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容疑者 山川義郎 〜佐久間警部の策謀〜  作者: 佐久間元三
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山川の取り調べ

 八時三十分過ぎ。


 前線にて緊急捜査を行うため佐久間が出て行った警視庁捜査一課。


「課長、部長から連絡です。山川刑事の取り調べは、いつもの取調室ではなく第四会議室で行うそうです。間も無く開始するので早々に集合するようにとのことです」


「第四会議室?取調室では三人しか基本入ることが出来んからな。この分では捜査二課を始め、他の課も出てくるだろう。一課は晒し者だな。腹はくくっているが、辛いものだな。・・・佐久間、頼むぞ」



 〜八時四十五分、第四会議室〜


 ざっと二十人はいるだろうか?


 捜査一課から捜査四課、鑑識課の名だたる課長達はもちろん部長までもが取り調べに加わる。


 誰一人口を開かず、山川の到着を待ち、やがて両手を拘束された山川義郎が連行され会議室に入った。


(まるで、査問会議だな)


 警視庁内部の取り調べであるため、警視庁は警察庁公安部に取り調べを依頼し、取調官による尋問が開始される。


「それでは、取り調べを開始する。名前は?」


「山川義郎です。捜査一課勤務です」


「当日、お前はどこで捜査を?」


「捜査二課と手分けして、結婚詐欺師の安間圭介を追っておりました。秋葉原、五反田、新宿、秋葉原と移動しながら行方を追っていました」


「捜査二課とは軋轢ぐあったと報告を受けているが間違いないか?」


「・・・軋轢は間違いありません」


「被害女性とはどこで知り合い、殺害に至った?」


「被害女性とは初見です。面識はありません」


「馬鹿を言うな!お前の指からは硝煙反応が出ていたと鑑識官からの報告もあった。見苦しいぞ、吐いてしまえ!」


「硝煙反応が出ても、知らないものは知らない。やったんなら、その場で自害し詫びています!」


「・・・お前の上司は?」


「佐久間警部です」


「どこにいる?」


「私の無実を証明するために、奔走してくれております」


「無駄なことを。さあ、さっさと吐け」


「・・・・・・」


(警部、信じてます)


 

 取り調べ二時間経過。


 取り調べは、一進一退しており、一通り山川に対して尋問がなされたが、山川は自白をせず、完全に開き直り否定していた。


 課長たちも、長丁場になることを覚悟しだした時である。


「プルルルルル」


(佐久間からだ)


「はい、安藤。・・・どうした?」


「取調べ中申し訳ありません。急ぎ山さんに確認して頂きたいんですが、山さんが張り込みを行なった路地を明確に覚えていたかを聴いてください」


「わかった。折り返す」


 安藤は、挙式しながら起立する。


「取り調べ中、申し訳ありません。山川に話しかけることを許可願います」


「・・・許可する」


「ありがとうございます。山川、お前さん張り込みした時の路地について、何か特徴的なものを覚えていないか?」


「・・・正直暗くて覚えていません。路地もいくつもありましたから」


「・・・わかった」


 二分後、安藤は佐久間に折り返す。


「安藤だ。薄暗いから路地であったことしか覚えてないようだ」


「やはり、そうですか」


「何かわかったのか?」


 佐久間からの報告に安藤は、動揺した。


 身内に本ボシがいるかもしれない意見が出たためであり、他の課に現状の捜査状況を悟られてはならぬと安藤は平静を装った。


(佐久間の推察をここで披露した途端、妨害されてしまう。隠し通す)


 安藤は、山川に不利な状況と成らぬよう取り調べの行く末を見守りつつ、部下を呼び小声で指示をする。


「いいか、佐久間の報告を受けたら、すぐに記者会見を開けるようにマスコミに裏から情報を入れておけ」


「何と言えば?」


「・・・事件の進展について、発表出来るかもしれない・・・とだ!」


(舞台はバレないように整えておいてやる。急げ、佐久間)


 

 

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