ファンシーな魔法陣を想像する。聞いてる限りでは難しそうだけど、きっとあんな感じだよね、それにステッキが導いてくれるなら、案外簡単かもしれない。

 案ずるより産むが易し、かな。

「それじゃ、な。くれぐれも闇に赤羽を奪われないようにな」

 妖精さんは、さっき私が開けた窓から、物凄いスピードで出ていった。


 よし、今日こそ魔法を使うかもしれないんだ。妖精さんからは光のことや闇のことは説明してもらえてないけど、きっと大丈夫。

 「赤羽さん、私が守るからね」

 私は完全にここにある赤羽さんの身体を、きゅっと抱き締めた。

結界の中でも透けてないってことは、きっともうすぐ覚醒するってことだよね。こんなに強く光ってるんだもん、きっとさっきの痙攣も光の力のせいかもしれない。


 こうしてられない、いつ闇が襲って来てもいいように、先に変身しておこう。

 襲われたって、私は絶対に挫けない。

 絶対に死なない。生きて、赤羽さんを絶対に守る。

 私は大きく、大きく息を吸った。


「トランスフォーム・フューチャー!」



 ✡



「これは、どういうこと?」

 少女は鈴の音のようなよく通る声で、そう呟いた。

 寂しげな表情は、今にも枯れてしまいそうなカスミソウのような儚さがあった。

 まだ幼さの残る小さな両手で、1枚の紙切れを握る。

「ねぇ、もう目が醒めちゃうの……」

 少女の両の瞳が、銀色に光る。


「待っててね、お姉ちゃん」

 

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