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*prologue. 高茶色の桜
私が生まれたのは、桜が芽吹き始める季節。
まだ肌寒い日が続く春先には珍しく、とっても暖かい日で、まるで私の誕生を祝福しているみたいだったってお母さんが言ってた。
私は生まれた時から、綺麗な紅茶色の髪だったんだって。
生まれてきた私に、桃色に輝く一筋の光が堕ちたんだって話、聞きたい?
全部全部、そのおかげで。私は色んなことを知った。
勿論知らない方が良かったようなこともたくさんあったけど、悪いことばっかりじゃなかったよ。
だから、その良いことも悪いことも全部、あなたにも教えてあげるね。――
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