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容疑者 山川義郎 〜佐久間警部の策謀〜  作者: 佐久間元三
それぞれの事情
10/29

安間兄妹

 山川解放から、一夜明けた捜査一課では全員が揃い、通常よりも長い朝礼が行われた後に、捜査チームが新たに編成され、安間京香殺害に関する捜査会議が開かれていた。


「みんな、昨日まで改めてご苦労だった。山川救出に時間を掛けた分、今日から倍の意欲を持って安間京香の本ボシを追いたい。佐久間警部の指揮の元、早期解決させるんだ!」


「・・・はい、課長!」


「では、改めて捜査にあたり事件を整理する。ホワイトボードに注目してくれ」


 佐久間は、先日までの捜査情報で山川に関する済んだ案件は消したうえで新規に整理事項を書き出す。


 ○安間京香(三十歳)

 ○独身

 ○当日の足取り不明

 ○結婚詐欺師(安間圭介)の妹

 ○三鷹市井の頭公園近くのブティック店員

 ○兄とは仲が良い

 ○痴漢事件で、野本秀人を告訴

 ○二月十四日、二十二時〜二十二時三十分

  別の場所で射殺され、路地へ遺棄


 ○安間圭介(三十七歳)

 ○結婚詐欺師

 ○二月十四日、鶴巻温泉(アリバイ成立)

 ○野本秀人を妹殺害の犯人と予想している

 ○現在、住所不定

 ○二課と合同捜査している捜査対象者

 ○秋葉原、五反田、御徒町、新宿に時々

  出没しターゲットを探す傾向


「マスコミ発表時には、話していない内容ばかりだ。特に安間圭介の件は公表していない。一番早急に洗わなければならない事案は野本秀人についてである。小川、何故かわかるか?」


 佐久間は、突然、小川大樹に尋ねる。


「えーと。安間京香に訴えられて逆恨みし殺害した動機がありそうだからですか?」


「五十点。誰か他に意見はないか?」


「・・・・・・」


「まだ、眠っているな?いいか、みんな?」


 佐久間は、ホワイトボードを指し棒でゆっくり指して見せる。


「安間京香の背後関係を調べた時に、普通の捜査線上に野本秀人なる男の存在が浮上することは明らかだ。縁故による犯罪ですぐ足がつくようなことを野本秀人がすると思うか?」


「・・・正直、わかりかねます」


「山さんを嵌めた犯人だ。野本秀人を我々がマークすると考えながら、絵を描いているのかも視野に入れて捜査する。安間、野本の存在と山さんは、関係ないように見えて実は大きく関わっている可能性もある。やはり、安間圭介を追って行けば、安間京香殺害の本ボシに辿りつけるかもしれない」


 山川が挙手する。


「警部、私は安間圭介を再度追いたいと思います。よろしいでしょうか?」


「ああ、構わんよ。ただし、単独行動は愼むように。小川大樹とペアであたって欲しい」


「わかりました。裏路地含め、仕切り直しで本ボシを追い詰めます」


「では、山さんと小川。よろしく頼む。では、残ったものは内部からサポートを頼む」


 捜査会議が終了。


「課長、わたしは日下を連れ、安間京香と野本秀人について、裁判記録や痴漢事件の背後を洗います。どこかで、この三人が繋がるかもしれません」


「・・・わかった。よろしく頼む」


「小川、俺について来い。秋葉原の路地から洗うぞ」


「は、はい。よろしくお願いします」


 こうして、空気が一新され捜査が開始されたのであった。



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