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容疑者 山川義郎 〜佐久間警部の策謀〜  作者: 佐久間元三
佐久間の罠
25/29

最終決戦 1

 捜査一課に戻った佐久間は、安藤に全ての準備が整ったことを告げた。


「いよいよか。抜かりないだろうな?失敗すれば全てを失うかもしれないぞ?」


 佐久間は微笑する。


「課長、捜査でミスした時はゴメンナサイで良いと教えてくれたのは、あなたですよ?失敗したら、課長と私でお詫び行脚に出れば良いと思います」


 これには安藤も笑う。


「全く、大したタマだよ。恐ろしい後輩を育てたもんだ」


「課長あっての私です」


「まあ、良いさ。でっ、明日何時に仕掛ける?」


「移動時間を考えると朝一に仕掛けましょう。八時半に日下に行動させます。我々は八時半丁度に移動開始。各所轄警察署の馴染みの者にだけ今夜の内に捜査協力をしておき、十時には全ての主要箇所に配置完了しておきます」


「奴らの移動手段は?」


「間違いなく車でしょう。しかも、その車には安間京香殺害時の痕跡も残っているはず」


「・・・つまり、身柄確保と同時に車両鑑定まで行う腹だな」


「はい。一網打尽です」


「わかった。では、場所を変えて捜査一課のみ会議をしようじゃないか?」


「はい。私が選別した人間以外は留守番とします。宜しいでしょうか?」


「ああ、任せるよ。さてと、会議の場所はどこが良いかな?」


「管内の訓練センターを押さえてありますが?」


「おお、あそこか?あそこなら違和感ないな。そこにしよう」


「はい。では、号令を掛けます」


 捜査一課内で、佐久間は全員集めて号令を発する。


「今から発表する者は、この後に管内の訓練センターで特別講習を受けて貰う。警視庁肝いり特別捜査だ。山川、山室、冨樫、江川、立浪、小川、中島、小林、武藤、日下、神林、日暮、佐々木、村松、千葉、芝﨑の十六名だ。それ以外はこのまま通常業務を頼む。では、直ぐに現地に向かえ」


「はっ、現地に向かいます」



 〜 二十分後、管内訓練センター 〜


 佐久間肝いりで緊急招集された捜査一課メンバー十六名に対して、課長の安藤から新事実が明かされる。


「みんな、聴いてくれ。山川を嵌めた本ボシ、安間兄妹を殺害した本ボシについて明日午前のうちに確保に映る。詳しくは佐久間警部の指揮説明を聴くように。では、佐久間警部。説明を」


「はっ、みんな。この数ヶ月ご苦労であった。山さんや安間京香殺害時点では繋がらない点が少しずつ線となり、本ボシ確保に至るまで来たことを改めて周知する。実は前から少しずつ本ボシ見通しがあったんだが確証を得るまでに時間を要し、その結果安間京香だけでなく、安間圭介までも我々は失ってしまった。だが、本ボシも僅かながら失態を犯し、付け入る隙が出来た為、明日一斉検挙する」


 課員たちから当然の如く質問があがる。


「一体本ボシは誰なんですか?」


「それは、明日の捕り物開始までお楽しみだ。万が一の情報漏えいを防ぐ為だ」


「明日はどこに?」


「新宿歌舞伎町に向かう。実は山さんが安間圭介を追って聞き込みしていた時に山さんを張っていた者を特定出来た。歌舞伎町貴金属店主に協力を要請し囮捜査として本ボシに誘拐させる。あらかじめ発信機を仕込んだ腕時計、眼鏡、財布を所持してもらい、誘拐後奴らのアジトまで泳がしたうえで一斉検挙する」


 「山川刑事を尾行?初めて聴きました」


 室内がざわつく。


「このことは何故今日まで黙っていたか?・・・それは、本ボシに知られると店主まで消される心配があったからだ」


「どのような作戦を?」


「歌舞伎町貴金属店を中心に二キロ圏内にここにいる全員が円を描くように配置する。奴らは店主拉致後に車で移動を開始するであろう。そこで、所轄の警察署に捜査依頼し主要箇所にも覆面パトカーを配備。モニター越しに本ボシをアジトまで追跡してから、身柄確保する」


「どうやって本ボシを追い込みますか?」


 佐久間は日下を指名。


「日下は、明日の八時半に捜査二課に行き、ワザと捜査一課の捜査状況を開示してくれ。当然、そこには捜査一課が新宿歌舞伎町貴金属店の証拠を確認するため明日の十一時、店主に対して早急な内容確認をする予定であると。それを見た本ボシは必ず斉藤啓二に連絡を入れ、我々よりも先に店主拉致を実行するだろう。拉致後に我々は本ボシを追い詰める」


「上手くいくんでしょうか?」


「本ボシに考える時間を与えないやり方だから、猪突猛進で突っ込むさ」


 安藤は、全員に喝を入れる。


「いいか、明日は捜査一課と捜査二課の身内戦争だ。万が一漏れた場合はここにいる誰かが、二課、いや本ボシと繋がっていると判断し、糾弾するからそのつもりで各自心得ておくように」


「わかりました」


「よし、それでは解散!」


 こうして、本ボシ確保のために全力を尽くす準備はギリギリで整うのである。



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